アメリカの離婚事情 夫がフルタイムの仕事を失うと離婚したくなる?

アメリカの離婚事情 夫がフルタイムの仕事を失うと離婚したくなる?

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日本でも今や3組に1組が離婚するといわれている。しかしロシアやアメリカなどを見てみると、日本よりもさらに離婚率が高い。離婚大国のアメリカでは、なんと離婚率は50%近くもある。

そして、離婚原因はというとお国柄が出るようで、原因はさまざまなようだ。日本での離婚原因で一番多いのは、「性格の不一致」。ロシアでは、お酒を飲みすぎるアルコール中毒(※1)。そしてアメリカでは、夫の失業が離婚原因として多いのだ。

アメリカは働いている女性も多いのに、どうして夫の失業が離婚原因になりやすいだろうか。アメリカの離婚事情を探ってみよう。

□女性の自立は離婚原因ではなかった

アメリカ、ハーバード大学のアレクサンドラ・キルワルド社会学教授は6300組を超えるアメリカのカップルから離婚の原因について調べた。

その結果、離婚の要因として大きいのは、「夫のフルタイム雇用職」の失業だった。妻がフルタイムで働いているかどうかでは、全く離婚率には差がなく、離婚原因ではなかった。

これは一般の予想を裏切る、意外な結果であったようだ。アメリカでは結婚後も女性は仕事をやめることなく続けるようになり、経済的に自立した「働く女性」が増えている。そして、それが主な離婚の原因になるに違いないと一般的に思われていたのだ。

ところが、予想を裏切り、女性の自立は家庭では大きな問題にはなっていないことが分かった。

□自由になった妻、稼ぎ手として期待される夫

過去のアメリカでは、結婚すると女性は「家庭的な良き妻」の役割を期待され、夫は「稼ぎ手」としての役割が期待されてきた。1975年以前に結婚した夫婦は、家庭の仕事を夫婦で公平に分担すると離婚率が高くなっていた。妻が家庭の役割を負担していると離婚率は低かったのだ。

ところが、その後は時代が進み「良き妻」の役割は、伝統的な主婦の仕事から脱却して、自由なものになりつつあるようだ。今のアメリカでは、女性は仕事をする自由があり、仕事をしていても良き妻でいられるようになった。

しかし、進歩した妻の立場と比較すると、夫は何十年も前から同じ「稼ぎ手」の役割を期待され続けており何も変わってはいないようだ。

「女性の役割は、過去数十年にわたって著しく変化してきたが、男性が追いついていない」とミシガン大学のパメラ・スモック社会学教授も語っている(※2)。

□夫が変われないのか、妻が望むのか

研究によると過去40年の間、夫がフルタイムの仕事をしている場合の離婚率は2.5%であるのに対して、夫が失業した次の年の離婚率は3.3%だった。比較すると1.32倍も離婚率が高くなっている。

家庭では収入がなくなるというのは大問題だが、収入の損失だけが問題なわけではないようだ。

妻がフルタイムの職を得ており暮らしていくのに問題ないほどの収入がある場合にも、離婚率にはほとんど変化がなかったからだ(※2)。

離婚率が上がるのが夫のプレッシャーやストレスのせいなのか、妻が夫に「稼ぎ手」の役割を求めるためかは不明だが、妻に収入があり生活できる状況でも、夫が失業すると家庭内の関係が悪化するようだ。

□夫は進歩的な立場を望まない?

アメリカには2014年の時点で、外での仕事をせずに育児に専念する専業パパが、推定で190万人いる。しかし、専業パパになった理由は、本人の希望よりも経済的な理由や雇用状況であることが多かった。そして190万人のうち80%が、外に出て働きたいと考えているようだ。

夫にとっての進歩的な自由は、「稼ぎ手」の立場に縛られるだけではなく、家庭に入る自由を選べるようになることではないかと思われるが、その自由を望む男性はまだ少数派だ(※4)。

夫の失業を離婚原因にしている理由は、夫にあるのか妻にあるのか、それとも社会制度にあるのか。詳細な調査が進むと、離婚を防ぐ糸口も見えてくるかもない。

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