“マスク拒否おじさん”が記者に語った言い分……東大卒の頭脳をなぜトラブルに費やすのか

“マスク拒否おじさん”が記者に語った言い分……東大卒の頭脳をなぜトラブルに費やすのか

送検時の奥野被告

「逮捕されて捜査車両に乗せられる際も、『不当な警察権力の介入が行われたことは遺憾に思っています』と叫んでいました。勾留中もマスクをすることはなく、捜査員も着用させることを諦めたそうです」(全国紙社会部記者)

◆◆◆

 ピーチ・アビエーションの旅客機内でマスク着用をめぐり客室乗務員とトラブルになり飛行機を遅らせたとして、1月19日、大阪府警に逮捕された奥野淳也被告(34)。

■CAの左手を捻って2週間のケガ

 事件の発生は昨年9月。釧路発関西空港行の機内で、奥野被告はCAのマスク着用のお願いを拒否した。離陸後も威圧的な態度で拒み続け、CAの左手を捻って2週間のケガを負わせたのだ。逮捕容疑は威力業務妨害と傷害、航空法違反。1月22日、大阪地検は起訴に踏み切った。

 事件後、奥野被告は「マスパセ(マスク未着用途中降機乗客)」という名義のツイッターを開設(“マスパセ”はマスク・パッセンジャーの意)。問題の本質はピーチ社の過剰反応であるとの主張を展開し、マスク着用を拒否するのは、自らの「健康上の理由」である、として、それ以上の説明は今に至るもしていない。

 実はこの人物、マスクを巡っては他にも大立ち回りを演じている。

「昨夏、皇室ゆかりの品々を展示する皇居・三の丸尚蔵館と、札幌市の大倉山展望台でもマスク拒否トラブルを起こしています。11月には長野県松本市のホテルの食事会場で従業員にマスクと手袋の着用を求められると拒否し警察が出動。鑑識班が捜査する騒動となりました」(同前)

 なんともハタ迷惑な御仁だが、経歴から窺えるのはその秀才ぶりだ。大阪府郊外の実家の近隣住民が語る。

「奥野家といえば本家も分家も立派なお屋敷をお持ちです。お父さんは市役所に勤めていましたが、200坪超の土地を所有する大地主。今回事件を起こした子は、いうてみれば“ボンボン”です」

■東大時代は「とにかく理屈っぽくて浮いた存在」

 京都府屈指の名門・洛星高校を2005年に卒業、現役で東京大学法学部に進学した。大学の同級生に当時の印象を尋ねると、

「とにかく理屈っぽくて浮いた存在でした。“変人”って感じで。友達はほとんどいなかったのではないでしょうか。それでもサマースクールのサークルに入っていて、夏休みは長野の山小屋にいき、地元の小学生と交流していました」

 09年に東大大学院法学政治学研究科に進学。留学を経験した後、最近は明治学院大の非常勤講師として学生のレポートの添削をして生計を立てていた。逮捕時は家賃4万円ほどの茨城県内の団地に居住していた。

 起訴後、大阪地検は勾留を請求したが大阪地裁が却下。奥野被告は即日釈放された。奥野被告のSNSを通じて取材を申し込むと1月25日、本人が応じた。

■「私は“マスク拒否おじさん”ですから」

 開口一番、「お騒がせしております」と語った奥野被告。今後、裁判の場でいかなる主張をしていくのか。

「まだ陳述書を書いていませんので、私のほうがどういう主張をするのかという点は、今後弁護士と話し合いをしたうえで考えていきます。今まで(SNSなどで)お話ししてきたことに関しましては『その通り』でございます」

 それにしても、その明晰な頭脳をこんなトラブルに費やすのは、いかにももったいない気がするが……。本人はどう考えているのか。

「世間においては色んな見方があるとは思いますけども……。きちんと主張しなければいけないことは主張したほうがいいのではないかと思っています。そこは、ちゃんと筋を通すべきことは通すことが必要だと思っています」

――送検の際にはマスクをしていなかったが、捜査員のマスク要請を拒否した?

「いえいえ。マスクの着用要請はなかったんです。取調べの時に『マスクしませんか?』と1回言われましたが、『私は“マスク拒否おじさん”ですから。どういう人をしょっぴいて来たのかご存知でしょう』と。それ以降は留置場の職員や送検時の介護員などからも(着用しろと)言われたことはありませんでした」

 と、どこまでも初志を貫く格好のマスパセ男。ひょっとして、マスクをしないのはその能弁を妨げないためなのかも。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年2月4日号)

関連記事(外部サイト)