症状があってもPCR検査を受けない人たち……大学教員が「対面の授業は絶対嫌」と語る理由

症状があってもPCR検査を受けない人たち……大学教員が「対面の授業は絶対嫌」と語る理由

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「体調が悪くなっても、大学生はPCR検査を受けることは難しいと思っているし、受けようともしないのです」

  都内の私立大学准教授の男性(50代)はこう話す。

 同居している親にうつされた可能性のある男子学生は発熱が2週間続いたが、親も本人もPCR検査を受けなかった。女子学生は発熱が1週間続いたがPCR検査を受けず、1人暮らしのために買い物にも出ていたという。

■リモート続ける大学「対面の授業は絶対にやりたくありません」

「そもそも若い人は症状が出ない場合が多いとされるし、誰が感染しているか、何人感染しているのかまったく分かりません。感染が恐くて、対面の授業は絶対にやりたくありません」(同)

 大学の教員は高齢者が多い。准教授の周りの教員は皆、対面授業再開を嫌がっているという。

 それは大学生の不満にもなっている。コロナ自粛でアルバイト収入がなくなる中、リモート授業にも関わらず学費は全額払わなければいけない。

「知人の女性教員は、リモート授業をしている時に、小学生の息子がふざけて画面に映り込んでしまいました。それを見た学生の1人が、『授業中にふざけているのに、何で学費を払わなくてはいけないのでしょうか』と大学にクレームを入れたのです。教員も神経質になっています」(同)

“見えない感染”は、こうした余計な対立も生んでいる。

 この大学は9月以降もリモート授業を続ける予定だ。多くの大学も同様に、全面的な対面授業の再開について3割が「9月以後」、6割は「検討中」という(文科省調査、7月1日時点)。

■妻に内緒で飲み会に参加

 PCR検査を受けないのは若い人ばかりではない。

「コロナに感染したかもしれません。それも2回も……」

 都内に住む40代の男性はこう打ち明ける。

 7月の第2週に強い倦怠感に襲われ、体調が悪化した時に出る神経痛に悩まされた。咳や熱は出なかったが倦怠感は1週間続き、神経痛はさらに1週間続いた。

「知人の医者に相談すると『コロナかもしれません』と言われ、PCR検査を勧められましたが、受診しませんでした」(男性)

 男性は、都心の雑居ビル内の事務所に電車で毎日通勤している。仕事の多くは電話やメールで済ませ、外に出るのはランチ程度。妻が怒るために早めに帰宅している。

 心当たりは、コロナ自粛で延期されていた飲み会が6月末から2件続いたこと。2件とも10人程度集まったが、妻に内緒で参加したため飲み会で感染したとは言えず、PCR検査は受診しなかった。

「数日して、妻も体調が悪化したんです。妻にうつしたかもしれないとビクビクしましたが、妻は私より軽症だったため、うやむやになりました」(同)

 男性は倦怠感に襲われている間も毎日通勤した。

「検査で陽性が出て療養や入院になれば仕事に支障が出る。妻に怒られなくても受診しなかった」(同)

■無症状や軽症だった場合は抗体ができない可能性あり

 男性は2月初旬にも感染していた可能性があると語る。高熱に襲われ、解熱剤を飲んで数日で治まったが、その後は咳が酷くなり寝るのも苦痛だった。

「1月末に、取引先の人たちと7、8人の飲み会がありました。座敷で蟹すき鍋を食べたので、今思えば3密。その中の1人が高熱を出し、インフルエンザだと思って受診すると陰性だった。しかし感染者が出はじめた頃で、彼も、そして私もPCR検査は受けませんでした」(同)

 2件の飲み会の参加者に感染者が出たとは聞いていないが、自身も体調悪化は参加者に話していないという。

 抗体検査が6月にはじまるとすぐに受診したが結果は陰性だった。

――症状は人それぞれ違いがあり、無症状や軽症だった場合は抗体ができない可能性もある。感染が2回続く場合もあるかもしれない……。推測ばかりだが、相談した医師にそう言われた。

■症状があってもPCR検査を受けない人たち

 入院治療等を要する感染者の中で、重症化する割合は50代が1・7%、60代は6・4%に上がる(厚労省、7月22日時点)。その高齢者で早い段階に苦しんだ人がいる。

 都内に住む60代後半の会社経営者は、昨年12月25日に発熱。39度まで上がり、下がるとまた上がるが2週間続いた。

「咳も酷くなり、息をすると肺が痛むために年末に病院に行きましたが、インフルエンザは陰性で、『軽い気管支炎でしょう』と言われました。味覚が失われ、おせち料理はほとんど食べませんでした。妻も直後に体調が悪化しましたが、妻は私より早く回復しました」(会社経営者)

 主治医には後に「コロナだったのかもしれません」と言われた。

 国内の感染者第1号は、1月3日に中国の武漢で発熱、帰国後の16日に感染が発表された30代男性だ。会社経営者が本当に感染していたとすれば大事だが、その後は体調を崩すこと無く、抗体検査を受けるつもりもないという。

 PCR検査で陽性が発覚したら日常生活に支障が出る。感染が疑われてもPCR検査を受けない人は多くいるだろう。これでは高齢者はもちろん、感染を恐れれば街に出ることは難しい。

(坂田 拓也)

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