REIT市場の暴落と在宅勤務が不動産市場にもたらす影響とは

REIT市場の暴落と在宅勤務が不動産市場にもたらす影響とは

オフィス風景は変わる

新型コロナウイルスによる外出やイベントの自粛、サプライチェーンの停滞を引き金に、株式市場が大暴落している。あらゆる資産が換金売りされている中、REIT(不動産投資信託)の中には、この短期間で50%以上下落したものもあり、売りが続く印象は拭えないREITの主な投資先は、オフィス、ホテル、賃貸住宅、物流倉庫だが、この暴落が日本の不動産市場の行方をあぶり出しているという。

■これから需要が減るのはホテルかオフィスか

「物流に関してはネット通販の利用増によって全国で拠点が増加傾向ですが、需要が大幅に減ることはないでしょう。インバウンド(訪日客)は2月が60%近く減少し、3月はそれを上回るはずで観光需要がすぐに戻るとは考えにくい。終息すれば都市部を中心に供給過多といわれる宿泊施設もある程度戻ると思います。物流、ホテルより危惧されているのがオフィスです。ここ数年、都心を中心に大型オフィスの供給が続いたにもかかわらず、平均賃料は高止まりし2%を下回る空室率で極めて好調でした。しかし今後、在宅勤務が定着すれば、オフィスは必要最低限でいいという流れになるからです」(不動産コンサルタント)

 3月の1週目から在宅勤務をしている大手企業勤務のFさんによると、わかったことが2つあるという。

「1つは、普段から会議で発言しない人はオンラインだとより目立つことです。オンラインだと発言そのものに注目が集まります。だからといって、急に気の利いたことが言えるわけはなく、いなくてもいいんじゃないかという空気になったと思います」

 2つ目は、広いオフィスは必要ないということだという。

「週に1回程度顔を合わせる必要はあるでしょうが、基本的にリモートでも十分可能です。職種によりますが、個別にデスクがなくてもフリーデスクやシェアオフィスでいいわけです。リモートだと、会社に通っていた時の1日の仕事が3時間ほどの実働で済むことがわかります。僕自身も会社にいる時は、勤務時間の3分の1はネットサーフィンしていましたから。その結果はっきりしたのが、会社員は成果より『出社すること』と『一定時間拘束されること』に給料が支払われていることです」(Fさん)

 実際、社員の在宅勤務を他社に先駆けて進め、現在約4000人の社員が在宅勤務しているインターネット大手のGMOグループの熊谷正寿会長は、在宅勤務による業績へのマイナス影響はなく、今後、不要なオフィス費用を社員の待遇に還元するとツイッターで発言。アフターコロナは、不動産市場だけでなく社会の常識まで変わっていきそうだ。

(取材・文=伊藤洋次)

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