“日本最古の全国紙”毎日新聞が資本金を1億円に “中小企業化”のメリットとリスク

“日本最古の全国紙”毎日新聞が資本金を1億円に “中小企業化”のメリットとリスク

中日新聞にも部数で追い抜かれた(写真は毎日新聞本社ビル) ©共同通信社

 日本最古の全国紙、毎日新聞社。1月15日に臨時株主総会を開き、資本金41億5000万円を1億円に減資する議案を承認した。グループ会社で、創価学会の機関紙「聖教新聞」などを印刷する東日印刷も資本金を1億円に引き下げる。

 中小企業基本法では、新聞社などは「資本金3億円以下」か「従業員数300人以下」のいずれかを満たした場合、「中小企業」の扱いとなる。毎日はなぜ「大企業」の看板を捨て「中小企業」の道を選んだのか。

「05年頃まで約400万部だった発行部数は現在、約205万部まで減少している。経営は悪化の一途を辿り、昨年3月期(毎日新聞グループHD)には、56億円超の大幅赤字に転落しました」(毎日関係者)

 50代以上の社員を対象にして、全社員の約1割にも及ぶ200人規模の早期退職を募集するなどしたが、

「頼みの不動産事業はコロナ禍で苦戦を強いられており、今期も相当厳しい数字が予想されている。金融機関が債務者区分の格下げを検討するなど、財務の立て直しは待ったなしの状況だったのです」(同前)

■「中小企業」になることのメリット、デメリット

 そこで毎日が踏み切ったのが「減資」だった。減少分の資本金40億5000万円を「剰余金」に振り替えることで、「30億円超と見られる繰越損失」(民間信用調査会社)を会計上は一掃できる。さらに「中小企業」となることで、税務上のメリットも少なくない。

「中小企業には『欠損金の繰越・繰戻還付』『投資促進税制』など様々な優遇措置がある。例えば『固定資産税の特例措置』では一定の条件を満たす機械装置等を新たに導入した場合、固定資産税が3年間にわたり半額に減免されます」(メガバンク関係者)

 しかし、中小企業化はメリットばかりではない。

「株式会社としての信用力が低下する。資本金が減れば、新たに大きな損失が発生した場合、穴埋めも難しくなります」(同前)

 15年に経営不振に陥ったシャープが、1200億円の資本金を1億円に減資しようとしたことがある。だが、毎日(19年9月25日付朝刊)も報じたように、最終的に〈「大企業の課税逃れ」との批判を浴び資本金5億円への減資に変更〉せざるを得なかった。それほど、1億円への減資は“禁じ手”なのだ。

 毎日新聞社長室の回答。

「累積損失の一掃は考えておりませんし、債務者区分の格下げの可能性を伝えられた事実はありません。税法上、様々な優遇措置については、当社がお答えする内容ではありません」

 経営は火の車だが、新聞協会賞を最多受賞してきた“毎日ジャーナリズム”の火を絶やしてはならない。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年2月4日号)

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