ユーチューバーばかりがなぜモテる? 脳科学者・中野信子が考える“女性の結婚観の変化”

ユーチューバーばかりがなぜモテる? 脳科学者・中野信子が考える“女性の結婚観の変化”

中野信子さん ©文藝春秋

「有名人の自死がショックで何も手につかない」…中野信子が教える「あなたに必要な“4段階”」 から続く

 みなさまのお悩みに、脳科学者の中野信子さんがお答えします。

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■Q ユーチューバーばかりがなぜモテる?――45歳・既婚・会社員からの相談

 小5の息子がいます。昨年の学研の調査で、男子小学生が将来なりたい職業の第1位はユーチューバーでした。息子もまさにそうです。音楽を配信したり、ゲームを実況したり、楽しそうな仕事に見えるのでしょう。

 人気は子どもにとどまらず、池田エライザさんやフジテレビの久代萌美アナウンサーなど華やかな女性たちがユーチューバーと恋愛しているではないですか。ユーチューバーは大金を稼いでいるかもしれないけれど、それが続くとは到底思えません。だから、上昇志向が強いはずの女子アナが結婚を決意しているという報道には驚きました。なぜ、こんなにユーチューバーがモテるのでしょうか。

■中野信子の回答

A ユーチューバーは新しい職業ですから、お母さんとしては心配で抵抗があるのもわかります。特に近年は迷惑系ユーチューバーの逮捕などあまり好ましくない話題が続きましたから、なんだか困った人たちというイメージが強いのかもしれません。

 しかし、これから先、AIの登場などによってこれまでの職業がどんどんなくなっていくといわれていますね。従来、どんな仕事にも合理性とコストパフォーマンスが求められてきたわけですが、そこはとっくにマシンやコンピュータが担うようになっている。人間は安定的に、コストを掛けずに職務を遂行できる能力で競うのではなく、違った部分を武器に戦っていける力が大事になってきているのではないでしょうか。

 何かというと、どちらかといえば合理性には欠け、コストも掛かる、美しさ、楽しさを生み、感じる力です。人間とは「美」のようなおよそ非合理なものを心地よく感じるようにできていて、これには広い意味での生存適応的な意味があるのです。

 ユーチューバーがやっているのは、人にわかりやすく「これは役に立つ」あるいは「美しい」「楽しい」と思わせる情報を動画で提供することです。多くの人がこうした情報を求めるのもわかります。アイドルや芸人、アスリートなどがどんどん新規参入して競争も激しくなっています。けっして、ラクをして一時的に儲けるだけの職業、というわけではないと思いますよ。

 お子さんが興味を示しているのであれば、「お母さんもどんなふうにお仕事しているのか知りたいから一緒に勉強しようか」と、ユーチューバーの仕事の仕組み、どのぐらい再生回数があれば広告が付いて稼げるのか、そのためにどういう努力をしているのか、いろいろ学んでみるのはいかがでしょう。ユーチューブの攻略法を、親子で考えてみるのです。その中で、新しい時代の思考の構造の一端を知ることができるでしょう。

■賢く美しい女性たちの結婚観は変化しているのでは

 美しい女性がユーチューバーとお付き合いしていることについて、「上昇志向が強いはずの女子アナが……」というのはとてもおもしろい見方ですね。上昇志向が強い女性は、いわゆるIT長者や老舗の御曹司のような大金を自由にできる人、あるいは有名なスポーツ選手や政治家のような名誉のある人の奥様に収まるイメージが一般的にあるということでしょうか。

 でも、まさに今私たちが経験しているように、いつでも予期しない出来事というのは起こるものです。時代は常に変わっており、世の中がどう変わっていくのかは誰にもわからないのです。昨今は特に、変化が激しく感じられる時代といえるかもしれません。

 賢く美しい女性たちは、結婚がゴールであるという考え方を持たなくなってきたのではないでしょうか。どんな男性と一緒になったとしても、安定した人生を送っていけるわけではない、誰かに下駄を預けて生きるなんて不安だと考えはじめている。

 高い波が襲ってくる海の上に私たちはいる。どんなにすばらしい、大きな船に乗っていても、いつ沈没するかわからない。相手も精いっぱいで、しがみついていられる余裕はなさそうだ。たとえ余裕があっても、いつまでその余裕を妻に使ってくれるかわからない。

 それならば、自力で泳ぐことをまず考え、それを応援してくれるような人を選ぶのが最善ではないでしょうか。一緒にいて元気をもらえる人、自分も前に進んでいけそうだと思える人、おもしろい人、自由でいられる人―パートナー選びは、時代を如実に反映します。

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text:Atsuko Komine

(中野 信子/週刊文春WOMAN 2020 秋号)

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