移住を検討中のフリーランスの中で最も都市部へのこだわりのない職業は?

移住を検討中のフリーランスの中で最も都市部へのこだわりのない職業は?

@DIME アットダイム

都心・大都市圏に住み、働き方が比較的柔軟であるフリーランスの移住に対する注目度は大きい。しかし、フリーランスの内面は、掴みにくいもの。”まとめ役”としてマネジメント面から地域活性を支援するふろしきやは、大都市圏在住で、かつ移住を考慮しているフリーランスを対象に、「移住に対する意識調査」を行なった。今回の報告は、7月の速報版に続くもので、追加分析したものである。

■職種で変わる心理的な距離感

これまでの様々な職業の働き方に接してきて中で、職種によって趣向や感性が違うことを肌で感じている。フリーランスという集合体を職種で分けて見ることで傾向を可視化できないかと考え、働く場と関わりの深い、環境面・立地面・ビジネスチャンスの軸で違いを見た。その結果、最も都市部へアクセスにこだわりの強さが見えたのが、「ディレクター・プロデューサー・プランナー・エディター」であった。綺麗な空気・土・水や移住先でのビジネスチャンスよりも、都心・大都市へのアクセスの良さへの欲求が強く、都市部での仕事の継続を最重要視していることが見て取れる。

大都市依存傾向は少し薄まるものの、フリーランスの大多数を占める「プログラマー・エンジニア」「デザイナー(WEB・グラフィック)・イラストレーター」「ライター・作家」でも同様の傾向だ。やはり、心理的には都心・大都市から離れることに仕事面での不安が強いと思われる。

逆に、最も都市部へのこだわりが弱いのが「カメラマン・フォトグラファー」である。その分、綺麗な空気・土・水への欲求が強く、移住先で自分自身のスキルを発揮できるビジネスチャンスを欲する傾向も強いことから、移住先への総合的な環境面へのこだわりは強いと考えられる。

「コンサルタント・士業・マーケッター」「翻訳・通訳」は比較的ニュートラルな回答がなされている。移住先でも都市部でも柔軟に仕事を考えている姿勢がうかがえる。

ただ、人数としては後半の2つのタイプは少数派である。どこでも仕事ができ、組織に縛られないとしても、やはりヒトやモノが集まる都市部への接続を求める心理は根強いものがあると考えられる。

■子供の有無で変わる傾向

フリーランスのうち、20代〜40代の比較的若年層に絞っている。子どもがいるかいないかによって、意識の変化が見られる項目の中でも差が大きい項目を列挙したものが次のデータである。移住先への欲求が上がっている項目を見ると、生活環境と関わる地理的面、施設・制度面、コミュニティ面の要素で数値の差が見られる。中でも「医療・福祉施設」や「教育・文化施設」「自治体の住民支援」に対して大きく変化がある点が目立っており、関心が大きく高まることがわかる。逆に言えば、子供がいない場合にはほとんど、これらの要素に関心が持たれていないことになる。

逆に要求が下がっている項目を見ると、都市部や商業施設へのこだわりは和らぎ、自分自身の生活ペースや趣味への要求も下がっている。

要求が上下している項目を総括すると、自分への意識が弱まり、子供への意識が強まった結果起きる欲求の変化と捉えられると推察される。

■現在住んでいる地域で変わる傾向

現在住んでいる地域で分けて見たときに、特にデータにバラつきの大きい上位項目をピックアップして分析してみた。
東京都23区、その他一都三県、関西圏は傾向が似通っており、居住地による違いはそれほど大きくないことがわかる。敢えてコメントするとすれば、その中でもやはり東京都23区在住者は、自分のペースでの生活や仕事に対する欲求は強いのは特徴と言える。

対して愛知県・福岡県に関しては少し様相が変わる。愛知県在住のフリーランスでは、治安や安全性、安価な生活費への欲求が少なく、豊かな自然や古い街並みへの欲求が強い。東京都23区まではいかないものの、自分のペースでの生活や仕事への欲求も高いことから、忙しさや慌ただしさから離れられる環境を一番に求めていると考えている。そして特に、名古屋を中心とした一部にビジネス街が集中している地域性がある。同県内や近郊の県に近郊に豊かな自然や古い街並みの名所が多く身近に思い浮かぶことも、同要素を重視するきっかけと考えている。福岡県在住フリーランスは、自分のペースでの生活や仕事に対する欲求が一番低いことから、比較的現状に対する慌ただしさへの不満は少ないのかもしれない。また、福岡県在住フリーランスの移住希望先の1位は福岡県自体であることも考えると、豊かな自然や古い街並みと互いを尊重して助け合える住民関係への欲求が低いことは、現状への不満が小さいことの裏返しのように感じられる。商店街や商業施設の充実への欲求があるのは、地元の商店街文化が根強いことも影響していると考えられる。

■パーソナルな欲求だけでは、移住は選択できない?

働く場所を束縛する要素はどんどん減り、組織に所属しながらも働き方の自由度は上がってきている。しかし、今回のフリーランスの調査結果からは、たとえ働き方が自由になったとしても都市部に近接することに対する心理的な依存はやはり高いと捉えられる。その心理面が働く中では、個人に寄った自分のペースでの生活や仕事の成立といったパーソナルな欲求だけでは、移住という選択はできないのではないか。複数の職を持つ可能性を含めて考え方を柔軟にする必要があると考えられる。さらに、その心理的な制約を乗り越える大きな変化をもたらす要素の一つが、子供の存在であるという結果も見ることができる。地域創生への取り組みはまだまだ実践が始まったばかり。実際に働く・生活することへの物理的な自由度は高まりつつも、心理的な依存による場所の固定化が大きな障壁となっているように感じる。

【調査概要】
調査時期:2016年7月4日〜7月19日
調査対象:移住を考慮していると回答した首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)、愛知県、関西圏(大阪府、兵庫県、京都府)、福岡県在住のフリーランス
対象者数:750名
調査企画・分析・レポート:ふろしきや
調査協力:クラウドワークス

 

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