「痩せたら他人に寛容になれた」10ヶ月で48キロ減のクイズ作家が語る、ダイエットで起きた“メンタルの変化”

「痩せたら他人に寛容になれた」10ヶ月で48キロ減のクイズ作家が語る、ダイエットで起きた“メンタルの変化”

古川洋平さん ©山元茂樹/文藝春秋

「がむしゃらな努力は嫌いなんです」10ヶ月で48キロ減、クイズ王・古川洋平が語る“効率的すぎる”ダイエット術 から続く

 10ヶ月で48キロの減量を達成した人気クイズ作家の古川洋平さんは、痩せて変わったのは身体だけではないと語る。

 ダイエットをきっかけに起きた自分や他人との向き合い方の変化や、クイズ作家としての成長、そして「今、うれしくてしょうがないこと」などを聞いた。(前後編の後編/ 前編 から読む)

■幼い頃から「これは太るな」というものが大好物だった

――痩せる以前のお話もお聞きしたいのですが、幼い頃から太っていたのですか?

古川 いま思えば、幼稚園の時にはもう太っていましたね。その頃は大食いだった自覚はないですけど、これは太るな、というものが昔から大好物でしたね。いまでも大好きなものばかりですけど。
?
 たとえば、ラーメンだったらコッテリしているほどおいしいと感じるし、丼物も大好きで食べまくっていました。とにかく、お米が大好きだし、パンも大好きと、炭水化物ばっかり。おかずだったら断然お肉。お肉の中でも脂身が大好きで、豚の脂身のところだけ食べていてもいいぐらい。とにかく脂が多いものと炭水化物がいっぱい摂れたらうれしい。お魚や野菜はいらないみたいな。
?
――お菓子もガッツリといった感じで。

古川 逆にお菓子を食べる習慣はそんなにはなくて。もちろん、甘いものも嫌いじゃないんですけど、ご飯でお腹いっぱいになりたいんですよ。「もう食べれない」というところまで食べて、「次のご飯楽しみだな〜」みたいな感じで、とにかく満腹までは食べないと満足できなかった。当たり前ですけど、それって結構な量を食べているということなんですよね。

■一人暮らしを始めてから一気に太りました

――ご両親も体が大きかったとか?

古川 父親は若い頃は若干太ってましたけど、いまは父親も母親も痩せ型といった感じ。祖父は恰幅が良かったけど、100キロ超えみたいな人は親族では僕以外はいなかったですね。僕は背が175センチあるんですけど、身長に関しても僕だけが突出して高い。?

 ただ、母親が料理するのが大好きですごく上手なんですよ。母方の両親が仕出し弁当の店をやっていたせいか、母親は学生時代から料理やお菓子作りを趣味にしていた。だから、子供の頃から手作りの料理をいっぱい作ってもらって、お腹いっぱい食べるのが幸せだったんですよね。

 18歳までは実家で暮らしながら母のおいしい手料理を食べていたわけですけど、大学進学で一人暮らしを始めたんですよ。そうなると自分の好きなものを好きなだけ食べられるので、一気に太りましたね。さらに20代に突入して就職1年目で、仕事のすさまじいストレスを食べることでしか発散できなくて100キロ超え、みたいな感じですかね。以降、ずっと100キロ人生でした。

■食べている瞬間だけは、普段の嫌なことを忘れられる

――当時の食生活って、どんな感じでしょう。

古川 休みの日だと、11時とか12時に目を覚ますんですよ。もう、そこで朝食を抜いちゃっているわけですね。で、「お、なんだか今日は調子いいからいけるな」と思ったら昼にコッテリしたラーメンを麺を400グラムくらいにしてもらって食べる。

 夜になったら「ちょっと、ご飯でも行く?」と友達を誘って、しゃぶしゃぶの食べ放題に行く。ぜんぜん、“ちょっと”じゃないという。満腹になって家に帰って寝るかという時に、「なんか違う味も欲しいな」とペヤングもいっちゃうみたいな。

 そうすると幸せだったんですよ。お腹が空いているからというよりも、食べている瞬間だけは普段の嫌なことを忘れられるみたいなのがあったので。一番食べていた時の食生活は、そんな感じでしたね。

――ストイックに痩せられたわけですが、ストイックに食べてもいたというか。

古川 僕はクイズのほかに、「人狼ゲーム」と「カラオケの採点でいかに100点を出すか」という趣味があって、それに関するお仕事も頂いたりしていたので、3つとも日本一を目指してやっていました。もう、生活すべてがクイズ、人狼、カラオケを中心に回っていて。

 特にクイズに関しては24時間を捧げたいから、ほかのことには気を配らなくなってしまう。食事や運動を放ったらかしにしてクイズに打ち込む自分を許しちゃうんですね。

■「このままだと糖尿病になるよ」と言われて動揺

――健康について、どこかで気にはしていたんですか?

古川 太っている間はどこかしら悪いんだろうなとは思っていたし、検査のたびに肝臓やら血中脂肪やら尿酸やら、引っかかりそうなやつは片っ端から引っ掛かっていて、値を下げるような薬も5種類くらい飲んでましたから気にはなっていました。でも、大きな病気とかもしたこともなかったし、太っていても生きられるなと思っていて。だけど、足が攣りだしたんですよ。

 朝方に足が攣って、そのたびに激痛で目が覚めるので「あれ〜? 体がおかしいんだろうな」とは考えるようになりました。糖尿の気が出てくると足を攣りやすくなるんですけど、去年1月の健診で先生に「このままだと糖尿病になるよ」と言われて動揺はしましたね。

 そういうこともあったし、年齢も37になるし、今回のダイエットが健康を取り戻す最後のチャンスなのかなとチラリとは思いました。そのタイミングで、先生に『リングフィット アドベンチャー』を勧められたのはやっぱりラッキーだったなと。

――ダイエットを始めて、どれくらいで大きな変化を感じました?

