リサイクル、サスティナビリティなくしてお洒落なし【ピッティ・ウオモ95】

リサイクル、サスティナビリティなくしてお洒落なし【ピッティ・ウオモ95】

リサイクル、サスティナビリティなくしてお洒落なし【ピッティ・ウオモ95】の画像

2019-20年秋冬メンズファッションの総合展示会、第95回ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO95)が1月8日から4日間の日程で、イタリア・フィレンツェで開催された。

昨年7月に開通したトラムが会場のフォルテッツア・ダ・バッソ前にも通り、トラフィックが改善されこれまでとは違うエントランスの風景。世界各国から高級メンズブランドを中心に約1,230ブランド(内イタリア以外からが542ブランド)が出展する世界最大のメンズファッションの展示会に、期間中2万3,800人のバイヤー、約2,700人のメディア関係者が来場した。

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今回のテーマは「ピッティ・ボックス(Pitti Box)」。センターパビリオン前の広場には、常時業界のインフルエンサーやメディアピープルのトークショーが行われているトーキングボックスを設置。ストリーミング配信を行い、さまざまな“箱”の中と外が形成する新しい世界をコンセプトに会場設計が行われた。これまでのポップなテーマから一転し、テキストと会話が会場構成の中心となったため、センター広場付近は従来のお祭り気分から、カンファレンス的な転換期を迎えているイメージを受ける。

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この数年同展を賑わしてきたファッションスナップの被写体目的のコスプレイヤーたちの来場もピークは過ぎ、総合展示会という目的の原点へと戻りつつある気配は、出展各社のブースにも顕著だ。その背景にはイタリア国内の景気悪化によるイタリア国内バイヤー数の減少(今回の来場者数は前回比8%減)をはじめ、メンズの大型チェーンの世界的な消費の伸び悩みという「危機的状況や悪い時期が過ぎるのを待つのではなく、最高の成果を上げるために行動を起こすことにした」(ラファエロ・ナポレオーネ ピッティ・イマージネ・ウオモCEO)という運営サイドからの姿勢があるようだ。


次:加速するサスティナビリティ化&ハイテク加工化
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加速するサスティナビリティ化&ハイテク加工化
今シーズン全体的に目立ったのは、ダウンやウールなどの自然素材のサスティナビリティ化とハイテク加工化。それとハンティングやスキーなどウィンタースポーツに密接な専業ファクトリーメーカーブランドの好調さだ。

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前回から引き続きプレス関係者ゲートのエントランスの特別ブースでアイスショーのインスタレーション展示や、ビームス(BEAMS)とのコラボラインの展示を行ったウールリッチ(WOOLRICH)や、今回ブランド誕生125 周年を迎えたバブアー(Barbour)も定位置のブースで過去のアーカイブの復刻モデルや話題性あふれるコンテンツを展開。前シーズンに発表され話題を集めているエンジニアド ガーメンツ(ENGINEERED GARMENTS)の鈴木大器とのコラボの第2弾、映画監督リドリー・スコット(Ridley Scott)とのコラボのディレクタージャケットなどが発表された。

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さらに売り上げが前年比20%増と好調が続くヘルノ(HERNO)は、メインパビリオンでの通常ブースとは別に高機能サルトリアルラインのラミナー(LAMINAR)だけを紹介するブースを新たに設置。これまでのゴアテックスを使用した機能訴求だけではなく、ウール素材のコートの裏にメンブレンを貼り撥水性、透湿性などを加えたファッション性で進化したラミナーのラインアップの拡大をPRした。

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HERNO /?? birds-nest
ROSSIGNOL × Philippe Model ??Francesco Guazzelli
さらにフランスの名門スキーブランドのロシニョール(ROSSIGNOL)は、メイン会場のフォルテッツァ・ダ・バッソでのブースではウエアラインを従来通り提案したが、今シーズン新たに発表されたフィリップ・モデル(Philippe Model)とのスニーカーのカプセルコレクションをフィレンツェ郊外のヴィラ・ビクトリアでお披露目した。

