【がん治療と仕事の両立】現状の課題・注意点・支援制度について

【がん治療と仕事の両立】現状の課題・注意点・支援制度について

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働き盛りな年齢でがんに襲われたら、仕事を続けますか?それとも治療に専念するために辞めますか?


日々医療も進歩を続けており、がんは通院しながら治療し、仕事を続ける時代になっていると言われています。(参考)


今回は、がん治療をしながら仕事をしている人の現状(人口・課題)、支援サービスなどについて、医師に詳しく解説をしていただきました。






がん治療をしながら働いている人口



がん治療のために通院しながら働いている人は、全国に32.5万人おられます。


日本人の死因第1位はがんであり、2〜3人に1人はがんを経験します。がんは退職した高齢者だけの病気ではありません。がん患者の3人に1人は就労可能年齢でがんにかかっています。


がん患者というとベッドで寝たきりでやせ細った様子を思い浮かべるかもしれませんが、無症状で発見された早期がん患者や、手術をすでに受けて経過観察を受けている患者は元気で働くこともできる場合も多いです。




がん患者の就労に対する現状の課題



2017年5月の自民党厚生労働部会で、受動喫煙をめぐる議論が行われている際に、「受動喫煙を避けたくても、職場が喫煙可だったり、仕事の付き合いで行った飲食店が喫煙可であれば嫌とは言いにくい。特にがん患者であればやっと見つけた職場が喫煙可だった場合にダメージが大きい。屋内では禁煙にすべき」という意見に対し、「がん患者は働かなくていい」というヤジを飛ばした議員がいたとのことで話題になりました。


企業は「定期的に休まれるのは困る」「急に休みを取るのでは」「いつ体調不良になるか分からないから仕事を任せられない」と考え、特に中小企業では退職に追い込まれることもあります。すると経済的にも追い詰められ、治療費の工面にも苦労するようになります。




がん告知後に仕事を退職or解雇される割合




■ 退職:30%

■解雇:4%


がんと分かった場合、休職するのではなく自主的に退職してしまう患者が3割を占めています。


がん患者自身が「がんになったら働くのは無理」「がんになったら遠からず死ぬから、働いている場合ではない」と考えていること分かります。




がん患者の5年生存率




がん患者の5年生存率は6割近くあり、高齢者の中には2つ3つと複数のがんを乗り越えてきた人も多くいます。


つまり「がん=もうすぐ死ぬ」という訳ではなく、乗り越えてその先も長く生きていかなければならない病気なのです。




がん患者が働く際に注意する点は?




通院頻度の確認
治療の段階や内容に応じて定期的な受診が必要になりますが、その頻度は週一回から半年に一回まで様々です。どの程度の頻度の受診が必要か、急変の可能性はあるのかなどを職場に伝えておく必要があります。


体調が悪化した場合の配慮(仕事内容・業務時間)
抗がん剤を使用している場合や体力が落ちている場合は、ストレスや長時間労働、深夜勤務、満員電車の負担、風邪など感染症が体調悪化につながりやすいです。


仕事内容・業務時間などにどのような配慮が必要か、医師の意見を聞き、職場にも伝えましょう。




がん治療を受けながら働く場合に受けられる支援



平成24年に閣議決定された「がん対策推進基本計画」では、がん患者の就労について、「就労に関するニーズや課題を明らかにした上で、職場における理解の促進、相談支援体制の充実を通じて、がんになっても安心して働き暮らせる社会の構築を目指す」とうたわれています。


がん診療連携拠点病院の相談支援センター
がん診療連携拠点病院(全国約400カ所)の相談支援センターに、社会保険労務士、社会福祉士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントなど就労の専門家を週1回配置し、職場復帰の支援を行います。


ハローワーク・労働局
ハローワークや労働局では、病院との連携のもと、がんのために離職したが再度働きたい人向けの就労支援を行っています。がんを理由にした不当解雇や差別などがあった場合は、労働局に相談し、事業者に対して働きかけてもらうよう求めることができます。




最後に医師から一言



全員が長時間フルタイム労働ができなければ働けないという現状は、育児や介護しながら働く人、不妊治療しながら働く人など、多様な状況に応じにくい状態です。


「がん患者を特に優遇せよ」ということではなく、働き手個人個人の状況に合わせて対応できるように社会が変わっていけなければ、人手不足はさらに深刻になり、働ける人も疲弊しきるという悪循環になるでしょう。




参考文献

・厚生労働省 がん患者の就労や就労支援に関する現状