日本の自動車関連メーカーは加速するEV化で再編を迫られる

日本の自動車関連メーカーは加速するEV化で再編を迫られる

米ステラのEV(C)ロイター

電気自動車(EV)へのシフトが国内の自動車関連メーカーの再編につながるかもしれない。

 政府は2035年までの「脱ガソリン車」政策を掲げている。群馬県富岡市の部品メーカー幹部は、「これまで培ってきた日本の自動車産業の優位が失われる」とため息交じりだ。

 EVは、「車づくり」に必要な部品の数や種類がガソリン車と大きく異なる。ガソリン車では約3万点の部品が使用されるのに対し、電気モーターで走るEVはその半分以下。高度な製造技術が求められ、日本の製造業が強みを持つエンジンやマフラーなどは不要となる。

■米アップルやソニーも開発

 ガソリン車に比べ構造が単純なEVは、電機メーカーなど他業種からの参入も容易だ。米テスラが先行しているが、世界のIT企業も虎視眈々。米アップルや米アルファベット(傘下にグーグル)、中国の百度、台湾の鴻海精密工業もEV開発を進める。日本のソニーも試作車で公道実験をスタートさせた。

 SUBARU(スバル)の城下町として知られる群馬県太田市の部品メーカー社長は、「モーターの生産がしっかりできる会社に食い込まなくては」と事業内容転換の必要性を強調する。

 とはいえ、自動車の代替産業として注目されていた航空機産業では、三菱重工業の国産ジェット旅客機事業が頓挫。部品メーカーが将来性を期待する宇宙産業も、自動車ほど需要を生み出すかは不透明だ。先の社長は「完成車メーカーは一度新車が発売されると5〜10年、安定して仕事をくれた。それが通用しない」と取引を他業種に移すことに不安を隠さない。

 自動車産業のピラミッド構造は、トヨタ自動車や日産自動車、ホンダといった完成車メーカーを頂点に、系列の部品メーカーが1次下請け、2次下請けと連なっている。関連業種を含めた産業全体の雇用者数は約550万人。このうち部品メーカーだけでも約70万人と、全製造業の就業人口の1割を占め、日本の「ものづくり」を支えている。

 中でも電動化の影響が特に懸念されるのが、完成車メーカーに直接部品を納入しない2次下請け以下の企業だ。太田商工会議所の橋本文男専務理事は、「統廃合が続くのは避けられない」と予想。デロイトトーマツグループで事業再生支援を手掛ける山西顕裕氏は、部品メーカーの生き残りのカギとして「業界の変化を察知していち早く(業態転換や再編・統合など)手が打てるかどうかだ」と指摘する。

 日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は昨年12月、EV化について「雇用を増やして税金を納めるという現在のビジネスモデルが崩壊してしまう」と業界の不安を代弁した。


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