汗で「感情」が伝わる!? 汗をかいた人とそのにおいを嗅いだ人の心情が一致

汗で「感情」が伝わる!? 汗をかいた人とそのにおいを嗅いだ人の心情が一致

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 暑いときや緊張したときに汗は出るが、その役割について考えたことはあるだろうか? 汗を出して体を冷やす「体温調節システム」は一般的に知られているが、実はそのほかにも意外な役割を担っている。
 
 汗を通して排出された化学成分は「感情」を伝えることが、複数の研究で明らかにされたのだ。

□汗をかいた人とそのにおいを嗅いだ人の心情が一致

 2012年に、オランダ、ユトレヒト大学の心理学者たちは36人の女性を対象にこのような実験を行った。

 スティーヴン・キング原作のホラー映画『シャイニング』と、過激ないたずらとドッキリで有名なアメリカのテレビ番組「JACKASS(ジャッカス)」の一部を男性10人に見てもらった後、恐怖と不快さから出た汗を採取。その後、女性参加者にその汗のにおいをそれぞれ嗅いでもらった。

 すると、男性が汗をかいたときの心情と一致するように、ホラー映画での汗には恐怖、おふざけ番組での汗には不快さを示す表情を浮かべた(※1)という。□緊張時の汗を嗅ぐと反応が過敏に

 同じく2012年に行われた別の実験でも似たような結果が出ている。人生初のスカイダイビングに参加したときにかいた男性64人の汗のサンプルを、参加しなかった無関係の14人に嗅いでもらったところ、ストレス反応を見せた。そして、普段なら気にもしない表情に対して敏感に反応するようになったのだ(※2)。□恐怖から出た汗は緊張感と認知能力をUP

 恐怖や緊張は認知能力を上げ、とっさの判断力をも向上させる。テキサス州のライス大学心理学部のある実験によると、恐怖を感じたときに採取した汗のにおいを嗅いだ女性参加者は、平常時の汗を嗅いだときと比べて、言葉の連想タスクでスピードを落とすことなくより正確に答えたという(※3)。□感情や危険を察知 動物界では一般的なにおいの力

 「汗のにおいで感情が伝わる」と聞くと不思議に思えるが、においで自分の感情や意図を示したり、逆に感じ取ったりすることは、動物の世界であれば何も珍しいことではない。

 においやフェロモンは、縄張りの主張、交尾の準備ができた合図、仲間とのコミュニケーションなど、さまざまな目的で使われる。□ゾウは嗅覚だけで危険を察知?

 例えば、ほ乳類の中で嗅覚に関係する遺伝子を最も多く持つといわれているゾウは、ゾウを狩るマサイ族の男性と無害の人を嗅覚だけで判別する(※4)。

 危害を加える人間のにおいを覚えているからなのか、狩猟時に緊張から出る汗のにおいを察知しているのかは定かでないが、ゾウは、2キロ先にいるマサイ族の男性から逃げるために走り出すこともあるという(※4)。□汗を前に、ポーカーフェイスは難しい?

 汗をかいていることはなるべく他人に知られたくはないものだが、まず、見た目にも隠すことは難しい。それなのに、無意識に発する「におい」が、汗をかくほどに揺れ動いている自分の感情を相手に伝えてしまうのだとしたらどうしようもない。

 どうせならば恐怖や焦りなどのネガティブな感情を抱いた状況でポーカーフェイスを保つより、ポジティブな感情を伝播させたいものだ。

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