25年たってもトレンド連発!「ダイの大冒険」人気の理由は「編集部からも嫌われた」あのキャラ

25年たってもトレンド連発!「ダイの大冒険」人気の理由は「編集部からも嫌われた」あのキャラ

主人公・ダイ(左)とレオナ。「ダイの大冒険」は25年たってもバズっている(アニメ公式HPより)

 人気ゲーム「ドラゴンクエスト」の世界観を舞台にした「ダイの大冒険」の新作アニメの放送・配信が始まりました。アニメ発表時、第1話と2話の放送でツイッターのトレンド入りを連発。四半世紀前に完結したコンテンツと思えない盛り上がりです。

 同作の魅力は、原作マンガの質の高さにあります。1989〜1996年に週刊少年ジャンプ(集英社)で連載され、三条陸さん原作、稲田浩司さん画、ゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズの“生みの親”の堀井雄二さんが監修しました。当時もアニメ化されるなど人気となり、かさを手にして「アバーン・ストラッシュ!」とさけんだ記憶のある人もいるのではないでしょうか。

 ドラクエに登場するモンスターや呪文、アイテムが次々と出て、仲間と共に魔王を倒すという、正統派のストーリーもワクワクします。しかし最大の魅力は、ダイをはじめ敵味方を問わない個性的なキャラクターではないでしょうか。イラっとくるせりふ、名言をつぶやいたり、弱みを見せたり……。実に生き生きと描かれています。

 せっかくですから「ダイの大冒険」の原作マンガをひもといてみます。そして気になった人は、ぜひ原作マンガを読んで「アバンの使徒」になりきってみてはどうでしょうか。なおネタバレを好まない人は、これから先を読むのは避けてください。

■「ダイの大冒険」とは

「ダイの大冒険」は、魔王が倒されてモンスターがおとなしく平和に暮らす島から始まります。勇者にあこがれる少年・ダイは、モンスター(鬼面道士)の「ブラスじいちゃん」、飛ぶスライム「ゴメちゃん」と暮らしています。最初に、二つの読み切りがありまして「デルパ!!イルイル!!」は、島に来たニセ勇者をモンスターの力を借りてやっつけるという話です。「ダイ爆発!!!」は、アニメ本編にも登場する気の強い姫・レオナの危機を、ダイが救うというものです。

 読み切りの人気を受けて「ダイの大冒険」が始まるわけですが、まず“勇者”の家庭教師・アバンと、弟子のポップがダイの元を訪れます。アバンの指導でダイは力をつけていきますが、アバンに倒されたはずの魔王ハドラーが島を攻撃。ダイは“火事場”の馬鹿力のようなパワーを発揮して、ハドラーにダメージを与えて追い返します。ダイとポップは冒険に旅立ちますが、ハドラーからの刺客「六団長」が2人を襲います。

「六大団長」は、正々堂々を好む武人のクロコダイン、アバンを憎む人間の戦士・ヒュンケル、手段を選ばない野心家・フレイザード、ダイと因縁がある最強の騎士・バラン、謀略を好むザボエラ、大きな秘密を握るミストバーンと、くせ者ぞろいです。ピンチに次ぐピンチなのですが、アバンの弟子で勝気な女の子・マァムを仲間に加えて一行の冒険は進み、ハドラーと再戦。さらに大魔王バーンの秘密に迫る……というストーリーです。

 コミックスは全37巻(文庫22巻)ですから、大ヒット作「鬼滅の刃」の倍近い長さになりますが、負けず劣らず内容が濃いことは保証します。

 注目の新作アニメの第1話は、マンガの読み切りから始まりました。原作マンガを土台にしながら、「レオナの洗礼」などの場面が追加されたり、第2話の最後にアバンとポップを登場させて引きのシーンを作っています。大筋では旧作アニメと同じようですが、テンポも速く、新作でも丁寧に制作しているのが伝わってきます。

■キーキャラクターは「編集部からも嫌われた」クズ相棒キャラ

 主人公のダイは「勇者」ですから、強敵を次々と倒していきますが、勇者だけに「憧れの存在」といったところでしょうか。そしてダイの相棒であるポップこそ、読者の共感を呼ぶ存在であり、同作の魅力の象徴とも言えます。

