新型肺炎で中国人観光客激減…地方の百貨店が恐れる“次の大沼”

新型肺炎で中国人観光客激減…地方の百貨店が恐れる“次の大沼”

横浜市沖に到着したクルーズ客船「ダイヤモンド・プリンセス」(C)共同通信社

ざっと見積もって約840億円を“失った”わけだ。

 日本旅行業協会が3日に公表した訪日中国人観光客のキャンセル数、3月末までで約40万人との見通しに衝撃が走っている。

 同協会が観光ビザの取得に必要な「身元保証書」の作成枚数から推計したところによると、中国政府による海外への団体旅行の禁止措置が始まった1月27日から3月末までの「身元保証書」の発行枚数は約40万人分あるといい、3月末まで禁止措置が続く場合、このほぼすべてがキャンセルになる見込みという。

 観光庁が1月17日に公表した「訪日外国人消費動向調査」(2019年暦年)によると、中国人観光客の1人当たり旅行支出金額は約21万円。キャンセルするとみられる約40万人の中国人観光客が昨年並みに消費したと推計すると、消費総額は約840億円になる計算なのだ。

 一方で、まだ「身元保証書」の発行申請を行っていない人や商用目的で訪日する人の動向は今のところ不明。ただ、2019年2〜3月の中国人訪日客は約140万人だから、キャンセル数はさらに増える可能性が高い。

 関西国際空港を運営する関西エアポート(大阪府泉佐野市)は4日、同空港と中国本土38都市を結ぶ旅客便のうち、2月3日から9日の1週間で約4割に当たる262便の欠航が確定したと発表。こうした動きは今後、他の空港でも広がるとみられ、仮に今年2〜3月に訪日する予定だった中国人観光客の規模が昨年と同程度で、そのすべてがキャンセルしたと仮定した場合、影響額は約3000億円にも達する。

 こうした状況に激震が走っているのが、近年、中国人観光客の消費需要に支えられてきた百貨店業界だろう。日本百貨店協会が1月22日に発表した12月の全国百貨店売上高概況によると、全国の百貨店(調査対象76社・208店)の売上総額は前年同月比で5.0%減の約6404億円で、3カ月連続マイナス。1月下旬には創業320年の老舗百貨店「大沼」(山形市)が倒産するなど、業界内では「次に危うい百貨店はどこだ」との声も飛び交う。

 中国人観光客減の影響をモロに受ける百貨店はどこなのか。東京商工リサーチの友田信男情報本部長はこう言う。

「中国人観光客の最近の消費行動は、都市部よりも地方の中核都市に広がっていました。おそらく、訪日キャンセルで影響を受けるのは、そうした地方都市の店になるでしょう。例えば、外国クルーズ船の寄港回数が(200回超で)全国2位の福岡港を持つ福岡市は、新型肺炎で寄港中止が続いているため、ダメージは大きいでしょう。また、暖冬で振るわなかった札幌市の店も落ち込みが予想されます」

 慣れ親しんだ自分の町の百貨店が突然、「大沼」のような展開になるかもしれない。

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