「神戸、尼崎、岡山…連続銃撃は高山出所へのアピールで若い衆が仕掛けた」暴力団幹部が証言するカリスマヤクザの存在感

「神戸、尼崎、岡山…連続銃撃は高山出所へのアピールで若い衆が仕掛けた」暴力団幹部が証言するカリスマヤクザの存在感

府中刑務所を出所し、品川駅に到着した6代目山口組の高山清司若頭 ©?共同通信社

ドキュメント“超武闘派若頭”高山出所 いま明らかになる「山口組vs警察」暗闘の現場 から続く

 山口組ナンバー2の若頭、高山清司が昨年10月に約5年4カ月の恐喝事件の刑期が満了し、東京の府中刑務所を出所してから1年が経過した。

 高山の出所後、山口組分裂抗争は激しさを増し、銃撃事件も相次いだ。キーマンの高山の周辺では一体何が起きていたのか。

■「自ら分裂の収束へ決着をつける」

「自分が不在の間に山口組が分裂となってしまい、親分の司に汚点を残してしまうことがないよう、出所したら自らの手で分裂の収束へ向けて決着をつけるのだという考えではないか」

 山口組の事情に詳しい指定暴力団幹部は、このように推測する。発言に出てくる司とは6代目山口組組長の司忍のことだ。

 司は1960年代に名古屋市に拠点を置く山口組弘田組(当時)に加入し、地元組織との抗争事件を経て中京地区に勢力を拡張。山口組が名古屋に拠点を築く際に大きく貢献したことで、弘田組の地盤を引き継ぎ、弘道会を結成することになる。その後もキャリアを重ね、2005年8月に6代目山口組組長に就任した。

 高山は弘田組時代から、その司と長年にわたり行動をともにしてきた。高山について、警察当局の幹部は次のように語る。

「武力だけでなく知力も兼ね備えた男だと認識している。武闘派であるとともに経済活動にも秀でた経済ヤクザでもある。中部国際空港の建設工事に関与し、多額の経済的利益を得ていた」

 暴力団関係者の多くは、「中部国際空港の工事で1000億円以上を手にしたと聞いている。当時は直参ではなかったが、『弘道会の高山』と言えば、業界では誰でも知っている存在だった」と強調する。

 高山は司の後任として2代目弘道会会長として山口組直参(直系組長)に昇格。そして、2005年8月、6代目山口組のナンバー2の若頭に就任し、山口組の組織運営にあたってきた。山口組内で名門と呼ばれる山健組と並んで、弘道会が2大派閥と呼ばれるようになったのも、高山の活動が大きいとされている。

 2015年8月に山口組が分裂したのも、警察当局の幹部の多くは「高山の社会不在が大きかったのは間違いない」と口を揃える。

 高山が恐喝容疑で京都府警に逮捕されたのは2010年11月。京都地裁で懲役6年の実刑判決が言い渡され、最高裁まで争っていたが、2014年5月に上告を取り下げ、同年6月に収監。府中刑務所で服役することになったのだ。

■高山の出所で加速する銃撃

 その高山の出所は、6代目山口組を一気に動き出させることとなった。

 高山が出所する8日前にあたる昨年10月10日には早速、弘道会系幹部が、神戸市内で神戸山口組の山健組系組員2人を射殺。11月18日には、熊本市内で神戸山口組系幹部が刃物で刺され、19日には札幌市内で別の神戸山口組系幹部宅に車両が突入する事件が発生した。警察関係者によると、いずれの事件も、高山が熊本、札幌の6代目山口組系の組織を「激励」した直後に発生していたという。

 さらに、衝撃的な事件が起きる。11月27日、夕暮れ時の尼崎市の商店街で6代目山口組系竹中組の元組員が自動小銃を乱射し神戸山口組幹部、古川恵一を射殺したのだ。使われた銃器は「M16」と呼ばれる自動小銃で、数十発が発射された残忍さだった。

 6代目山口組と神戸山口組の対立抗争事件を注視していた指定暴力団幹部は、「古川は、6代目側から神戸側に寝返ったということだが、当時はすでに若い衆も離れて、組織というほどではなかった。なぜ、自動小銃で弾を撃ち尽くすほどの殺し方をする必要があったのかと思った」との感想を漏らしていた。

 事件は年をまたいで続いた。今年5月には、岡山市で神戸山口組池田組最高幹部が銃撃されて重傷。犯行は6代目山口組系大同会の幹部によるものだった。さらに8月には山口県岩国市で神戸山口組木村会(当時)幹部が6代目山口組竹中組系組員に銃撃を受けて重傷を負った。

■「親分を売り出すために」

 高山の出所を契機に始まった、6代目山口組による神戸山口組側への一方的な銃撃事件の続発。山口組の事情に詳しい前出の指定暴力団幹部が指摘する。

「事件をやった竹中組や大同会は、高山が服役中に6代目山口組の中で出世している。大同会は事実上のナンバー3とされる『本部長』、竹中組は『若頭補佐』と、いずれも最高幹部に就いた。高山が出所してきたことで、竹中組や大同会の若い衆が自分の親分を売り出すために、神戸側に事件を仕掛けて走ったと考えるべきではないか」

 組織犯罪対策を担当している警察当局の捜査幹部も、「竹中組、大同会ともに、高山に向けて6代目山口組の傘下組織としての存在感をアピールするために事件を起こした可能性がある」と同様の見方を示す。

 高山の出所前については、警察当局内部でも「影響はそれほどない」とする懐疑派と、「大きな動きに繋がる」とする警戒派に意見が割れていたという。しかし、出所後に続発した事件をきっかけとして、警察当局は改めて高山の影響力を認識することとなったようだ。

■相次ぐ6代目側への移籍、ヒットマンは潜伏か?

 高山出所から1年が過ぎた現在でも、高山出所後の緊迫した状態が続いていると言っていい。その中で、いま所在が注目されている人物がいる。絆会ナンバー2の金沢成樹だ。

 9月28日、長野県松本市に拠点を置いている絆会系竹内組(当時)が、6代目山口組系への移籍がほぼ内定したことで、絆会の金沢が竹内組組長の宮下聡を銃撃。宮下は一命を取り留めたが、金沢は拳銃を所持したまま現在も逃走中なのだ。

 長野県警が殺人未遂容疑で指名手配して行方を追っているが、別の事件を引き起こすために潜伏しているのではないかとの不穏な情報も錯綜している。

 この事件の発端となった絆会系竹内組をめぐっては、同組組員約30人は6代目山口組系弘道会傘下に移籍。ほかにも、神戸山口組系だった宅見組からも数十人が6代目山口組側に移籍し、神戸山口組系木村会も6代目山口組系に名称を変更して移籍したとされる。

 高山出所から1年が経ち、いよいよ地殻変動の様相を見せている対立抗争。形勢は6代目山口組側に有利に動いているのが実情だ。(敬称略)

(尾島 正洋/Webオリジナル(特集班))

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