外出自粛“家飲みゲンカ”平手打ちで妻が死亡 夫がキレた一言――2020上半期BEST5

外出自粛“家飲みゲンカ”平手打ちで妻が死亡 夫がキレた一言――2020上半期BEST5

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2020年上半期(1月〜6月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。事件部門の第2位は、こちら!(初公開日 2020年4月25日)。

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「ガン!」

 平手で殴り倒した妻の頭は床に打ちつけられ、鈍い音を響かせた。だが、直前の妻の言葉に激高した夫の耳には届いていない。

「またふざけて、死んだふりでもしてるんだろう……」

 起き上がらない妻を横目に酔ってテレビを眺める夫。数十分後、ようやく異変に気付くと、焦って電話を掴み119番を押した――。

 事件は4月5日夜、東京・江戸川区の篠崎駅近くのマンションに住む、初老夫婦の間で発生した。

「二人は夕方5時半に夕食をとり、5時間半にわたってビールや焼酎を飲み続けていた。妻の美紀さん(57)は救急車で搬送された約一時間後に死亡。死因は後頭部を打ったことによる急性硬膜下血腫と判明しています。日常的なDVを受けているような古い傷はありませんでした」(社会部記者)

 小岩署は翌6日、会社員の夫・牧野和男(59)を傷害容疑で逮捕した。

「和男は『妻から罵られ頭に来た』と容疑を認めている。夫婦は毎日のように酒を飲んでいたが、コロナによる都の外出自粛要請もあり、最近は自宅で飲んでいたようだ」(捜査関係者)

 夫婦はともに現場近くの下町出身。だが、和男の家庭環境は複雑だった。

「両親が離婚して母親と一緒に暮らしていたが、母方の実家が地主で住む家はありました。和男くんは父親の違う妹もいて、三兄妹の長男。地元の中学を卒業後、叔父さんの伝手で建築関係の仕事についたはず。鉄工所で働いたり、トラックの運転手もしていました」(実家の近隣住民)

■ノロけあっていた二人がなぜ?

 隣町に住んでいた美紀さんとは10代から付き合い始めた。和男の同級生が語る。

「二人は20歳過ぎに結婚して女の子と男の子をもうけました。口が達者な奥さんの話を牧野くんが『そうか、そうか』と笑って聞いてあげる感じ。結婚して30年以上経っても『美紀』『マキ』と呼び合い、『俺は美紀じゃないとダメなんだ』『私もマキじゃなきゃダメ』とよく惚気(のろけ)ていた」

 子供の成長に合わせ、事件現場となった家賃15万円ほどのマンションに転居。

「旦那さんの実家から数百メートルしか離れておらず、奥さんがよく車で実家の様子を見に来ていた。義母さんもお嫁さんのことを『計算も早いし、すっごく頭が切れる!』と褒めていましたよ」(前出・近隣住民)

 夫婦は普段、下町の飲み屋で晩酌していたという。

「鏡月のボトルをキープして、ウーロン茶で割って飲んでいました。二人とも量を飲みますが、騒いだり悪態をついたりしたことはない。ご主人は帰るとき必ず厨房を覗き込み、『ごちそうさま』と声をかけてくれていた」(飲食店従業員)

 夫婦はまた、中学生になる孫を溺愛していた。

「最近は『孫と会うのが一番の楽しみ』と言って、お寿司屋さんでよくご馳走してました」(夫婦の知人)

■今年に入り幸福な生活に変化が……

 だが今年に入り、幸福な生活に翳りが見え始める。

「妻は自宅近くのケータリング会社に勤め、会社や葬儀場に食事を車で配達する仕事をしていた。ところが最近、コロナの影響で出勤回数が少なくなり、収入が減ることを気にしていたようだ」(前出・捜査関係者)

 事件当日も飲みながら仕事の愚痴をこぼしていた妻。生活への不安から話は夫の収入にも及び、とうとうこの一言を口にしてしまう。

 あんたの稼ぎが少ないのよ――。

「実は、事件が起きた夜も途中までお孫さんが家に遊びに来ていたのです。11日のお通夜でも、お孫さんがワンワン声をあげて泣いていたそうで、『あのとき自分が帰らなかったら』と責任を感じていたのかもしれません。美紀さんの遺族は牧野さんに激怒し、両家の関係は冷え切ってしまった」(前出・夫婦の知人)

 コロナウイルスは、人の心をも狂わせる。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年4月23日号)

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