 ポップは最初、口ばかりで仲間を見捨てて逃げる、とんでもないやつです。ところが話が進むと急激に成長します。強敵・バランの手で記憶を消されたダイを助けるため、捨て石になる覚悟で、バランの右腕である「竜騎衆」に単騎で戦いを挑むシーンは、同作の見せ場の一つではないでしょうか。これまでのポップの行動は、控えめにいって「クズ」でしたので、あまりの変わりように、当時は感動したものです。

 最終的には、アバンの仲間だった世界最強の魔法の使い手で、師匠でもあるマトリフからも「大したやつ」と“お墨付き”をもらうほどになります。また決戦では、パーティーの頭脳として活躍。敵からも「勇者一行でダイ以外に恐ろしいのはポップと(ダイの味方になった)ヒュンケルだけ」「成長度だけでいえばダイ以上」「ムードメーカー」と一目置かれてます。ここまで来ると「ポップよ、よくぞここまで成長したな」と、親のような気分にすらなります。

 ちなみにポップは連載当初、編集部からも嫌われており、三条さんが懸命にフォローしたエピソードが知られています。?言い換えれば、それだけイラっとさせるほどの存在感だったことが分かる話ですね。

■「強さのインフレ」を味方につけた

 魅力的なのは、ポップだけではありません。最初は邪(よこしま)な心を持つハドラーも心を入れ替えて、ライバルとしてダイを苦しめますし、ポップの師・マトリフも含蓄のある言葉をつぶやきます。魔族なのにダイに肩入れする武器職人のロン・ベルク。そしてアバンも最後の戦いでは、大活躍します。

 またキャラの演出、ストーリーとの組み合わせの妙もあります。作中では最強クラスのバランがハドラーの配下になった理由、大魔王バーンが世界を征服する理由も語られています。アバンが勇者だった時代の話も随所に出ています。マァムとポップらの“四角関係”もあったり、ラブコメ要素も入っていますね。

 終盤になると、序盤のことがすっかり忘れ去られる作品は珍しくありませんが、ダイの大冒険は違います。ダイがレオナ姫からもらう「パプニカのナイフ」は、本編の終盤でも出てきますし、ニセ勇者パーティーは、何と大魔王との戦いにも登場します。

 またバトルマンガでは、どんどん強くなる「強さのインフレ」は、マイナスのイメージでとらえられることが多いのですが、ダイの大冒険では関係ありません。RPGなので、経験値を積んで飛躍的に強くなるのは自然なことですね。六大団長を倒すごとに、ダイや仲間が強くなるのが明確に分かりますし、むしろ「インフレ」がないと困るわけです。

 作中でマァムが「僧侶戦士」から「武闘家」に転職しますが、ゲームではおなじみのシステムです。必殺技「ギガブレイク」、最強魔法「メドローア」は、誕生当初はマンガオリジナルでしたが、ゲームに“逆輸入”されています。「ダイの剣」も、剣が意思を持っていて、弱い相手だとさやが抜けず、ダイが死ぬと剣も死ぬという設定になっています。この設定は、作中でもきっちり生かされていて、非常に考えられていることが分かります。

 要するに「ドラクエ」頼みのように見えますが、「ドラクエ」に縛られることはなくむしろ利用して、一段上のコンテンツに仕上げた感じなのです。連載当時は「ダイの大冒険は、どうしてゲーム化されないのだろう」と思ったほどでした。

■25年前のコンテンツがまた花開こうとしている

 そう思っていただけに、再度のアニメ化に加え、三つのゲームが発表されたことは、25年越しの希望がかなったようで驚きでした。

 まず対戦カードアーケードゲーム「ドラゴンクエスト ダイの大冒険 クロスブレイド」が10月22日にスタートします。続いて、スマートフォン用ゲーム「ドラゴンクエスト ダイの大冒険 ‐魂の絆‐」、家庭用ゲーム機用ソフト「インフィニティ ストラッシュ ドラゴンクエスト ダイの大冒険」(対応ゲーム機未定)がいずれも来年に配信・発売予定です。

 なおゲームだけでなく、マンガアプリ「少年ジャンプ+」で現在、マンガ「ダイの大冒険」が公開されています。そして、ダイの師・アバンの若き日を描いたスピンオフマンガ「ドラゴンクエスト ダイの大冒険 勇者アバンと獄炎の魔王」の連載がVジャンプ(集英社)で始まるなどの力の入れようです。

 25年ぶりに復活した「ダイの大冒険」ですが、予想以上の大きな展開を見せています。四半世紀前にクローズしたコンテンツの活用方法として、ビジネスの面から見ても興味深く、今後の展開にも注目です。

(河村 鳴紘)

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