オンデマンドでレストランの食事を届けるUberの新サービス「UberEATS」とは?

オンデマンドでレストランの食事を届けるUberの新サービス「UberEATS」とは?

@DIME アットダイム

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

◆世界中で利用者が増加している「Uber」とは?

 2010年にサンフランシスコで始まったUberは、スマートフォンのアプリを使って最も近い場所にいるドライバーを検索して配車するサービス。

「マッチング」と呼ばれる方法で、自分の近くにいる空車が表示されボタンを押すと、自動的に配車がかかってマッチングしたドライバーが来る。ドライバーの名前や顔写真、車両情報が表示され、移動中も位置が表示されるので迎えに来るタイミングも把握できる。アプリ内から目的地入力でき、ドライバーもあらかじめ目的地がわかりスムーズに移動が可能。決済は登録済みのクレジットカードで自動的に行う。利用が終わるとユーザーはドライバーを5段階で評価するので、優良なドライバーかどうかも一目瞭然。リーズナブルで明朗会計、ドライバーの質もわかるという画期的なシステムとして、世界中で利用者数が増加している。

 現在、世界70か国400以上の都市で利用されており、世界共通で設定を変えずに利用できるのが大きなメリットで、今年7月にはUberサービス開始以来20億回の乗車を突破した。

 日本では2014年3月にサービスを開始。当初は「UberBLACK」というハイエンド向けのハイヤー配車サービスからスタートし、その後タクシーでも展開。昨年東京でUberを利用したユーザーの出身国は99か国にもわたり、外国人ユーザーが東京でもUberを活用しているのがうかがえる。

◆海外ではすでに展開されている食事デリバリーサービス「UberEATS」が日本に登場

 2015年12月にトロントから始まった、Uberのプラットフォームを使ってオンデマンドで食事を届ける「UberEATS」は、8か国34都市で展開しており、3000を超えるレストランが登録している。今年9月末に日本でもサービスを開始した。

「UberEATSは東京のニーズに非常に合っているサービス。東京のレストランはセレクションの多さ、質の高さ、日本食のバラエティの豊かさがあり、ボタンひとつで注文して宅配してくれるのは非常に魅力的。従来の出前はメニューや配達時間など制約があったが、UberEATSは好きなレストランの食べたいメニューが配達されるのが大きなユーザーメリットだ。

 注文から配達までの時間は世界的な平均で34分だが、開始前のプロダクトテストでアサイーボウルを注文したところボタンを押してから配達されるまで8分だった。食べたいものを自宅やオフィスで食べられる。これはライフスタイルの変化にも大きく寄与するのではないか。

 仕事で成果を上げて自分にご褒美をあげたいときなど一人ではレストランに行きにくいが、UberEATSで自宅に届けてもらうこともできる。残業の夜食もどんどん新しい店の新しいメニューをディスカバリーできる。ホームパーティー、ピクニックでも活用法がある」(Uber Japan 執行役員社長 橋 正巳氏)

 UberEATSはユーザーとレストランパートナー、配達員をシームレスでつなぐシステムが大きな特徴となっている。

「手軽にさまざまな料理が食べたいユーザー、空いた時間を活用したいパートナー配達員、新規顧客を含めより多くの料理を食べてもらいたいレストラン業界、ステークホルダーは三者ありそれぞれにメリットがある」(UberEATS アジア太平洋地域担当 ジェネラルマネージャー サイモン・ロッシ氏)

 パートナーレストランにとって人員や車両などの初期投資なしでデリバリーを開始できるのが大きなメリット。実際に東京の提携先レストランの6割以上が初デリバリーだという。店舗のホールは席数が限られており1日の売上量に限界があるが、デリバリーを活用すれば既存の固定費を変えずに売り上げの向上も見込める。なかなか行く機会がなかった店の料理をデリバリーで体験することで、ユーザーが店舗まで足を運ぶことに繋がり、新規顧客や外国人客も獲得できる。

 パートナー配達員は、空いている時間を使って仕事ができるシェアリングエコノミーの概念に基づいた新しい仕事のスタイルが選べる。パートナー配達員として審査を経て登録が完了すれば配達業務を行なうことが可能。スクーター、自転車、徒歩と自身の都合に合わせて配達ができ、支払いは週単位。問題があった場合でも電話、メールでのサポート体制でバックアップする。現在登録している配達員は20〜40代の1000名以上で、うち15%ほどが女性。

 ユーザーのベネフィットはいつでもどこでも、手軽に美味しい料理が食べられるということで、基本的に店と同じ価格で提供するのでお手頃感もある。配達状況や到着予定時間も確認できて、現金のやり取りがないので、海外旅行や訪日外国人でも簡単にオーダーができる。

 万が一のトラブルの際はカスタマーサポートで対応する。

 三者はすべて別のアプリを使って行う。ユーザーはアプリの中から注文してボタンを押すと、瞬時にレストランにオーダーが入る。レストランサイドはタブレットを使い、オーダーやユーザーの場所を確認。店舗のこみ具合により、調理にかかる時間をユーザーに知らせることができる。調理が終わったときに配達員が来るタイミングになるよう、システム上で調理終了前に配達員にリクエストを掛ける。最適なロケーションにいる配達員がリクエストを受けて取りに行く。その間も逐次ユーザーは現況を確認できる。

