汚部屋の原因は「アスペルガー症候群」!? 片付けられる人になる方法

汚部屋の原因は「アスペルガー症候群」!? 片付けられる人になる方法

『片付けられないのはアスペルガー症候群のせいでした。』(吉濱ツトム:著、カタノトモコ:イラスト/宝島社)

 汚部屋の進行が止まらない。枕元には漫画の山が複数個所発生し、未鑑賞の映像ソフトもあちこちに散乱している。さらに私には玩具収集という趣味があり、アニメや特撮を題材としたフィギュアなど対象は広い。部屋はまさに「テトリス」のブロックのごとく段ボール箱が積み重なり、人の住処といっていいのかすら怪しいものだ。本人ですらも「どこかおかしいんじゃないの?」と指摘したくなるのだが、実際おかしい可能性があるのだという。『片付けられないのはアスペルガー症候群のせいでした。』(吉濱ツトム:著、カタノトモコ:イラスト/宝島社)では、汚部屋の原因がアスペルガー症候群ではないかという衝撃の事実を突きつけてきた。

 このアスペルガー症候群という言葉、最近はネット界隈でも「アスペ」などと略して目にすることが多くなってきた。これは発達障害の一種で、広汎性発達障害の自閉症スペクトラムに分類されるという。要するに、広義の意味で自閉症ということなのだ。イキナリ発達障害といわれても「まさか!」と思う人がほとんどだろう。しかし本書にある「アスペルガー症候群チェックテスト」を試してみると、意外と該当する項目が多いことに気づかされた。「好きなことに夢中になると、周囲の物音は一切耳に入らない」「人混みに苦痛を覚える」あたりは、多くの人が思い当たるのではないか。結果として「アスペルガー症候群の疑いアリ」と出てしまった。……マジか。

 やはり「症候群」や「発達障害」などと聞くと、思わず身構えてしまう人がほとんどだろう。しかし、実のところ先ほど挙げた項目のように、アスペルガーの傾向は誰でも持っている。その症状が多ければ症候群と診断され、少なければ「隠れアスペルガー」ということで、本書によれば「20人にひとりくらいいる気がする」のだとか。決して少なくない数の人が該当するわけで、この症状が「特別なものではない」ことが理解できよう。

 とりあえずアスペルガーが普通にあり得るとして、片付けとの因果関係はどこにあるのか。発達障害カウンセラーの吉濱ツトム氏によれば「アスペルガー症候群の人は、前頭葉が萎縮しているため、何をどこに置けばうまく収まるかという想像力を働かせることが得意ではありません」という。つまり整理整頓が苦手ゆえに、部屋が散らかり放題になるのだ。また極端にモノが捨てられない「溜め込み障害」も原因のひとつに数えられる。こうして指摘されると、私自身かなり当てはまっているようだ。

 ではどのようにすれば改善できるのか。実はアスペルガー症候群には長所もある。例えば口頭で理解するのは苦手でも、視覚情報を処理するのは得意という面。これを利用して片付けを動画などで視覚化することで、手順に沿って作業することが可能になるという。また片付けた部屋を写真に撮っておけば、再び散らかっても写真の状態に戻すことができるのだそうだ。他にもアスペルガーの人は一度決めたことは遵守しないと気がすまない傾向があり、片付けのルールをしっかり決めておくのも有効だ。

 では「溜め込み障害」についてはどうか。実際、私などはその典型で「いつか何かの役に立つかも」などと考えがちだ。しかし吉濱氏によれば、不利益を考えれば捨てられるようになるらしい。例えば梱包用のダンボールが一畳分あったとして、六畳の部屋で家賃が6万円なら1万円分がダンボールに費やされていることになる。こう考えれば、溜めておくことがかなりの不利益に感じられるはず。そういう動機付けが捨てるためには重要なのだ。

 本書では片付け以外にも、アスペルガーを改善する方法などを漫画で分かりやすく解説している。もちろん個人差はあるので、当てはまる人もそうでない人もいるだろうが、考えかたの参考にはなるはず。片付けられないことで社会的に深刻な不利益を被っていると感じる人は、ぜひ試してみてほしい。私はといえばそこまで深刻ではないが、確かに家賃におけるダンボールの占有率を考えると損失もバカにならないので、周囲に積まれているものを処分してみようかという気にはなったのである。

文=木谷誠

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