課長の失敗学「ウチの会社は」「自分は先輩から」をまずやめる

課長の失敗学「ウチの会社は」「自分は先輩から」をまずやめる

@DIME アットダイム

 今の40代は、ロールモデルを突然失った世代。10歳上の先輩たちのリストラや会社の失速を間近に見てきたために、管理職はこうあるべきだ、という確固たる目標も自信もなく、右往左往している。グローバルキャリアコンサルタントの小松俊明さんは、「だから今こそ、40代が新しいロールモデルになるべきだ」と語る。

「失敗したっていいんですよ。必死な姿って、それなりにかっこいいじゃないですか。でも、若い世代から見たら、残念ながらあんまり輝いては見えない。そのあたりが40代の現実で、難しいところではないでしょうか」

 では、どうすれば輝けるのか。有名企業で働いている、年収が高い、いいスーツを着ている、といった輝き方を追求するのは従来型。現代型は違うと再認識すべきだ。

「基本は仕事をバリバリこなして成果を出すことです。そのうえで、今までにない視点があったり、独特なアプローチができたり、そういうオリジナリティーのある人が、今求められている新しいロールモデルに近いような気がします」と小松さんは言う。

◆「ウチの会社は」の口癖が元凶

 そのために重要なのは、会社の論理を捨てることだという。

「どうしても、『先輩がどうだった』とか『ウチの会社ではこうだから』という論調になりやすいですよね。それがあらゆる組織の悪の根源、失敗の元凶です。単に過去の悪い事象の引き継ぎにすぎない。『ウチの……』と言った途端、事態は後退していきます」

 また、日本人にしみついた年功序列信仰も、イマドキ部下の心が離れる要因となる。

「日本人は年功序列の発想が頭の中に組み込まれているので、自然にその順番で物事を見てしまうんです。年配者を敬うという文化を失う必要はもちろんないですよ。でも、ビジネスの場で、いつまでもその発想をしていては、何も生まれません。『社長がこういうのが好きだから』『あの部長がうんというような話をまとめよう』という発想では、社外での、ましてや世界での競争に勝てません。スケールが小さすぎるんです。今の20代は、そのあたりは驚くほど冷静に見ていますよ。この会社や国が成功していない状態を長年見てきて、『だから未来がない』と思っているわけですから」

◆一目置かれるオリジナリティー

 グローバルキャリア教育担当の大学教授としても、日頃多くの若者と接する小松さんは、彼らが惹かれる上司のタイプについて、こう分析する。

上司の言動というのは、実体験が伴って一貫していれば、引き込まれるものです。若い人は特にそう。例えば、『あの課長は、夏になると環境保全団体として世界的に有名なWWFのリサーチ活動に参加しているらしい』なんていう噂を聞けば、興味を持ちます。その時点で、もう普通の課長さんじゃなくなっているんですよ。彼らはそんな課長と一緒に仕事をしたいと思って、急に目をキラキラさせるんです」

 また、イマドキ部下の傾向を利用するのも有効だ。

「20代は特に、意義のあることには喜んで参加します。飲めないのに飲み会しても意味がない、と平然と言う反面、自分が役に立つと思えばボランティア活動に参加することを厭いません。これはバブル世代と言われた40代とは明らかに違う部分です」

 つまり、与えられた仕事の背景や到達点を示せば、興味を示し、モチベーションが高まるのだ。実際、ある大手企業の管理職研修では、「仕事の全体像を伝えること」「仕事への理由付け」を課長の職務として実践するよう、指導しているという。

 オリジナリティーを養うために、また人間力を高めるために、そして人としての引き出しを増やすために、小松さんは、社外の多くの人との交流をすすめる。

「人はなぜ小さなルールに縛られてしまうかというと、外の世界を知らないから。自分と似たような人とだけつきあっていても、失敗したら慰め合うだけで進歩しないんです。モノの見方や価値観がすごく違うとか、すごく腹が据わっているとか、やたらスピードが速いとか、何でもいいんですが、できるだけ自分と別次元の人と話をすると、自分を客観視することができますし、新鮮な刺激を受けて、目の前の難題も突き抜けられるんですよ」

 この先いろいろな窮地で助けになるのは、社内の前例ではない。失敗を回避する策も、失敗を乗り越える策も、思いもよらないところからヒントが降りてくるかもしれない。

グローバルキャリア コンサルタント
小松俊明さん

1967年生まれ。国立大学法人東京海洋大学特任教授(グローバルキャリア)。著書に『デキる上司は定時に帰る』など著書多数。

 

SNSの賢い使い方

?「40代はソーシャルメディアを精いっぱい使っている世代」と小松さんは言う。ツイッターでぼやくのではなく、もっと有効な使い方があることを提唱する。

◇ツール好きな40代と、
熟知した20代

「私自身もそうですが、40代はFacebookが大好きですね。Facebookの活用率や発言回数を見ると、明らかです。年を取り、時代が変わり、失ったものを取り戻そうとしている40代にうまくはまったな、と思います。若い世代とのジェネレーションギャップを何とか埋めようと必死になっているとも言えます。ただ、その不器用な姿を、若い世代は冷ややかな目で見ているかもしれません。彼らは生まれた時からPCやケータイに触れて育っているので、ツールの扱い方や影響力、Facebookの発言の多くが演出であることを見抜いているからです」

◇前向きな発言は若い世代につながる

「それはともかく、ソーシャルメディアは、人の行動を観察したり、不満をぶつけたりするためのツールではなく、経験値を提供する場として、大いに活用すればいいと思うのです。演出ではなく、ありのままの自分の思いや知恵を発信すればいいでしょう。

『こんなことをやりたい』と書いたら思いがけないところから協力や誘いの声がかかるものです。それはあなた自身の人脈を広げることになりますし、やがてあなたの部下につながるかもしれません。意識しなくても、僕らの経験値や発想は、思いがけないところで生かすことができるのです。若い世代と自然に接することもできるのではないでしょうか」