「3か月で300万円儲かりました」 “エリート学生”はなぜ持続化給付金詐欺に手を染めるのか

「3か月で300万円儲かりました」 “エリート学生”はなぜ持続化給付金詐欺に手を染めるのか

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 持続化給付金の不正受給者の摘発が全国で相次いでいる。そのなかでも、やたらと目に付くのが大学生が加担したケースだ。

 10月21日には、持続化給付金をだまし取ったとして、同志社大2年の20代の男子学生ら2人が、詐欺の疑いで逮捕された。

■取り分は10万円...指南は詐欺グループ

 京都府警によると、この男子学生は6月、学生サークルを通じて知人の女子学生ら2人に個人事業主を装わせ、コロナの影響で収入が半減したとして給付金計200万円を不正受給させていたという。

 不正受給させた一人当たり100万円の給付金のうち、女子学生が得ていたのは30万円。男子学生は10万円を受け取っていたようだ。そして残りの60万円を巻き上げていたのは、男子学生の背後にいたとされる、詐欺グループだ。

 京都府警は、この詐欺グループの指南役の男らと、男子学生とこのグループをつなげて分配金を受け取った男の5人も逮捕している。

 そもそも、持続化給付金の不正受給での逮捕者第1号も大学生だった。

 卸売業の個人事業を営んでいるという嘘の確定申告書を税務署に提出したうえで、持続化給付金の申請サイトに確定申告書や売上が減った台帳などを提出して、給付金100万円を受け取ったとして、7月22日に山梨県警に逮捕された埼玉県内の未成年の男子学生がそれだ。その後、この男子学生と共謀していたとして、大学生を含む20代の男女5人も逮捕されている。

 ほかにも、愛知県や広島県でも、大学生の逮捕事例が相次いでいる。

■大学1年生からマルチ商法の販売組織に所属

 実は筆者も9月に、都内の有名私大に通う22歳の大学生から、持続化給付金の不正受給の告白を受けていた。

「実は、大学生を中心に不正受給の代行を10人分ほどやってしまいまして……。僕も逮捕されますかね……」

 約3年ぶりにかかってきた電話に、筆者は相手が誰なのかすぐには分からなかった。しかし、二言三言交わすうち、かつて学生らの間で広がっていた仮想通貨関連のマルチ商法を取材していた際に話を聞いた男子学生のSだと思い出した。

 当時大学1年生だった彼は、インカレ系のイベントサークルAに所属。しかしそのサークルの実態は、ICOへの投資を建前としたマルチ商法の販売組織で、サークル内は完全にピラミッド構造になっていた。サークルの幹部らは、100人以上の学生メンバーから吸い上げたカネで、都内で豪遊する姿などをSNSに盛んにアップしていた。

 同サークルで、1年生ながらかなりの勧誘実績を上げていたのが、Sだったのだ。

「あの後1年足らずで、仮想通貨ブームが去り、Aも活動停止状態になったので僕は脱退したんです。その後は、FXの自動売買ツールや情報商材への投資などのネットワークビジネスを学生をターゲットにやっていました。去年は年間300万くらい稼げたので、この道で食っていくつもりで就活もしませんでした。

■仲間から「持続化給付金の不正受給が楽に儲かる」と聞いて

 ただ、コロナになると勧誘活動もいったんストップしてしまい、収入が激減した。しかし、今年の6月に、『持続化給付金の不正受給が楽に儲かる』という話をネットワークビジネスの仲間から聞いて、まず自分で申請してみた。すると簡単に100万円が手に入ったので、次は他人の不正受給の申請代理をやるようになったんです。幸い、ネットワークビジネスをやっている学生100人くらいの顧客リストがあったので、彼らにSNSで一斉に『30万円で申請代理』と送信した。すると20人くらいから反応があった。そのうち10人の申請代理をして、実際にみんな満額受給することができた。3か月で300万円儲かりました」(S)

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 Sはその後、報道で持続化給付金の不正受給の容疑で逮捕例が相次いでいることを知って不安になり、関連する著書を出版している私のところに連絡してきたというわけだ。

 3年前に会った際には「自分のオヤジみたいになりたくないから学生のうちから稼ぎたい」などと意気揚々と話していたSだったが、電話口ではずいぶんとおびえた様子だった。

 そんな彼に筆者は、自首を勧めることくらいしかできなかった。

■持続化給付金の不正受給をそそのかす書き込みがいくつも

 Sも含め、全国で続発する大学生による持続化給付金の不正受給の背景には、最近の大学生の金儲けに対する関心の高さがあるように思う。

 Sとの出会いとなった、3年前の取材では、親の援助のもとで経済的にそれほど不自由のない生活を送る学生が、一攫千金を夢見てマルチ商法の毒牙にかかるというケースをいくつも目にした。

 今でもSNS上には、学生を含む若者同士が怪しい儲け話をやり取りするコミュニティがいくつも存在する。一時は、そんなコミュニティで、「学生でももらえます」などと、持続化給付金の不正受給をそそのかす書き込みがいくつも投稿されていたのだ。

 確かに金儲けに興味のある若者が多く参加するコミュニティで、不正受給を呼び掛けることは、合理的といえる。

 つい10年ほど前なら、「いい会社」に就職することこそが、多くの大学生にとって共通の目標だった。ところがバブル崩壊から30年を経ても、民間企業の平均給与に大きな上昇は見られず、終身雇用制度は崩壊しようとしている。

 そうかと思えば、若くして巨万の富を得るIT起業家やYouTuberも少なくない。こうした「勝ち負け」を意識せざるを得ない世の中が、輝かしい将来が待っているはずの大学生たちの「山っ気」を増幅させ、その一部を持続化給付金の不正受給に向かわせているのかもしれない。

(奥窪 優木)

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