580億円相当の仮想通貨流出で31人立件も……“逃げ切り”に成功したのは誰だ?

580億円相当の仮想通貨流出で31人立件も……“逃げ切り”に成功したのは誰だ?

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 約580億円相当の仮想通貨NEMが、取引所コインチェックから流出した事件。警視庁サイバー犯罪対策課は1月22日、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益収受)の疑いで計31人を立件したと発表した。

「流出が発生したのは18年1月。コインチェックのサーバーが何者かにハッキングされ、NEMが外部に持ち出されました。その後、相場より15%安く別の仮想通貨と交換するというメッセージが突如、通常の操作では閲覧もできない『ダークウェブ』上に出現。それに応じ、盗まれたNEMと知りながら別の仮想通貨と交換して利益を得た疑いで31人を検挙したのです」(警視庁担当記者)

 立件されたのは全員が日本人の男性で、20〜40代。医師や会社役員など収入や社会的地位も高い人間が大半だった。中には1人で67億円相当の交換に応じた者もいたという。ただ、検挙対象は約190億円分に留まり、流出総額の3分の1に過ぎない。

「実は、今回の発表は捜査機関としては異例の『中間発表』。適用された犯罪収益収受罪が間もなく時効を迎えることも、背景にあったようです。とはいえ、取引所をハッキングした“首謀者”への言及はありませんでした」(同前)

 捜査にあたったサイバー犯罪対策課は、警視庁生活安全部の中でも最大の200人以上の人員を誇る。警察庁のキャリア課長が率いるのは、民間会社から転職したハッカーや全国警察からの出向組が揃う精鋭部隊だ。しかし、捜査関係者は「仮想通貨の行方もハッキングの痕跡も海外を転々としており、国境が捜査を阻んでいるのが実情」と漏らす。

■コインチェックの経営陣はどうなったか

「国連の報告書では、北朝鮮のハッカー集団が流出に関わったことが示唆され、別の民間調査からはロシア説も出ています。しかし、日本で立件するにはパソコンの操作をした人間の特定までが必要で、不可能と言ってもいい。警視庁は今後も電子計算機使用詐欺などの疑いで捜査を続けるとしていますが、迷宮入りが濃厚です」(前出・記者)

“逃げ切り”に成功したハッカーたち。一方、コインチェックの経営陣はどうなったか。事件当時、社長だった和田晃一良(こういちろう)氏(30)。謝罪会見ではしどろもどろの説明に終始していたが、

「18年4月、マネックスグループの傘下に入ることで、困難と見られていた顧客への返済を完了させました。社長を辞任した和田氏自身も19年9月、同社の副社長に復権。マネックス執行役員も兼務しています。ツイッターを頻繁に更新していますが、今回の31人立件には触れず、アニメに関する投稿などを重ねていました」(金融関係者)

 警視庁、取引所、そしてハッカーたちのイタチごっこは終わりそうにない。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年2月4日号)

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