古川 5キロとか10キロ痩せても誰も気付いてくれなくて、ひとりで体重計の数字が減っていくのを眺めてニヤニヤしていたんですけど。でも、マイナス20キロになった日に自分の写真をTwitterに上げたら「痩せた!」と騒がれまして、本当に痩せたんだなと実感できました。それが残りのマイナス28キロに向かう励みにもなりましたね。

■選べる服が100倍以上あるから楽しい

――モードが完全に変わったといいますか、ファッションも以前とは違いますよね。

古川 目標だったマイナス48キロを達成した日に、メガネをコンタクトに、髪をオレンジ色に変えました。人にもよるでしょうけど、すごく太っているとファッションを筆頭にあきらめてしまうものが多いんです。それを取り戻したというか、自分が死ぬまで味わうことがないであろうと考えてきた選択肢が急に増えちゃったわけです。

 まずはそのうちのひとつだったオシャレを楽しみたくなって、のめり込んでいる最中です。

 まだまだ初心者なので全然オシャレになっていないですけど、いままでと比べたら選べる服が100倍以上あるから楽しいんですよ。似合っていようが似合っていまいが、好きなものを買えるということがうれしくてしょうがない。

 周りから「眉毛こうしてみたら?」というような提案をもらうことも増えています。今までは太っていることが一番の特徴だったから、僕自身、自分の眉毛になんか注目しなかったわけですよね。痩せたことで、「じゃあ、眉を整えてみるか」とか「肌を保湿してみるか」とか、これまでできたはずなのにしてこなかったことにも挑戦するきっかけになったなと。?

■他者に対して寛容になれました

――痩せると、メンタル面においても良い影響が出ますか?

古川 他者に対して寛容になったと思います。これは僕特有かもしれませんが、これまでの人生って一番になることに命を懸けてきたんですよ。学校の試験はもちろん、クイズも人狼もカラオケ採点もすべてが100点じゃないと意味がないみたいな。競争の人生ですね。

 競争って自分の順番がどこにあるのかが大事になってしまう。いろんな場面でなにかとマウントの取り合いをする人たちがいますが、それって順位に縛られているゆえの行動だと思うんです。

 ダイエットは、他者よりも上にいるとか下にいるといった順位なんて関係ない。自分のなかでの目標を目指すことで満足の尺度が変わっていくものなんだと、気付いたんですよ。そうしたら、他者にはその人なりの目標、思想、尺度があるんだと悟って、他者に対して寛容になれました。

 わかりやすく言うと、「自分は自分で頑張ってる。あなたはあなたで頑張ってる。だから、お互い応援するし、合わないところは別々のままでいいよね」という感じです。

■クイズ作家として変化したこと

――そうなってくると、クイズ作家として作り出すものも変わっていきそうですね。

古川 クイズというのは、「自分と他人を分けて考える」という考え方とは真逆の構図を持った文化だと思っています。

 自分が面白いと思って出題しても、誰も答えてくれないと成立しないわけです。クイズ番組でも、視聴者もいるわけなので、出題者と解答者だけで盛り上がっても駄目。視聴者はわかっていても、解答者が正解できなければ駄目だし。世間がどう見ているのか客観的な視点が大事になる文化で、それを意のままにコントロールできる、というのが僕らクイズ作家の理想なんです。

 だから、自分だけが満足できればいいなんて許されない。他の仕事も同じでしょうが、クイズは特にそういう色が濃い。それを踏まえてなにが変わったかと言うならば、自分が納得しているものの中で、みんなにも届くものはなにかを考えるようになったことかな。

 なにか流行らせられないかとか、お金になるものを生み出せられないかと考えて作ったクイズと、「僕はこれが面白いと思うけど、みんなにわかってもらえるかな。こうしたらわかるかな、伝わるかな」と思って作ったものって、なにかしら違うと思うんです。出題者の生き生きしている度合いが透けて見えて、違う成果物になっているんじゃないかなというか。

 いま僕が仕事で作っている問題や企画は、絶対にこれまでよりも面白くなっていると自分では感じています。これもダイエットを通して自他の区別がつくようになったからでしょうね。

■次なる「体作り」の目標は…

――最近は筋トレも凄まじい勢いでやられていますが、もうお腹はシックスパックになっていますか?

古川 いや、お腹の皮がちょっと。10ヶ月で48キロ痩せたのは急激すぎたのか、皮が余っちゃいましたね。背中の皮も余っています。伸びた皮がシュッとなることは期待するのは難しいらしいのですが、筋肉をつけて体を大きくすることで伸びた皮が少し張るんじゃないかと期待しています。

 除去手術が手っ取り早いらしくて、僕も検討したんですけど、手術をするには余り方が中途半端なんだそうです。シックスパックははっきり見えるんですけど、その下に余った皮もしっかり残っているという、ちょっと不思議な状態です。

 まだまだ体作りは続けていきたいですね。

【続きを読む】 「減量に不向きなあの食べ物を食べたい時は?」…48キロ減クイズ作家が教える、タメになる「ダイエットクイズ」

「減量に不向きなあの食べ物を食べたい時は?」…10ヶ月で48キロ減のクイズ作家が教える、タメになる「ダイエットクイズ」 へ続く

(平田 裕介)

関連記事(外部サイト)

×