都市伝説じゃない? 満月の夜に出産が多いのは本当だった 

都市伝説じゃない? 満月の夜に出産が多いのは本当だった 

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「今夜は満月だから産まれるかもよ」。

1人目の出産予定日を3日も過ぎて、気持ちがモヤモヤしている筆者に助産師がこう声を掛けてくれたのをよく覚えている。「科学的根拠はない」ということだったが、満月の夜に赤ちゃんは産まれることが多いらしいという話をこのとき初めて知ったのだ。

結論から言うと、この夜、第1子が産まれることはなく、さらに4日たってようやく産まれた。筆者に関しては満月の夜と出産について証明することはできなかったが、どうやらこの話は本当のようだ。

□満月の夜に赤ちゃんが産まれるといわれるワケ

多くの妊婦さんが「満月の夜に産まれる」という話を聞いてきたことだろう。おなかの羊水が潮の満ち引きのように月の引力に影響されるから、赤ちゃんが満月の光に導かれるから、……話の詳細は違えども、だいたいこのような話を聞いたという人が多いのではないだろうか。

聞いていると「なるほど」とそんな気もしてくるが、満月の夜に出産が多いという話は科学的に証明されたものではなく、人に関してはむしろ否定的な結果がいくつも報告されている。

□北海道の牧場でウシで実験してみた

人は生活環境も違えば妊婦さんの栄養状態も違う。たとえ満月と出産が本当に関係しているとしても、人で有効な結論を得るのは難しい。

そこで、東京大学大学院農学生命科学研究科の研究チームは、同じ環境で同じ餌を食べ、均一に飼育管理されている牧場のウシに目を付けた。ウシは妊娠期間が280日と人に近いのだ。研究チームは、壁などで月光を遮らない自然に近い環境で飼育されている北海道のある牧場のホルスタイン延べ428頭を3年間にわたり調査した。

□満月のとき出産数がピークに

その結果、新月から満月にかけて出産数はどんどん増加し、なんと満月のときにピークを迎えたのだ。

特に満月の前から満月にかけての3日間は出産数が大幅に増えた。そして、満月を過ぎると出産数がどんどん低下した。また、初産のウシよりも出産経験のあるウシでこの傾向は強いことも分かった。

「満月の夜に出産が多い」。神秘的な話でしかなかったことが、初めて統計的に証明されたのだ。

□出産増加には月光が影響か?

残念ながら、なぜ満月の夜に多いのかという理由についてはまだ明らかにされていない。月の引力も潮の満ち引きには確かに関係しているが、質量の小さい人やウシが月の引力によって引き起こされるわずかな地球の重力の変化に反応しているとは考えにくいということだ。

研究チームは、どちらかといえば、月光の方が根拠として有力なのではないかと考えている。もちろん、赤ちゃんが月光に導かれると考えているわけではない。これまでの研究で、満月になるとメラトニンというホルモンの血中濃度が低下することが分かっている。また、メラトニンは妊娠中に分泌がどんどん増える一方で、分娩(ぶんべん)するときには大幅に低下する。

研究チームは満月の光によってメラトニンの分泌が低下するので、満月の日の出産数が増えるのでないかと考えている。

満月は月に1回しか回ってこない。出産間近の妊婦さんは満月の夜に外に出て、少し夜の散歩でもしてみたらどうだろうか。月の光を浴びてメラトニンが低下したらいよいよ…。本当に満月の夜に出産するかもしれない。チャンスは月に1回だ。

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