仕掛け絵本ばかりじゃだめ? 言語学習に向いた絵本の選び方

仕掛け絵本ばかりじゃだめ? 言語学習に向いた絵本の選び方

記事画像

飛び出す絵本や仕掛け絵本は、子どもとっておもちゃよりも楽しいかもしれない。ところが、子どもには仕掛け絵本ばかり読ませていてはいけないことが、ロンドン大学の研究により分かった。

絵本の重要な役割の一つである、物の名前を覚えるなどの言語学習には、仕掛け絵本は向いていないのだ。

□飛び出す絵本は楽しくて夢中になれるが、それだけではダメだった!

飛び出す絵本は、ページを開くと恐竜や動物が目の前で立体になる。絵本に取り外せるパーツが付属していて、動かせるような仕掛け絵本もある。
ところどころ子どもが開閉式でめくれるようになっている絵本も、子どもが積極的に絵本に関われると人気がある。

ページをめくるごとに喜ぶ子どもの顔を見ていると、次はどんな工夫がある絵本を買ってあげようかと、考えたくなるものだ。気が付いたら、本棚にはさまざまな仕掛け絵本ばかりが並んでいた、というお宅もあるかもしれない。
飛び出す絵本や仕掛け絵本は、とても魅力的で楽しい。

でも、ちょっと待って。絵本には物の名前を覚えたり言葉を覚えたりという、重要な役割もある。絵本選びの基準は、楽しいだけでいいのだろうか。

□ロンドン大学の博士が、「絵本」と「仕掛け絵本」の違いを調べた

英国心理学会の発達心理学年次会議において、イギリスにあるロンドン大学のジャンヌ・シンスキー博士は、仕掛け絵本についての研究結果と知見を述べた。

シンスキー博士は、幼児のための多くの知育絵本が、新しい言葉を覚えるのにどれほど役立つのかを調べた。月齢25カ月の合計31人の幼児が参加して、2つのグループに分かれた。

それぞれのグループに、9つの食べ物が載っている絵本を渡して同じ回数読んでもらった。本は全く同じものだったが、片方のグループは仕掛け絵本になっており、もう一つのグループは仕掛けに封をしておいた。

その後、研究者は写真や複製などを見せて、子どもたちが物と名前が分かるかどうかをテストした。その結果、仕掛けがある絵本を読んだ子どもよりも、仕掛けのない絵本を読んだ子どもの方が、正しく認識できていることが分かった(※1)。

□新しい言葉を覚えるのに適した絵本は?

調査結果を見ると、幼児は仕掛けのある絵本では仕掛けで気が散ってしまい、内容がおろそかになってしまうことが分かった。

一般的には、幼児のための知育絵本は、子どもがめくったりして双方向に絵本に関われる方が学習能力を上げると考えられており、子どもを引き付けるさまざまな仕掛けがしてあることが多い。

しかし、なじみのない新しい物や新しい言葉を覚えるのには、仕掛けは役に立たず、むしろ学習の妨げになっているようだ。

言葉を覚えさせる目的ならば、飛び出す絵本や仕掛け絵本ではなく、シンプルな絵本の方が、内容に集中できるため、適していた。一方、仕掛け絵本は、さまざまな仕掛けをすることで、どんどんおもちゃに近づいてしまっているようだ。

□いろいろな絵本を使い分けて、楽しく学ぼう

研究により、仕掛け絵本は言葉を覚えるのには適さないことが分かったが、絵本が楽しいものだと思わせるのには、とても役に立つ。

子どもによって絵本に対する興味は異なるので、普通の絵本に興味を示さないときには、仕掛け絵本を使うことで絵本が楽しいものだと思わせることができるだろう。しかし、楽しいそうだからと仕掛け絵本ばかり与えておくと、後でどうして絵本が大好きなのに言葉を覚えるのが苦手なのかと、悩むことにもなりかねない。

シンプルな絵本は、すぐに飽きてしまいそうに思えるかもしれないが、読んであげる両親の声や問いかけの言葉で、いかようにも変化する楽しさを秘めている。絵本は本や学習への第一歩なので、絵本から文字や本への興味を少しずつ育んでいきたい。

関連記事(外部サイト)