菅官邸を怒らせた……NHK「ニュースウオッチ9」有馬キャスターが3月いっぱいで降板

NHK『ニュースウオッチ9』有馬嘉男キャスター降板へ NHKトップは官邸からの抗議否定

記事まとめ

  • NHK『ニュースウオッチ9』有馬嘉男キャスターが、3月いっぱいで降板する事が分かった
  • 有馬氏は、昨年10月に生出演した菅義偉首相に対して、斬り込む発言をしていた
  • 有馬氏降板背景に官邸の怒りがあるのではとの声がある中、NHKトップは官邸の抗議否定

菅官邸を怒らせた……NHK「ニュースウオッチ9」有馬キャスターが3月いっぱいで降板

菅官邸を怒らせた……NHK「ニュースウオッチ9」有馬キャスターが3月いっぱいで降板

和久田アナとタッグを組む有馬氏(「ニュースウオッチ9」より)

 NHK「ニュースウオッチ9」の有馬嘉男キャスター(55)が3月いっぱいで番組を降板することになった。後任には、元ワシントン支局長の田中正良氏が就くという。

 2017年から4年間にわたり番組をけん引してきた有馬氏。昨年10月、生出演した菅首相に対し、学術会議問題について斬り込み、菅首相が不快そうな表情で答えたことが話題となっていた。当時、降板の可能性を報じた「週刊文春」2020年12月24日号の記事を再公開する。なお、日付、年齢、肩書は当時のまま。

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「所信表明の話を聞きたいといって呼びながら、所信表明にない学術会議について(菅義偉首相に)話を聞くなんて。全くガバナンスが利いていない。NHK執行部が裏切った」

 朝日新聞が2020年12月12日付朝刊で報じた発言。坂井学官房副長官が5日夜に会食した時のものだ。菅官邸の中枢が怒りの矛先を向けているのは、NHKの――。

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「学術会議について首相に話を聞いた」のは、「ニュースウオッチ9」(10月26日放映)の有馬嘉男キャスター(55)だ。

「有馬氏は記者出身。経済部が長く、シンガポール支局長などを経て、大越健介キャスター時代の『9』デスクに就任しました。その後、17年から『9』キャスターを務めている。インタビューでは『NHKには非常に厳しい目が向けられている』などと語っています」(NHK関係者)

 その有馬氏が斬り込んだのが、臨時国会で焦点となっていた学術会議問題。生出演した菅首相に対し、

「現状を改革していくっていう時には、説明が欲しいという国民の声もあるようには思うんですが」

 などと指摘していく。すると首相は語気を強めて、

「説明できることとできないことってあるんじゃないでしょうか」

 と、不快感を露わにしたのだった。

 このやり取りは、NHK局内で大きな波紋を広げた。

■多くの報道局員が感じた政権の“圧力”

「学術会議問題が事前の質問項目にはなかったとして、山田真貴子内閣広報官が原聖樹政治部長に抗議したという話が広がり、多くの報道局員が政権の“圧力”があったと受け止めたのです。後に原氏も『怒られた』と漏らしていた。菅首相と言えば、『クローズアップ現代』の国谷裕子キャスター降板にも関与が囁かれ、また来たか……と上層部は慌てていました。11月18日には年末恒例のNHKスペシャル『永田町・権力の興亡』の放映中止が急遽決定しましたが、首相から出演拒否の意向が伝えられたことがキッカケだとされます」(NHK報道局員)

 今回、坂井氏の発言が明るみに出たことで、菅官邸が有馬氏の質問に苛立ちを募らせていたことが、改めて裏付けられた。そんな中で取り沙汰されているのが、有馬氏の「降板」である。

「12月末のキャスター委員会で、来年3月での降板が決定すると見られます。大越氏は在任5年、前任の河野憲治氏は2年だった。有馬氏も丸4年を目前に、交代時期として不自然ではありませんが、親しみやすく、好感度も高い。それゆえ、降板の背景には官邸の怒りがあるのでは、と言われています」(NHK職員)

 有馬氏は“任命拒否”されるのか。本人の携帯を鳴らすなどして取材を申し込んだが、返事はなかった。

 NHKトップの前田晃伸会長に話を聞いた。

■「聞くべきことを聞かなかったらヤラセじゃない」

――有馬氏の質問が官邸で問題視されているようだ。

「でも、取材ってそういうものでしょ? その時、聞くべきことを聞かなかったらヤラセじゃない。そっちの方がおかしいでしょう」

――坂井氏は「ガバナンスが利いていない」と。

「そういうの、ガバナンスっていうのかな」

――官邸から抗議は?

「全くない、あり得ないよ」

――官邸の意向を汲んで有馬氏が今年度で降板?

「知らないよ。社内の誰が言ったのか教えてくれないと、確認しようがない」

 NHKの回答。

「個別の人事については、お答えできません。(『権力の興亡』の中止は)放送予定が確定した番組以外は、お答えしていません」

 説明できることとできないことがあるようだ。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年12月24日号)

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