『麒麟がくる』にみる新たな明智光秀 "善政をしいた名君"の一面も

『麒麟がくる』にみる新たな明智光秀 "善政をしいた名君"の一面も

『麒麟がくる 完結編 (NHK大河ドラマ・ガイド)』池端 俊策,NHKドラマ制作班,NHK出版 NHK出版

 戦国武将・明智光秀が主人公のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』の最終回が2021年2月7日に放送されることが発表されました。同ドラマは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で放送予定に遅れが出ていましたが、全44話の当初の放送回数に変更なく最後まで完投することが決定。1月スタートの大河ドラマが年内に終わらず、年をまたぐのは初めてのことになります。

 この一年、『麒麟がくる』を見守ってきたファンはもちろん、年末年始の時間にゆとりができたタイミングであらためて同ドラマを追いかけたいという方におすすめなのが、ドラマガイド『麒麟がくる 完結編』。織田信長(以下、信長)が足利義昭を奉じて上洛し、朝廷、将軍家、戦国大名たちの思惑が入り乱れるなか、信長のもとで奔走する明智光秀(以下、光秀)の胸に去来するものは何か...? 日本史上最大の謎の一つ「本能寺の変」へと向かう佳境のストーリー紹介をはじめ、歴史的背景が分かる読み物や豪華出演陣がドラマ終盤に向けた思いを語るインタビューなど、ドラマを全面的に楽しめる充実の内容となっています。

 同書の中で印象的なのが、光秀を演じた俳優・長谷川博己さんのインタビュー。主君の信長を討った謀反人というイメージが強く、これまで「悪役」として語られることの多かった光秀を、今回主役として演じる難しさを背負ってきたうえの言葉が響きます。「演じてきた光秀を振り返ると、『これほど家族や家臣に慕われてきたのか』、『この状況ではこうするしかないな』など、思うわけです。でも歴史は勝者に都合よく書かれるのが常で、光秀の死から400年以上たった今も『裏切り者』という悪評が残っている。果たしてそれは本当なのか。先入観や思い込みで物事を判断していいのか」(同書より)と語りながら、演じる自分自身すら先入観を捨てるのが容易ではなかったことも伝えています。

 長谷川さんが「このドラマを通じて、これまで皆さんが抱いてきたイメージと事実が違うかもしれない、ということを少しでも感じていただけたら光栄です。もう今は『これが本来の光秀ではないか』と思って演じています」(同書より)とまで語った光秀という人物。歴史的には非常に高い知名度でありながら、実はその出自や経歴について不明な部分が多い人です。そんな謎多き光秀の本来的な人物像に迫れる頼りの一つが、京都府福知山市。かつて何もない河原だったこの地に、光秀が新たな城と城下町を築いたことが始まりの街です。

 そんなゆかりのある福知山市には、光秀が築いた「福知山城」をはじめとして、光秀をしのぶ足跡が今も遺されています。中でも注目したいのが「御霊神社」。本能寺の変から100年以上も後、当時の福知山城城主・朽木稙昌が領民の願いを受け、光秀の御霊を祀ることを認めて創建されました。その背景には、城下町の整備や地子銭(宅地税)の免除を通して福知山の発展の基礎を築いた名君として、光秀が領民に長きにわたって慕われていたということがあります。「善政をしいた名君」という、光秀の意外な一面が浮上してくる場所です。

 福知山市では2021 年 1 月 31 日まで、光秀とゆかりの名所を含め、「肉とスイーツのまち」としての発信もおこなう、同市の各スポットを巡ってポイントを獲得して楽しむ「非接触自動スタンプラリー in 福知山」(企画・主催:クロスボーダー)を開催中。専用カードをもって市内46カ所の発信機が設置された場所を訪ねると、自動的にカウントされていくという気軽に参加しやすい仕組みで、紙やスタンプを使わないので感染予防も兼ねています。

 12月19日からは、LINEを使用した謎解きゲーム「知将光秀から書状編」も開始する同企画。2021年1月31日までの実施のため、『麒麟がくる』で光秀に興味を持った方や近隣の方は、密を避けながら各自のタイミングで参加されてみてはいかがでしょうか?

[文・皆本るい]

【関連リンク】
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