三田佳子次男「暴行事件」と詩織さん「性暴力」報道が示す、女性に対する警察の甘い認識

三田佳子次男「暴行事件」と詩織さん「性暴力」報道が示す、女性に対する警察の甘い認識

「女性自身」12月5日号(光文社)

下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!

 ワイドショーがこぞって取り上げ続けている日馬富士暴行事件。しかし、なぜ被害者側や被害届を出した貴乃花親方側が責められ、“洗脳の過去”までが大きく取り上げられるのか。どんな事情があれ、どんなけがの状態であれ、暴力という犯罪、それを隠蔽しようとする相撲協会の体質にメスが入るのは当然のことだと思うのだが。

第391回(11/16〜11/21発売号より)
1位「三田佳子 過保護な母また泣く不祥事! 逮捕3回次男が元乃木坂46愛人に『不倫暴行』」(「女性自身」12月5日号)
2位「あなたのすぐそばにある性暴力」(「週刊女性」12月5日号)
同「レイプ被害を公開告白した女性ジャーナリストが明かす著書『Black Box』発売後の反響――『「同じ女性として恥ずかしい」…そんな同性の声が悲しかった』」(「女性自身」12月5日号)
3位「山尾志桜里×望月衣塑子『女にしか物申せぬ男たち』」(「女性セブン」11月30日/12月7日合併号)

 芸能界で取り沙汰される二世タレントと親の責任。その元祖的存在とも言えるのが女優の三田佳子だろう。1998年に次男が覚せい剤取締法違反で最初の逮捕をされ、その後も二度、同法で逮捕されている。そんな次男が、またしても問題を起こした。それを報じた「女性自身」によれば、現在37歳になった次男が女性に暴力を振るい、警察沙汰になっていたというのだ。

 最後の逮捕から10年と久々の登場だが、しかしそれには理由がある。被害女性が次男の交際相手で元乃木坂46の大和里菜だったからだ。しかも次男は妻帯者。母親の三田も最近は大活躍。よってすでに芸能活動から離れて久しい次男の暴力事件が「自身」のトップ特集に相成ったということだろう。

 もちろん次男の大和に対する暴力、DVは許し難いが、記事にはいくつかひっかかることがあった。その1つが事件に対する警察の対応だ。

「警察は当初“民事不介入”として捜査に消極的だったのですが、相手が高橋さんだと知って被害届を出させようと本腰を入れました」(記事より)

 はぁ? 交際相手から暴力を振るわれ、過去にはあばら骨を骨折させられたことが民事? 警察のDVや暴力に対する認識がいまだにこの程度なのかと暗澹たる気持ちになるが、それについては2位記事にも関係するので後述する。そしてもう1つの驚きが次男と三田の関係だ。

 記事には、ほぼ無職と思われる次男が、現在でも高級マンションに住み、夜遊びで豪遊し、さらに母親から1日に15万円もの金をもらい、さらにさらに家族カードを持たされ、月に200万円使う場合もあることが記されているのだ。

 確かに37歳にもなった息子の行動については、親の責任をことさら問うことはおかしいと思う。もう立派な大人なんだから本人の責任だと思うが、しかし、40歳を目前にした息子を、いまだにこんなに甘やかしていたとは。

 できの悪い息子を持った大女優の母としての一面に、暗澹たる気持ちになった。

 先週の「女性セブン」に続き、今週の「自身」「週女」で大きく取り上げられているのが元TBS記者・山口敬之氏にレイプされた伊藤詩織さんと性暴力の問題だ。詩織さんが最初に声を上げたのが5月だったから、少し遅いと感じるが、しかし女性週刊誌が相次いでこの問題を取り上げる意義は大きい。特に「週女」は詩織さんのインタビューも含め、10ページもの大特集を組むという力の入れようだ。

 記事には、性暴力の実態が多角的に解説される。性暴力は決して珍しいことではないが、しかしその認識がある人は少ないこと、その被害は夫婦間や恋人、パートナーなど顔見知りから受けることが多いこと、しかし日本では性暴力被害の実態が把握されず、また警察により性暴力が“本能”“性欲”といった間違ったストーリーで“流れ作業”のように処理されていること――。

 さらに「週女」記事の大きな特徴は、性暴力は決して女性だけに向けられるわけではなく、男性にも向けられるものだとして、その体験者の証言を掲載していることだろう。今年7月、110年ぶり(!)に性犯罪を厳罰化する刑法改正がなされ被害者に男性が初めて対象となったが、これまで“タブー”とされてきた領域に記事も踏み込んだ形だ。最近でも、IKKOが男性同士のレイプについて「男は反応する。刺激されて興奮したら犯罪にはならない」などと“感じたら合意”というとんでもない発言をして、世間をあぜんとさせたが、日本ではレイプ被害に関してあまりにも“歪んでいる”。

 「週女」でも詩織さんのインタビューが掲載されているが、その“視点”においては「自身」の方が考えさせられた。それは詩織さんに対するレイプ、そして告発に対し、「(私は)飲みに行く場所も人も時間も選ぶ」「事実だったとしても男性がかわいそう」など、“女性側の落ち度”を指摘する声が、同じ女性から上がっていることが紹介されているからだ。圧倒的に被害者となりうる女性でさえ、性犯罪に対する無知、偏見、そして想像力が欠如しているという現実――。そんな声に対し、詩織さんはインタビューで性暴力についてこう答えている。

「お酒を飲んでいようが、どんな服装をしていようが、性暴力を受けていい理由にはなりません」

 こうした真っ当な考えが、多くの人々に共有される。そんな世の中になってほしいと思う。詩織さんを襲った卑劣なレイプと政権関与まで浮上した今回の事件だが、これをすべての女性週刊誌が大きく取り上げた意義は大きい。頑張れ! 女性週刊誌! 

 今回の女性週刊誌は、すごい。詩織さんを取り上げた「自身」「週女」だけでなく「セブン」では話題の女性2人の対談が。菅義偉官房長官を会見で追及する「東京新聞」記者・望月衣塑子氏と待機児童問題で安倍晋三首相を追い詰めた山尾志桜里衆院議員ね。しかしこの対談について、すでにネットでは失笑とバッシングが巻き起こっている。きっと「女にしか物申せぬ男たち」が、活躍する女性など認めない! と嫉妬に狂って書き込んでるんだろうな。

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