メガネを拭くときに「絶対にやってはいけない」3つのこと――2020上半期BEST5

メガネを拭くときに「絶対にやってはいけない」3つのこと――2020上半期BEST5

まずは水でメガネを洗う。水道水でも可

2020年上半期(1月〜6月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。ライフ部門の第3位は、こちら!(初公開日 2020年3月17日)。

*  *  *

 顔の中心に位置するメガネの汚れは、案外目立つもの。こまめなケアが欠かせないが、その正しいケア方法は知らないという人も、じつは多いのではないだろうか。自己流では、逆にメガネの寿命を縮めてしまう恐れも……。

 そこで、メガネの拭き方をはじめ自分でできる基本的なケアについて、老舗眼鏡専門店「イワキメガネ」神保町三省堂店、店長代理の古川秀光さんに話を訊いた。(全2回の1回目/ 後編 に続く)

■(1)いきなり乾拭きはNG!

――毎日メガネを使っていると、いつの間にかレンズが汚れていたりします。つい服の裾などで拭いてしまうという人もいると思うのですが、本来どのように汚れを落とせばよいのでしょうか。

古川 まず、基本的にメガネの乾拭きは避けてください。レンズには、空気中に舞っている砂ぼこりや花粉、小さなゴミなどが、気が付かないうちに付着しています。その状態で乾拭きをするとレンズにゴミをこすりつけているようなもので、傷がついてしまうんです。メガネを拭くときは、まず水で汚れを洗い流すようにしてください。

――メガネ全体を水で洗ってしまって良いんですか。

古川 一部の天然素材をのぞいては、水洗いしても大丈夫です。そのあと、ティッシュペーパーや柔らかい布できちんと水気を拭き取り、それからメガネ拭きで乾拭きして仕上げてください。濡れたまま放置すると、レンズに水滴の跡が残る“水やけ”や、金属パーツの錆などの原因になってしまいます。

――拭き方にコツはあるのでしょうか。

古川 まずひとつに、拭くときに力を入れ過ぎないこと。レンズに傷がついてしまうばかりか、フレームが歪んでしまい、掛け心地や見え方にまで不具合が生じてしまいます。とくにブリッジ(左右の枠をつなぐ部分)は、力がかかりやすい部分です。破損を避けるためにも、拭く側のレンズのフチを持って拭くようにしてください。

■(2)石鹸や弱酸性のボディソープでコーティングが剥離

――なるほど。とはいえ、汚れがひどいときは強くこすってしまいがちです。

古川 皮脂などの頑固な汚れがついているときは、メガネ用のクリーナーを使うといいでしょう。スプレータイプやムースタイプ、ウェットティッシュタイプなど様々な種類が販売されています。持っていなければ、台所用の中性洗剤でも代用が可能です。

 ここで大切なのは、“中性”であるということです。石鹸などアルカリ性のものや、弱酸性を謳ったボディソープなどを使うと、レンズ表面のコーティングが剥離してしまう可能性があります。

■フレーム全体もくまなく洗ってください

――手を洗ったついでに石鹸で……、などは避けないといけないですね。では、中性洗剤を使った洗い方を教えてください。

古川 メガネ全体が入る程度の容器に水を張り、中性洗剤を2〜3滴垂らしたら、その中でメガネを軽くジャブジャブと泳がせるようにしてください。こすらなくても、それだけで皮脂汚れがきれいに落ちます。そのあと、水洗いで洗剤を落としてから水気を拭けば完了です。

 このとき、レンズだけでなく、ぜひフレーム全体もくまなく洗ってください。とくにテンプル(耳に掛ける部分)は、整髪料や汗などが付着する箇所です。なかでも汗の塩分はメガネが劣化する原因の一つなので、こまめに汚れを落とすことでメガネの寿命も変わってきます。鼻パッドについたメイク汚れなども、拭いておくといいでしょう。

