「腕や足を切り落とし、胴体解体に入ろうと…」白石被告の遺体解体を目撃していた女性がいた

「腕や足を切り落とし、胴体解体に入ろうと…」白石被告の遺体解体を目撃していた女性がいた

白石隆浩被告 ©文藝春秋

実は「13人と会っていた」という白石被告 なぜ4人は殺されなかったのか から続く

「まだ募集していますでしょうか?」

 2017年に神奈川県座間市のアパートで男女9人の遺体が発見された事件について、裁判員裁判が東京地裁立川支部で行われている。10月21日には、4人目に殺害された大学生Dさん(埼玉県所沢市、当時19、女性)に関する被告人質問が行われた。

■白石被告は「37アカウント」とやりとりしていた

 Dさんは大学の成績悪化と、それに関する母親の叱責の後で、Twitterにて一緒に自殺する相手を募集するツイートをした。その投稿を見た白石隆浩被告(30)がダイレクトメール(DM)を送ることで接点ができたという。冒頭の言葉は、白石被告が最初にDさんに送ったDMの内容だった。しかも、このDさん殺害後の遺体解体作業を目撃していた女性がいたことも明らかになった。

 白石被告は、2017年8月22日、「@_」や「@死にたい」というTwitterアカウントを開設した。それまでと同じように、女性のヒモになるか、ならなければ強制性交をした後、殺害し、所持金を奪おうとしていた。8月30日、9月4日にはホームセンターで遺体解体に必要な道具を購入している。ちなみに、これらのアカウントで「数十のアカウントとやりとりした」と白石被告は言うが、検察官は捜査段階の確認作業から「37アカウント」と示した。

 そんな中で、白石被告は4人目に殺害するDさんと会う前、Yさんと知り合っていた。YさんもTwitterで希死念慮を表明するツイートをしていた。DMのやりとりをした後、LINEのIDを交換し、やりとりを始めていた。以下は9月12日のLINEのメッセージだ。

白石 Yさん?

Yさん そうです。

白石 よろしくお願いします。何時ごろになりますか?

Yさん こちらこそよろしくお願いします。車で行こうと思いますが、何時ごろまでに行けばよいですか?

白石 駐車場がないんですよ。放置しますか?

Yさん 駐車場がないのですね。放置でもいいです。

白石 電車でもいいですよ。

Yさん 名前と年齢、性別を聞いていいですか。

白石 リョウ、24歳、男性です。首吊りするだけにロフト付きの部屋にしました(笑)

 このとき、「24歳」と称していたが、白石被告は「相手に近い年齢のほうが信用される」と思っていたようだ。さらに、9月13日から14日にかけて、次のようなやりとりをしていた。

Yさん 本当に死にますか?

白石 縄、薬、首吊りするための台、準備があります。現場を見てからでもかまいません。

Yさん リョウさん、信じて向かいます。今日は、お昼頃に出ます。

Yさん さっき出ました。早くて17時15分に到着します。

白石 到着したら連絡ください

(LINE通話)

 そして「一緒に死ぬ」という目的で、9月14日17時27分、最寄りの小田急線相武台駅で合流する。

■「Yさんは、性行為をしないほうが親密になれる」

「合流した後、部屋に連れてきましたが、Yさんからお金をひっぱれるかどうかを見極めるためでした。その結果、お金をひっぱれると判断しました。収入がありそうでした」

 検察官から「なぜ、そう思ったのか?」「相手の職業はなんなのか?」と聞かれると、白石被告は最初、「個人情報なので」と職業を明かさなかった。しかし、検察官に「特定されない形で」と言われて、「夜の商売」と答えた。飲食業なのか、性風俗業かは曖昧にしていたが、実は、これがYさんが殺されなかった理由にもつながる。

「Yさんとは性行為をしていません。性行為をしたほうが親密になれる女性と、しないほうが親密になれる女性がいます。Yさんは、しないほうが親密になれると思いました。なぜなら、Yさんは夜の仕事をしていました。仕事で体を求められる女性はしないほうがいいと思ったんです。スカウト時代にそういう女性を見てきました」

■LINEで「手ぶらで大丈夫です」

 親密になった白石被告とYさんは、9月23日までの10日間を、殺害された女性の遺体がある部屋の中で過ごしたことになる。しかも、その間、4人目の被害者Dさんが、白石被告の部屋に来ることになる。Yさんと会ったその日に、Dさんともやりとりしている。

「死にたい」 フォロー、ありがとうございます。まだ募集していますでしょうか?

