病気も肥満も性格も腸内細菌次第? 重要なキーとなる日和見菌はどれだ

病気も肥満も性格も腸内細菌次第? 重要なキーとなる日和見菌はどれだ

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腸内細菌が体を操っているとも言われるくらい、腸内細菌は我々の健康に影響していることが近年よく指摘されている。

下痢や便秘など腸の異常はもちろんのこと、花粉症などのアレルギー疾患や、高脂血症、肥満、腫瘍などにも腸内細菌が影響するという報告はかなり多岐にわたる。中には腸内細菌が動物の性格を決定するという報告まである(※1)。

今回は、そんな腸内細菌と病気との関連の新たな報告である。

□腸内には善玉菌・悪玉菌・日和見菌が存在する

腸内細菌は単に腸にすんでいるだけではなく、さまざまな役割を持っている。主に我々の体にとって有益な働きをしてくれる菌を善玉菌と言い、正常な人の腸内細菌の約2割を占めると言われている。

1割は悪玉菌であり、残りの7割は日和見菌と言って、善玉菌が優位な時には有益な作用をするが、悪玉菌が優位になると害となるという周りに流される菌である(※2)。

善玉菌は食物繊維の分解を補助したり、大腸の動きを活発にしたりして腸内の環境を整えている。普段は善玉菌によって悪玉菌は抑えられているが、腸の環境が変化すると、悪玉菌が増えて下痢などを起こすだけでなく、腸から体内へ菌が入ったり、免疫のバランスを崩したりして病気を引き起こすことがある。

□日和見菌であるフィルミクテス菌に注目が

そんな中で、1つ注目される菌がある。それが今回のテーマとかかわるフィルミクテスと言われる細菌である。おそらく名前を聞いたことがない人がほとんどであろうこの菌、日和見菌に分類されている菌である。トリメチラミン−N−オキサイド(TMAO)という、こちらも聞き覚えのないものを作る菌であろうと、コーネル大学の研究者が突き止めた。

□TMAOが心臓病や大腸がん患者で上昇している

このTMAOは、心臓病患者の血中濃度が上がることで有名になっている物質である。マウスでは動脈硬化を引き起こす物質である可能性が高いことが、研究によってわかっている。

ヒトでは、TMAOが心臓病を引き起こすのか、単に心臓病がある場合に上がるバイオマーカー(心臓病を引き起こすわけではないが、心臓病の指標となる体内物質)なのかはわかっていない。また、TMAOが高い女性では大腸がんが多いという研究もある。

□フィルミクテス菌の多い人はTMAOが上がりやすい

TMAOは魚に多く含まれている物質である。また、卵や肉の成分からフィルミクテス菌が作り出す。コーネル大学によると、フィルミクテス菌が多い人では、卵や肉の摂取後にTMAOが増え、バクテリオイデス菌が腸内に多い人ではTMAOが上がらないことがわかった。

現在のところ、TMAOの血中濃度の上昇は腸内細菌叢の特徴を反映するものであり、病気を引き起こすのかは不明である。ただし、血中TMAOを測定することで、腸内細菌叢の推測を行うことができ、特定の病気への罹患のしやすさがわかるかもしれないと期待されている(※3)。

□フィルミクテス菌は肥満の危険因子

もう一つ、面白いことにこのフィルミクテス菌、肥満の人に多いという傾向があるようだ。

どうやらこの菌の、食物繊維を分解する能力により、食物繊維からもカロリーが摂取できるようになり、脂肪細胞に貯蓄するという特性のせいではないだろうか(※4)。カロリーがないと言われている繊維質からもカロリーを作ってしまう、まさにダイエットの大敵である。

血中のTMAOを調べることで太りやすい体質なのかを調べることが可能になり、この菌を抑えるようなダイエット方法やメタボリックシンドロームの治療法も出てくるかもしれない。

ヒトの体重のうち、なんと1〜1.5sは腸内細菌の重さであると言われている(※5)。病気も肥満も腸内細菌の意向1つなのかもしれない。

今後も腸内細菌に関する新たな発見やそれを使った病気の予防・治療法が多く発見されるだろう。今までは善玉菌にスポットライトが当たっていたが、さまざまな作用を持つ日和見菌をターゲットにした発見も増えてくるかもしれない。単なる細菌ではなく、まさに体の一部である腸内細菌、バランスよく大切にし、仲良く共存していきたいものである。

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