うつ病に胃薬が効果的!? 脳に関わる新たなタンパク質を発見【最新研究】

うつ病に胃薬が効果的!? 脳に関わる新たなタンパク質を発見【最新研究】

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うつ病に対する治療はさまざまな方法で行われていますが、2017年5月27日岡山理科大学が、世界で初めて「うつ病に関わる新たなタンパク質」を発見したとして、研究結果を発表しました。(参考)

今回の研究内容がどのようなものだったのか、また、うつ病に関わる新たなタンパク質について医師に詳しく解説していただきました。
最新研究

研究内容
岡山理科大学の研究では、うつ病のネズミに胃薬の一つであるテプレノン(商品名:セルベックスなど)を投与しました。

研究結果
テプレノンを投与したところ、ネズミのうつ症状が改善したということです。

その仕組みとしては、テプレノンが脳内でヒートショックプロテインというタンパク質を増やし、それによって脳神経由来栄養因子を増やすためと考えられます。

実際、肝臓の病気などに対して使われるインターフェロンという薬は、副作用としてうつ病を起こすことがあります。

しかし、たまたまテプレノンを一緒に飲んでいた人は副作用のうつ病を起こすリスクが0.62倍に減っていたということがありました。

今回の結果を受けてうつ病に保険適応が下りるまでには、うつ病患者に処方してどのような効果が見られたかを実験する必要があります。

しかし、新しい薬を一から作るよりは簡単であり、2〜3年以内に実現化が可能ではないかということです。
(※1)

テプレノンとは
胃粘膜を保護する作用があります。

胃炎や胃潰瘍に対して保険適応のある薬で、副作用はほとんどなく、処方された実績も多い薬です。
ヒートショックプロテインとは

ハエの幼虫から発見
ハエの幼虫を普通の飼育環境よりも高温の環境に置くと、染色体の一部が膨らみ、熱によるストレスを打ち消すようなタンパク質、つまりヒートショックプロテインが素早くできることが1974年に発見されました。

このヒートショックプロテインは人間を含め多くの生物に共通して存在し、その構造も似ているため、生物にとって非常に重要なものだと考えられています。

ヒートショックプロテインが増加する条件
熱のショックだけでなく、以下によってもヒートショックプロテインが増加します。

・圧力
・薬品
・紫外線
・栄養不足
・酸素不足
・細菌感染
・炎症
・心理的ストレス

ヒートショックプロテインの役割
タンパク質を折りたたむのを助けるヒートショックプロテインは細胞の中でタンパク質を正しい形に折りたたむのを助け、できそこないのタンパク質を捨てる役割をしています。

また、タンパク質を細胞内で必要な位置に移動させるのにも役立っています。

温泉や入浴で体を温めることで得られる健康効果の理由の一つは、このヒートショックプロテインが増えることによって起こるのではないかとも考えられています。病気との関係が盛んに研究されている分野です。
胃薬は他の病気にも効く?

ドライアイの治療薬
胃薬が他の病気に応用された例として、ドライアイ治療薬のレバミピド(商品名:ムコスタ)があります。

■ レバミピドとは
レバミピドは胃粘膜を保護する粘液の分泌を促すことで胃炎や胃潰瘍を治療する薬です。

ドライアイでも目の表面で水分だけでなく粘りのある成分(ムチン)が不足していると言われており、レバミピドを含む点眼薬がドライアイ治療に用いられています。
薬の適応拡大とは

病院で処方される薬にはそれぞれ適応症というものが定められており、添付文書に記載されています。

健康保険を使って薬を使うためには、適応症に含まれる病名がついている必要があります。

薬の適応拡大の事例
適応拡大はよく行われており、以下が事例になります。

■ 統合失調症の薬:うつ病にも効くと判明
■ 抗がん剤オプシーボ:皮膚の悪性黒色腫のみの適応から、肺がんに適応拡大
テプレノンをうつ病患者に処方するには?

今回の場合、テプレノンがうつ病に有効かもしれないということであっても、胃炎や胃潰瘍でもない患者さんにテプレノンを健康保険を使って処方することはできないのです。

テプレノンをうつ病に処方する際の必要事項
■ 厚生労働省の認可
厚生労働省が適応の拡大・効能の追加を認める必要があります。

■ 効果・副作用の研究
うつ病患者さんでの効果や副作用を調べる研究が必要です。
最後に医師から一言

うつ病は今まで脳内の神経伝達物質を増やす薬が使用されてきましたが、最近は腸内環境との関係が示唆されたり、電気刺激でうつ病を治す方法が開発されています。

今後のさらなる研究が期待されます。

(監修:Doctors Me 医師)

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