Dさん まだ募集しています、2、3日中に実行しようと思っています。

「死にたい」 薬、縄を準備しています。

Dさん 方法や名前、性別、年齢をお願いします。

「死にたい」 ショウ、24歳の男性です。立ち姿勢、正座姿勢で首吊り自殺をするためにロフト付きの部屋を借りました。

Dさん ありがとうございます。ご都合が良ければ、今週の金曜日の夜でいかがでしょうか。

「死にたい」 わかりました。

Dさん 疑うわけではないですが、連絡先をお願いしてよろしいでしょうか。

「死にたい」 カカオやLINEでもよいでしょうか? 個人情報がわかってしまいますので。

Dさん LINEでお願いします。

「死にたい」 IDかQRコードでお願いします。

Dさん IDは×××です。

「死にたい」 送らせていただきました。

 その後のやりとりはLINEに移る。そして具体的な日程を決めた。

Dさん 日が沈む前ではなく、遅くなってしまいますが、大丈夫でしょうか。

白石 遅くなっても大丈夫です。

Dさん お手数かけます。

白石 万全を期すつもりです。

Dさん こちらこそ、よろしくお願いします。

白石 不安なことや不明なことがあれば、いつでも聞いてください。

Dさん こちらから用意したり、もちよったほうがいいものはありますか?

白石 手ぶらで大丈夫です。

Dさん 終わりが近づいたことで、少しだけ落ち着いて過ごせています。

■大学の「親子面談」を避けるために……

 こうしたやりとりを見ていると、Dさんが自殺相手を募集し、「9月16日」を指定している。なぜ、この日だったのか。それは弁護側が明らかにしている。実は、Dさんは大学の成績が振るわず、留年の心配をした大学側が、「親子面談」を指定してきたのだ。その日は「9月16日」だった。親子面談を避けるために、Dさんは白石に会う選択をしていることになる。

 9月16日は、Dさんはイタリアン料理の店でのアルバイトを終えて、22時30分ごろ、座間市へ向かった。実はこのとき、連絡が取れなくなった母親が、バイト先まで車で迎えに来ている。LINEでメッセージを送っても、電話をしても、Dさんからの応答はなかった。そして、深夜の0時26分に相武台駅の改札を出ている。

 このとき、白石被告は、防犯カメラがあると思われる、改札前で待ち合わせをしている。そして、それまでの被害者については失踪を装う工作をしていたが、Dさんのときはしていない。このとき、白石被告は「Twitterの友人がくる」といい、Yさんを駅前のカラオケ店に行かせている。

「この段階で3人の女性を殺害したが、警察の捜査が自分に及ばなかったことで心の中で油断しました。失踪を装うことも考えましたが、Yさんを待たせていたので、工作せずにやってしまおうと思いました」

■「腕や足を切り落とし、胴体の解体に入ろうとしていた」

 それまでの3人の殺害は、悩みを深掘りし、長い時間話をしたところで、殺害に及んでいる。しかし、Dさんは部屋に呼んで1時間も経たないうちに殺害している。筆者との拘置所での面会時には「3人目以降はあまり覚えていない」と語っていたが、たしかに法廷での返答にも「記憶がない」「覚えてない」がそれまでよりも多くなった印象を受けた。Dさんのときも、これまでと同じように、背後から襲い、失神させ、レイプして、殺害している。

 しかし、このときの遺体の解体は時間がかかっていた。長い時間がかかったため、朝を迎えてしまう。Yさんから翌朝、「何かありました?」とのLINEのメッセージが届く。しかし、白石被告は眠くなって、寝てしまっていた。このとき、まだ解体が終わっていないものの、Yさんが部屋まで戻ってきた。玄関先でYさんを迎えた白石被告は、部屋に入れる。

「まだ解体中でした。腕や足を切り落とし、胴体の解体に入ろうとしていたところでした。そのため、トイレは見ないでと言い、ロフトにあげたのです。このとき、解体の場面を見せているということは、事前に『Twitterの人と会って、自殺の手伝いをして、解体するかもしれない』と言っていたと思います。Yさんが警察に通報するかもしれないとも考えましたが、大丈夫だと思いました。知り合って、時間も経っていたし、信用、信頼、恋愛、依存のいずれかの感じがありました。私が逮捕されたら、Yさん自身が困るのではないかと思っていました」

■案の定、Yさんは警察に通報しない

 そもそも、レイプをした後に生かして帰すと犯罪が発覚する。もし、発覚すれば、執行猶予中だったために、確実に実刑になる。それを避けるために殺害を繰り返した。にもかかわらず、Yさんを帰しても、警察に通報しないと確信していたようだ。案の定、Yさんは警察に通報しない。「信用、信頼、恋愛、依存のいずれかの感じ」があったという、この2人の関係性も不思議なものだ。

 とはいえ、2人が完全に密接な関係になったわけではない。遺体が多くなってきたため、白石被告は、Yさんに「部屋に遺体の数が増えていったので、どこかに隠したい。レンタルルームを、Yさんの名義で借りてほしい」とお願いをした。しかし、Yさんが断った。どこまでも一緒というほどの関係ではない。

 白石被告はその後、Yさんに「生活費が足りないから、5万円を送ってくれないか?」と要求していた。Yさんも「振り込む」と応じていたという。

 この日の法廷でも、白石被告は当初、弁護側質問に「答えるつもりはありません」と拒否していた。しかし、検察側からの質問に答えた後の、弁護側質問には応じた。この中でわかったのは、Yさんは結局、5万円を白石被告に振り込んでいないことだ。なぜなら、白石被告が生活費を要求したのが10月26日。逮捕された10月31日の5日前のことで、Yさんは報道で白石被告の逮捕を知り、振り込まなかったのだ。

(渋井 哲也)

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