なぜ「カクヤス」は破格の“ワンコイン”スパークリングワインを実現できた?

なぜ「カクヤス」は破格の“ワンコイン”スパークリングワインを実現できた?

ワンコインでスパークリング(C)日刊ゲンダイ

コロナ自粛でホテルや飲食店での宴会が激減し、業務用アルコール飲料の販売量が大幅にしぼんだ。代わりに家飲み需要で売れているのが、新ジャンルのビールやチューハイなど、低価格帯のアルコール飲料だという。

 東京を中心に店舗展開している酒類販売大手「カクヤス」(東証2部)も居酒屋向けなど業務用販売が落ち込み21年3月期決算は赤字を見込んでいるなか、巣ごもり向け商品を強化。

「お客さまにモノではなくコトとして、『お酒を飲むこと』を楽しんでいただきたいと考えております。オンラインツアーでワイナリーをご案内したり、お酒を飲むシーンに合うおつまみなどの食品の提案をしたりしています」(カクヤスグループ・グループ経営戦略部の五十川里子さん、以下同)

 店内にはおでんやご当地カップ麺、菓子、缶詰など食品が充実しているが、隠れたヒット商品が店先に陳列されているスパークリングワインだ。

 1本750ミリリットル500円(税別)で、スペイン、フランス、イタリアの白のほか、数量限定でロゼや赤の微発泡ものも販売。安くておいしいと評判が立ち、19年2月から累計販売本数は200万本を超えている。

「圧倒的な1番人気がシャンパンと同じ瓶内2次発酵という方法で造られた超辛口のスペインの『カヴァ』です。食事に合わせやすい味わいで、泡(=炭酸)が強く感じられる点が大変ご好評いただいております」

 なぜこの価格が実現できるのか。

「19年2月にEPA(経済連携協定)が発効し、EU産ワインの輸入にかかる関税が撤廃されました。これに合わせて19年1月から関税分を値下げし、今までワインを飲まなかったお客さまにも手に取っていただこうと『EPA関税撤廃体験セール』を企画しました。目玉としてワンコインスパークリングワインを数量限定販売したのがきっかけです」

 このとき瞬く間に完売となったため、企画終了後も継続しているという。

「本来、関税が撤廃になったからといって、簡単にワンコインで販売できる商品ではありません。ワンコインで続けられているのは、仕入れ先である輸入業者さまのお力はもちろん、弊社の物流網と販売スケールを生かした仕組みを構築できたことが大きな要因です。商品をコンテナ単位で仕入れており、日本で通関後そのまま弊社物流センターに納品していただき、荷さばきして各店舗へ配送を行っています。物流コストの削減とお客さまにご愛顧いただくことで販売数量のスケールメリットが維持できている結果、実現しております」

 大きな為替変動がない限り、価格を維持していくとのこと。いいものを安く提供できている企業努力は評価に値するのではないだろうか。

(取材・文=伊藤洋次/日刊ゲンダイ)

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