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SAVE THE DUCK /?? birds-nest
PLUME /?? birds-nest
前シーズンから好調なダウンウエアは今シーズンも引き続き、バイヤーからの注目度は高く、各ブースも賑わいを見せた。羽毛を使用せずに「PLUMTECH?」という特殊ポリエステル素材の中綿でアニマルフリー・ダウンを打ち出しているセイブ・ザ・ダック(SAVE THE DUCK)や、カナダのムースナックルズ(MOOSE KNUCKLES)はグラウンドレベルに特別ブースを構え積極的なPRを展開。イタリアのコートブランドのパルト(PALTO)はリサイクルダウン「PURE」を使用した新ブランド、PLUMEを発表した。またリサイクル素材だけを使用した100%メイド・イン・イタリーのコレクションを展開するエコアルフ(ECOALF)もフォルテッツァ・ダ・バッソ内の「IPLAY」ゾーンと外部会場のストロッツィ宮殿で、カプセルコレクションのデュアル展示を行った。

ECOALF / ??Francesco Guazzelli
「ダウンは2017-18年秋冬シーズンのマーケットが全世界的に好調だったことから、各ブランド2019-20年秋冬シーズンの企画に力が入ったのでは」と「Touch」のゾーンに出展しているナナミカ(nanamica)の本間永一郎社長は話しており、同ブランドでもダウンジャケットの新アイテムが提案されていた。日本からの出展ブランドは「継続出展により確実に取引先とのパイプが深まっている」(Y. & SONS)という声に代表されており、同ブランドと同様に和、着物の伝統的な文化や技術で市場開拓を図るヒロミ アサイ(HIROMI ASAI)は西陣織の手縫いのシルクツイード、新潟の栃尾紬、柿渋染めの縫い取りなどのテキスタイルを使用したジャケットなどを出展。セレクトショップなどとの取り組みが増えつつあるという。

HIROMI ASAI /?? AKAstudio - collective
Y. & SONS /?? birds-nest

次:アウトドアのニューカマーが集結する新ゾーン「I GO OUT」
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アウトドアのニューカマーが集結する新ゾーン「I GO OUT」
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新たなゾーンとして設置されたアウトドアのニューカマーブランドを集めた「I GO OUT」は、今回も日本のマウンテンリサーチ(Mountain Research)、スノーピーク(Snow Peak)、ゴールドウィン(GOLDWIN)、デサントオルテライン(Desente Alterrain)などが出展。パビリオン入り口には赤い提灯がディスプレイされ、機能とスタイルの融合性、素材開発などこのマーケットを牽引するのが日本ブランドであることをイメージさせた。

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エコロジカルな取り組みを訴求は同ゾーンの特別ブースで出展したロロピアーナグループのシーズ(SEASE)もバイオ・ポリエステルとカシミア・ウール混のセーター、ナチュラルナイロン、再生インディゴなどの開発によるブランディングを訴求。地震で被災した伊アマトリチャーナ地方の支援なども同ブランドで行い、サスティナビリティな仕組みを含めたアパレルビジネス構築の重要さは、今シーズンの重要なテーマであることを感じさせた。

SEASE / ??birds-nest

次:日本から若手6ブランドが出展した「Touch」ゾーン
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日本から若手6ブランドが出展した「Touch」ゾーン
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また今回も「Touch」ゾーンに東京ファッションアワード第5回受賞ブランドのアーネイ(ANEI)、チノ(CINOH)、ジエダ(JIEDA)、レインメーカー(RAINMAKER)、ノブユキ マツイ(NOBUYUKI MATSUI)、ポステレガント(POSTELEGANT)の6ブランドが出展。会期中には海外プレスに向けて記者会見が行われ、上記ブランドのデザイナーに加え、兵庫・姫路地区での職人技術をPRするジャパニーズホワイトレザープロジェクトで参加したコウザブロウ(KOZABURO)の赤坂公三郎も参加した。これまでの商品展示だけではなく、デザイナーのコンセプトを伝えたことで、従来以上にブースへ立ち寄る来場者が増えたという。

チノの茅野誉之 / ? AKAstudio - collective

Text: Tatsuya Noda