精神障害のある人と一緒に働く! 当事者・支援者の活動に「リリー賞」の栄誉が

精神障害のある人と一緒に働く! 当事者・支援者の活動に「リリー賞」の栄誉が

数値目標だけでない発展的な関係を(depositphotos.com)

 厚生労働省が2016年の12月13日に発表したところによると、企業で働く障害者の人数は同年6月1日時点で、過去最多の47万4374人になったという。

 1年前より2万1241人増えて、13年連続で過去最多を更新しているのだが、特に延びているのが精神障害者の雇用だ。これに関しては、従来の身体障害者や知的障害者と比べて、勤務が安定しないなどの理由で敬遠されることもあった。

 しかし、「統合失調症」や「うつ病」を抱えていても、服薬で体調が安定していれば、一定の配慮をすることで十分勤務が可能なケースも多いことから、多くの企業で採用されるようになっている。

精神障害者の社会参入が加速

 特に現在は、「障害者雇用促進法」という法律で、50人以上の企業は従業員のうち2%障害者を雇用せねばならず、その数値を満たさないときは、ペナルティとして障害者雇用納付金を納めなければならない。

 2018年4月より、その算定範囲に精神障害者が正式に含まれるようになることも決定。精神障害者の社会参入は、ますます加速していくことだろう。

 だが、精神障害者の社会での活躍は、企業が数値目標だけを掲げれば実現できるというものでもあるまい。単に数合わせのギスギスした関係なら、「雇う側」と「働く側」、どちらにとっても発展的な関係は築けまい。

 精神の疾患を持った人が、どのようにすれば主体的な活動を実現できるのか? そのヒントとなりそうなイベントが3月10日に東京国際フォーラムで開催される。
精神疾患というマイナスをチャンスへ

 そのイベントは「第13回精神障害者自立支援活動賞(リリー賞)」の授賞式だ。

 認定NPO法人地域精神保健福祉機構が、日本イーライリリー株式会社の協賛で主催するこの賞は、毎年、精神障害の分野で優れた活動を行なっている当事者や支援者に与えられる。

 過去の受賞者を見ると、精神疾患というマイナスを、むしろチャンスへと転化するような、当事者の多彩な活動が目を引く。

 今年の受賞者もすでに決定済みだ――。

 当事者部門では、精神障害の当事者のみで共同作業所を30年間運営するNPO法人精神障害者回復者クラブすみれ会(北海道)。および発達障害の当事者によるピアサポートを展開する一般社団法人UnBalance(アンバランス)(大阪府)の2団体。

 支援者部門では、精神障害者の福祉事業所と18年間交流を続ける会津若松市立川南小学校(福島県)と、精神障害の当事者によるフットサルとバレーボールチームを結成する高槻精神害者スポーツクラブ、愛称「WEAREウィアー」(大阪府)となっている。

 なお、同賞のプレゼンテーターは、母親の介護の体験を生かした執筆活動を精力的に行なっているフリーアナウンサーの町亞聖さんだ。

 これらの活動が意義深いのは、精神疾患の当事者が自らの意志と意欲で活動を続けていることだろう。精神障害を抱えながらも、さまざまなことを成し遂げることができることを、リリー賞の受賞者たちは証明している。

 一般企業でもこれからますます精神障害者の雇用が進んでいくことは間違いがなさそうだが、これらの受賞者たちの実例は、企業の人事担当者にとっても大いに参考になるに違いない。
(文=里中高志)

里中高志(さとなか・たかし)
精神保健福祉士。フリージャーナリスト。1977年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。大正大学大学院宗教学専攻修了。精神保健福祉ジャーナリストとして『サイゾー』『新潮45』などで執筆。メンタルヘルスと宗教を得意分野とする。著書に精神障害者の就労の現状をルポした『精神障害者枠で働く』(中央法規出版)がある。

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