乾電池で空を飛べるのか?世界最長距離有人飛行のギネス世界記録に挑む今年の「エボルタチャレンジ」

乾電池で空を飛べるのか?世界最長距離有人飛行のギネス世界記録に挑む今年の「エボルタチャレンジ」

@DIME アットダイム

 パナソニックが今年も「エボルタチャレンジ」を実施する。

「エボルタチャレンジ」とは、アルカリ乾電池『エボルタ』の特徴である長持ち、ハイパワーを実証するため、毎回様々な実験にチャレンジするというもの。過去には単三形乾電池2本で動く小型ロボット『エボルタ』がグランドキャニオンの崖を登り切ったり(2008年)、充電式エボルタ仕様のロボット『エボルタ』で東海道五十三次(東京−京都約500km)を走破したり(2010年)、はたまた本物の電車を走らせたり(2014年)と、様々なチャレンジに挑戦し数々のギネス世界記録(R)(※1)を打ち立ててきた。

 そして今回のチャレンジもスゴイ! 

 なんと、『エボルタ』で有人飛行、しかも世界最長記録(※2)に挑もうというのだ。チャレンジが行われるのは11月3日、場所は“人力飛行機”の聖地、琵琶湖だ。しかし、乾電池のパワーだけで本当に有人飛行など可能なのだろうか。

 今回のチャレンジの詳細が発表されたのは神奈川県平塚市の東海大学湘南キャンパス。会見場には今回の飛行を実際に行なう、東海大学チャレンジセンター・ライトパワープロジェクト・人力飛行機チームが、揃いのブルーのジャケットに身をまとい集結していた。ちなみに同校の人力飛行機チームは、人力飛行機の大会では常に上位に食い込む実力校。今回のチャレンジのための専用機の製作に取りかかっていた。


東海大学チャレンジセンター・ライトパワープロジェクト・人力飛行機チームの面々。部員は51名。


記者会見場で学生たちが飛行機を製作している様子をまとめたビデオ映像も流された。

 パナソニック アプライアンス社 コンシューマーマーケティング ジャパン本部・黒木友揮さんによれば、そもそも乾電池だけで有人飛行をしたという記録は、世界を見渡してもないという。つまりチャレンジそのものが世界初。その上でギネス側との協議の結果、以下のルールが設定された。

(1)10km以上飛行すること。
(2)離陸&飛行の動力は市販の乾電池のみであること。
(3)飛行中に乾電池の交換はできない。
(4)飛行中に部品の取り外しはできない。
(5)離陸ポイントから着水ポイントに至るまでの「飛行経路の総距離」が本挑戦の記録となる。
(6)飛行距離の算出はGPSシステムを使用する。


パナソニックの黒木友揮さん。乾電池『エボルタ』も世界一の長持ち乾電池として2008年にギネス世界記録(R)(※1、※3)に認定されているという。

■ただ今、このチャレンジのための専用機を製作中

 ところで、肝心の乾電池で飛ぶ飛行機とはいったいどのようなものか。現在も製作が続くその飛行機が記者にお披露目された。

 
現在製作が続く、有人飛行機。同チームのほかの人力飛行機よりも主翼を大きくし、揚力を稼ぐという。取材時も連日徹夜作業が続いていると話していた。

 東海大湘南キャンパスの中庭にはその飛行機が置かれていた。ひと目見て主翼の大きさが目立つ。大きく張り出した主翼のセンターの上に操縦席が乗る低翼機というものだと説明を受けた。翼幅は26200mm×全高3350mm×全長7100mm、そして機体の総重量は(電池とパイロットが乗り込んだ状態で)約130kgだという。また飛行機の操縦席の真下に『エボルタ』を搭載するボックスを設けている。現在は単三形の『エボルタ』を約500本使用している。

 
飛行で使用する単三形乾電池は約500本。今後、動力のパワーアップや、機体の軽量化を図り、乾電池の本数を減らすことができれば、さらなる軽量化に繋がるという。

 機体の開発には、翼、フレーム、プロペラ、カウル、電装、駆動の6つのチームを編成。連日深夜までの作業が続いているという。この有人飛行機の設計者であり、フレーム班班長、そして同機に乗り込む予定のパイロット 同大学工学部 航空宇宙学科3年鷹栖啓将さんに話を聞いた。

「翼は普段人力飛行機で作るものより大きくしました。これにより揚力・浮力を上げようという考えです。そのために翼の強度、そしてなにより軽量化に努めています。主な部材には炭素繊維強化プラスチックや発泡スチロールを使用しています。機体の設計は私の体重も計算に入っています。そのため、私の体重にも変動があってはいけないので、体重を維持にも気を遣っています」


写真右が設計者でありパイロットである鷹栖さん。左はチームリーダーの東海林聡史さん。次代の日本の航空宇宙産業を担う人材デス!

 パナソニック『エボルタ』と東海大学の人力飛行機チームのチャレンジは11月3日(祝日)、朝6時30分に琵琶湖の彦根港をスタートする予定だ。

 最も風が安定する日の出の時間帯が選ばれた。離陸時は風速3〜4m/sの向かい風、飛び立てば追い風が理想だという。

 果たして、水面から約5mの高度を保ち、目標の10kmの壁を越えることができるのか。

 DIMEでは現地にてチャレンジの模様を取材する予定だ。続報に乞うご期待ください!


総勢51名で挑む「エボルタチャレンジ」。目指すはギネス世界記録! いざ!

※1 “ギネス世界記録”はギネスワールドレコーズリミテッドの登録商標です。
※2 “Greatest distance travelled by a fixed-wing aircraft powered by primary dry cell batteries”(一次電池(乾電池)で固定翼航空機が飛んだ最長距離)
※3 世界一長もちする単3形アルカリ乾電池として。ギネス世界記録に2008年1月15日認定、2016年3月31日再認定。

取材・文/中澤雄二 撮影/森博之

関連記事(外部サイト)