アドラー流「自分から勉強する子」にさせる親の言葉と「劣等感が強い子」にさせてしまう親の声かけとは?

アドラー流「自分から勉強する子」にさせる親の言葉と「劣等感が強い子」にさせてしまう親の声かけとは?

『アドラー流「自分から勉強する子」の親の言葉』(和田秀樹/大和書房)

 「宿題はやったの?」「ゲームやめて、勉強しなさい!」「もう○年生でしょ? 宿題だけでいいの?」…大半の母親という人種は、こんな台詞を日々口にしているんじゃないだろうか。実際、小言をいうだけ不快&エネルギーの無駄で、正直、放っておきたくもなるが、なかなかそうもいかないのも母親の泣き所。6月の出版以来すでに5刷りを重ねている 『アドラー流「自分から勉強する子」の親の言葉』(和田秀樹/大和書房)は、そんな悩める母親への福音かもしれない。なにしろ「自分から勉強する子」という夢のような存在に、親の声のかけ方次第で変化するというのだから。

 著者の和田秀樹氏は多くの教育関連書でも知られる精神科医。自らの灘高〜東大理III 進学体験もベースにした実践的な教育論は広く親しまれているが、今回著者が注目したのが、タイトルにも「アドラー流」とあるように、ここ数年で主にビジネス書の分野で話題となっている「アドラー心理学」だ。

 アドラー心理学とは、オーストリア出身の心理学者アルフレッド・アドラー(1870〜1937)による、人の心は画一的に分析可能なものではないとする「個人心理学」をベースに、それを受け継いだ弟子たちによって確立された心理学のこと。アドラー心理学でポイントとなる考え方はいくつかあるが、「人の行動には目的がある」としてトラウマを否定する「目的論」や、「課題克服のエネルギーとなる」と「劣等感」に注目するなど、ざっくり捉えるなら現代人の心の問題の解決にもヒントとなる「発想や視点の転換」というポジティブな道を示した心理学といえるだろう。

■どんな子も「勝ちたい」と思っている?

 本書によれば、こうしたアドラー心理学の考え方は、子育てにも大いに参考になるという。たとえば「人間は誰もが他人と競争して勝ちたいと思っている(優位性の追求)」とアドラーは説くが、それを子供 に当てはめてみるなら、元々やる気のない子はおらず、スポーツなり勉強なりでどんな子も「勝ちたい」と思っているということになる。必要なのはその意欲をいかに伸ばすか、であり、親子の関係は対等と考えたアドラーは「親はこどもが人生の課題に取り組み、乗り越えていくための勇気を与えること(勇気づけ)が大切」とする。つまり親が意識して声かけすることで「子供 は伸 びる」というわけだ。

■子供の劣等感を強めてしまう悪い「声かけ」とは?

 問題はどんな声かけをするべきか。本書ではさまざまバッドケースがとりあげられているのだが、たとえばテストで点が悪かった時、つい「何やってたの?」と問いつめてしまうケース。これではかえって劣等感を強めてますます勉強嫌いにしてしまうだけ。あくまでも大事なのは「勇気づけ」であることを忘れず、「こうすればできるようになるよ」などアドバイスできたらいい。あるいは、「次に勉強さぼったらゲーム禁止」など罰を与えるのもNG。「自分に価値があると思うときに勇気を持てる」と考えるアドラー流では、子供 を罰する=価値を否定することになり、これでは「勇気」を与えられない。大事なのは「勉強ができる」という未来の楽しさに目を向けさせることなのだ。

 時には、勇気づけのために「うちの先祖は勉強ができた。だから大丈夫」と多少の誇張はあっても暗示をかけるくらいの勢いがあってもいい、と著者(実際、著者の弟は、こうした母の声かけで落ちこぼれから東大現役合格を勝ち取ったとか)。いわば「子供 を上から変える」のではなく、未来志向を持ちながら「支えながら変えていく」のがアドラー流子育て論だ。そのためには、まずは親の「意識改革」から始めるのが大事であり、むしろ自分の心がけで可能な分、取り組みやすい。気がつけばいつのまにか子供 が変化していた!そんなうれしい未来が待っているかも。

文=荒井理恵

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