不妊の新たな原因発見!着目すべきは加齢による卵巣の環境だった?

不妊の新たな原因発見!着目すべきは加齢による卵巣の環境だった?

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 女性の加齢による出産能力低下の原因の一つに、卵子の質の低下がある。この「質の低下」については不明な部分が多かったが、最近、米ノースウエスタン大学が発表した報告によると、卵子の質が低下する原因は卵子そのものにあるのではなく、卵子を成熟させる「環境」にあるという。

 今回の報告により、今後、卵子を取り巻く環境に焦点を当てた新たな不妊治療が実用化される可能性もあり、不妊に悩む多くの夫婦を救う手立てとなるかもしれない。

□現代社会が抱える不妊問題

 35歳以上で出産することを「高齢出産」と言う(※1)が、晩婚化に伴って出産年齢が高年齢化している現代では、高齢出産も決して珍しいことではない。

 しかし、女性の妊娠と出産能力は10代後半〜30代前半が最盛期であり、その後、出産能力が徐々に低下していくのは事実である(※2)。そして、その原因が卵子や子宮の機能低下によることは知られているが、いまだ不明な部分も多い。

 現代社会が抱える高齢出産に起因する不妊が注目されるなか、その決定的治療法は依然確立されていないのが現実である。□卵子老化の原因は?

 加齢に伴う卵子の質の低下について、新しい研究結果が報告された。今までの研究の多くは、卵子そのものに焦点が絞られており、加齢によって卵子の質がどのように変化していくのかを調べるなどの研究が多かった。しかし、ノースウェスタン大学の研究では、卵子そのものではなく、卵子が成熟する環境の老化こそが卵子の老化の原因であり、卵子の質や数に影響を与えるのだということが示された。卵子を成熟させる器官である「卵巣」の傷害や炎症が、卵子自体の老化に関わっていると報告されたのだ。□卵巣の環境は加齢に伴い変化

 意外なことに、卵巣の環境は卵子の成熟に大きな影響を与えるが、その卵巣が加齢に伴いどのように変化するかについては、これまで、あまり知られていなかった。事実、若年齢の動物と高齢の動物の卵子を顕微鏡下で区別することはできないが、卵巣の環境は著しく異なっていると研究者は語る。高齢動物の卵巣は、組織がスカスカになる線維化が進んでいるのだという。□新たな治療法の可能性?

 研究グループは、繁殖能力のある若齢マウスと高齢マウスの卵巣の環境差を詳しく調べることで今回の発見に至った。まず、高齢マウスでは高確率で卵巣環境が線維化していた。そして、高齢マウスのみに、炎症を引き起こす可能性の高いある種の免疫細胞が見られること、炎症に関わる遺伝子やたんぱく質が多く作られていることを発見したのだ。

これらの結果は、加齢に伴う卵巣の線維化や炎症を防ぐことが、加齢による出産能力の低下に対する新たな治療法として有効となる可能性を示している。実用化にはまだまだ時間がかかるかもしれないが、不妊に悩む夫婦の救いの手となることが期待される。

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