 レストラン側のメリットについて、UberEATSのパートナーとなった、「DAL-MATTO」のオーナーシェフ・齊藤 誠氏(下記画像左)と、「宗胡」のオーナーシェフ・野村 大輔氏(同右)はこう話す。

「オープンして12年経つがいろいろな方にDAL-MATTOの料理を楽しんでいただいており、現在4店舗まで拡大した。フードビジネスとして物販、ケータリングなど今後の事業を考えていたときUberEATSを知った。サービス内容に大きな魅力を感じてパートナーとして参加。

 イタリアンなのでパスタがお客様の期待が大きいが、作りたてとはいえ、店と違い召し上がるまでに時間差があるので、時間が経ってもおいしくいただけるように、パスタの形状、茹であがり時間を工夫した」(齊藤シェフ)

「店で作ったものを短時間で届けていただけるので、店と遜色のないものをご自宅や会社で召し上がっていただける。精進料理の新しい可能性を広げていきたいと取り組んでいて、このサービスを通じて日本、海外の方含め、なじみの薄い精進料理を知っていただける絶好の機会となるのではないか。

 私自身、Uberの配車サービスを何度か使ったことがあり、Uberのサービスに対する信頼性やクオリティを知っていたためUberEATSサービスに魅力を感じた。店では雰囲気、コミュニケーションを含めトータルでご満足いただくものだが、デリバリーということでUberEATS専用のメニューを提供し、見た目の華やかさ、期待感を出せるように工夫を凝らした。ゆくゆくは会席のコースを3品ぐらいずつ何分かおきにお届けする、自宅にいながら会席のコースを召し上がれる夢のようなことも実現できればうれしい」(野村シェフ)

 開始当初は多岐にわたるジャンルの150以上のレストランと提携し順次増加していく。対象は渋谷区、港区を中心としたエリア(渋谷、恵比寿、青山、赤坂、六本木、麻布)で、今後サービスエリアも順次拡大予定。1品から注文可能で、配達料は開始当初は無料で行うが、今後、時期は明確ではないが配達料を加算するという。

◆発表会会場でUberEATS体験

 ラジオDJで「バンクスカフェアンドダイニング渋谷」を経営しているDJ TAROさん、プランナー、イベントオーガナイザーの岩瀬大二さん、橋社長がトークセッションを行い、UberEATSを利用するデモンストレーションも行われた。

「現在地が正確に把握できるので、お花見のピザのデリバリーで配達員さんが迷ってしまってピザが別のモノになっているなんてこともなくなるね」(DJ TAROさん)

「複数店舗から同時に注文することもできる。人が集まって食べたい好みが分かれてしまっても、それぞれ食べたいものを別に頼める。一皿数百円の肉じゃがから、2万円のステーキまで幅広い価格帯も魅力。他国ではシンガポールにかき氷のデリバリーもある」(橋社長)

「闇鍋じゃないが、みんなで集まって誰が何を注文したのか食べ比べするのも面白い」(岩瀬さん)

 トークセッションが進む中、注文して15分ほどで会場に自転車の配達員が到着。できたての料理がテーブルに並べられた。

 また、会場ではプレス参加者にもUberEATS体験が行われた。各テーブルに備えつけられたアプリがダウンロードされたタブレットで注文する。

 早速、「楽観 焼豚亜麻仁油の和え麺」「ラ ブリアンツァ ふわふわミートソースのパスタ」「バナナカフェ クバーノ」「バーガーマニア アボカドチーズバーガー」の中から3品を注文。会場が込み合っていたためか、到着まで20分ほどかかった。料理は専用のバッグに入れて届けられる。

 

 届いた商品は大きいパッケージの中に料理が直接入った状態(ハンバーガーは除く)。味は申し分ないのだが、お皿代わりにもなるパッケージが深くて若干食べにくいのが難点。店舗やメニューによってパッケージは異なるようだが、別皿に移し替える人は別としても、もう少し食べやすい容器の方がうれしい。

 

【AJの読み】「好きな時に好きな場所で」の割にはエリアが狭い

 システムとしてはとてもユニークで便利なのだが、Uber同様、UberEATSのエリアが狭すぎる。現状の渋谷、恵比寿、青山、赤坂、六本木、麻布エリアでは、オフィスかこの地域に住むハイエンドな人しか対象にならない。ピクニックができる場所も、花見のときに使うとしてもこのエリアでは場所が限られる。配達は徒歩や自転車でできるので、もっと住宅街に拡大できれば、主婦や定年退職者などの地元密着の配達員も出てくるだろうし、ユーザーも気軽にデリバリーが頼めて使いやすい。今後のエリア拡大に期待したい。また、今後加算されるという配達料もいくらぐらいになるのか気になるところ。

文/阿部 純子

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

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