スタンフォード教授が「ネット婚活」に挑戦! 婚活を経済学で制覇する方法

スタンフォード教授が「ネット婚活」に挑戦! 婚活を経済学で制覇する方法

『オンラインデートで学ぶ経済学』(ポール・オイヤー:著、土方奈美:訳/エヌティティ出版)

 最近は結婚や交際への願望が低下していると言われているが、周囲がどうであれ、やっぱり恋人は欲しいし、結婚はしたいと思っている人はいることだろう。中には願望はあるのに実現できないと悩んでいる人もいるかもしれない。そんな人におすすめしたいのが『オンラインデートで学ぶ経済学』(ポール・オイヤー:著、土方奈美:訳/エヌティティ出版)だ。「オンラインデート」と聞いて何だかいかがわしい話だなと思った方、真面目な気持ちで書かれた本なので安心して読んでいただきたい。「経済学」という言葉を見た瞬間、小難しい話かとひいてしまった人もまったくそんな本ではないので、もう少しお読みいただけると幸いである。

 著者はスタンフォード大学経営大学院の教授で労働経済学雑誌の編集長も務める経済学のプロだ。と同時に10代の年頃の子どもとヤンチャな大型犬を持ち、妻と離婚予定で髪が薄くなりつつある男性でもある。本書はそんな著者が実際にオンラインデートをする中で、ネット婚活や身近な生活の話と絡めながら経済学をわかりやすく教えてくれて、同時にパートナー探しのアドバイスまでしてくれる一石二鳥の本だ。さらにラストでは著者の婚活がどのような展開を見せ、どんな結末を迎えたかという恋バナ的な話も明かされていて一石三鳥を楽しめる本となっている。

 経済学なんて言われると専門的な学問のように感じるかもしれないが、実際には生活のさまざまなシーンと関わる生きる上で必須の知識だ。いい大人だし、社会人だし経済学ぐらい知っておきたいと本を買ってページを開く。ところが、サーチ理論だ、シグナリングだと難しい単語が並ぶのを目にして速攻で本を閉じてしまったという人もいるかもしれない。しかし本書は経済学の本でありながら、ページをめくり始めると“恋”だの“デート”だの“セックス・アンド・ザ・シティ”だの、手にした本を間違えたのかと不安になるような単語が目に入る。

 オンラインデートは日本ではまだまだ発展途上の段階だが、既にアメリカではメジャーな婚活スタイルだ。ネットの出会いに関する危険なニュースを目にしてマイナスのイメージを持ってしまっている人もいるかもしれないが、実際には日本でもネットを通して知り合った人と結婚する人は増加傾向にあるという。リクルートブライダル総研の調査でも交際相手との出会いのきっかけについて10人に1人がオンラインでパートナーを見つけたという結果もあるのだ。

 ネット婚活を不安視する一因にネット社会で蔓延する“ウソ”への不信感が挙げられるだろう。たとえば本書の第二章では婚活や恋愛における予防線やごまかし、明らかなウソについて語られている。プロフィールの真偽を調査したある研究では男性が身長を平均2.5cm高く偽り、男女ともに体重を平均2.3kg過少申告し、全体の2割が平均1〜2歳の年齢詐称を行っていた。著者の利用サイトでは実際の数の約4倍の人が収入を約1000万円と書き込み、昔の写真を使用している人も多かった。“ぽっちゃり”を“体格が良くてたくましい”と書く例は就職活動の履歴書でも多く見る手法である。これは経済学的に言えば“チープトーク”とされる思考的枠組みだ。ゲーム理論でいう、相手との利害の食い違いを分析し、特定の状況で情報を隠したり、真っ赤なウソをついたりするほうがよいかを分析することである。投資銀行のアナリストはチープトークの使い手と言われているし、企業や政治家にもよく見られる。この章では、みんなもやっているプロフィールでの多少の誇大広告は問題ないとし、相手の選択にかかわらず自分にとっての最高を選択する“支配戦略”の手法と、ウソの大小のバランスについてわかりやすく教えてくれる。大げさにアピールする“押し”と真っ正直に伝える“引き”との恋の駆け引き法とでも言おうか。

 本書ではこの他にもライバルの多いネット婚活で他に差をつけて自分の本気度を相手に示す方法やパートナーの選択に手を打つタイミング、避けるのが賢明とされる人のタイプなど経済学を通したアドバイスが語られている。学歴や外見、器量という面でのオンラインデート市場での価値や、労働市場、ビジネス界を含めて考えても価値ある人と言われる人の特徴など、気になる話が満載だ。さあ、あなたもこの本を手に、さっそく最良のパートナー探しを開始し、経済学を語れる大人を目指してみようではないか。

文=Chika Samon

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