――なるほど、正しい拭き方はわかりました。ですが、水やメガネ拭きが用意できない外出先ではどうしたら良いでしょうか。

古川 水で汚れを洗い流せない場合は、レンズに息を吹きかけて、表面についたホコリなどをできるだけ払ってください。そのあと、柔らかな布で拭く。メガネ拭きが理想ですが、なければティッシュでも構いません。できれば、なるべく柔らかな質感のティッシュがいいですね。

■(3)メガネを掛けたままお風呂がNGな理由

――メガネユーザーのなかには、「見えないから」という理由でメガネを掛けたままお風呂に入ってしまう人も少なくありません。メガネをお湯で洗っても良いのでしょうか。

古川 メガネは熱に弱いので、決してお湯で洗わないでください。メガネを掛けたままお風呂に入ること自体がNGです。

――熱によってどんな影響が出てしまうのですか。

古川 とくにダメージを受けるのが、レンズです。先ほども少し触れたのですが、レンズの表面には傷や反射を防止するために、ミルフィーユ状に何層ものコーティングが施されています。現在レンズの多くはプラスチック素材のため高温下で膨張するのですが、コーティングはその膨張に追随できず、ひび割れてしまうんです。レンズの表面に細かいシワのようなものができてしまい、視界も見栄えも悪くなります。こうなってしまうと、お店に持ってきていただいても元には戻りません。

――熱がNGということは、サウナも避けたほうがいいですね。

古川 そうですね。ごく一部に「耐熱仕様」のレンズもあります。私もサウナ用にひとつ持っています。ただ、フレームは劣化しますので、覚悟の上で使用しています(笑)。

■メガネ拭きはこまめに洗濯を

――そのほか、メガネのケアをするにあたり、持っておいたほうが良いものはありますか?

古川 メガネ全体をくまなく拭くために、大きなサイズのメガネ拭きを持っていると便利です。メガネ購入時に付いてくるものは、メガネケースに入れることを考慮して小さめに作られているので、使い勝手が良いとはいえません。自宅でのケア用に、24〜30cm四方ぐらいのものを用意しておくといいでしょう。

――ハンカチぐらいの大きさですね。

古川 はい。マイクロファイバー(超極細繊維)を使ったメガネ拭きなら、軽く拭き取るだけできれいになり、拭きとった汚れが再付着しにくい性質もあります。ただし、使っていくうちにメガネ拭きに汚れが溜まっていくので、こまめに洗濯するようにしてください。そのほうが、性能をキープできます。

――普通に洗濯して良いのでしょうか。

古川 洗濯機に入れても大丈夫です。ただし柔軟剤を使ってしまうと、その成分が繊維に残り性能が落ちてしまうので、使用は避けたほうがいいでしょう。

■くもり止めを使えばマスク使用時も快適に

――今の時季、花粉症や新型コロナウイルス予防などでマスクを使用する方が多いと思います。その際のレンズのくもりを抑えるにはどうしたらいいでしょうか。

古川 その場合、くもり止めを使うといいでしょう。拭くだけで効果が得られる手軽なクロス状のものもありますが、より高い効果を求める方には、ジェル状のくもり止めをお薦めしています。

 ジェルを米粒大ぐらいレンズの上に出したら、表面と裏面に薄く塗り伸ばします。少し乾かしたら、ティッシュなどで軽く拭きあげてください。有効成分をレンズに定着させるため、拭き過ぎないことがポイントです。一度レンズをきれいに拭いてから使用したほうが、効果は高くなります。

――なるほど。正しいケアをしたり、便利なアイテムを使ったりすることで、メガネをより長く快適に使うことができそうですね。

古川 そうですね。毎日のセルフケアで、メガネの持ちは格段に良くなります。お店ではご自身でケアしにくい細かな部分のクリーニングやメンテナンスもできますので、ぜひお困りの際は足を運んでいただけたらと思います。( 後編 に続く)

 写真=山元茂樹/文藝春秋

(伊藤 美玲)

関連記事(外部サイト)