除菌効果が高い「手洗い」のポイントは「水温」よりも洗浄時間と確実性・丁寧さ!

除菌効果が高い「手洗い」のポイントは「水温」よりも洗浄時間と確実性・丁寧さ!

除菌効果が高い手洗いのポイントは?(depositphotos.com)

 米ラトガース大学(ニュージャージー)のDonald Schaffner氏らは、「手洗いの効果は、水温ではなく、十分な時間をかけることの方が重要である」と『Journal of Food Protection』6月号に発表した(「HealthDay News」6月1日)。

 発表によれば、Schaffner氏らは、ボランティア20人を対象に6カ月間にわたって数回の洗浄試験を実施。対象者の手を高濃度の無害な細菌で汚染させた後、15℃、25℃、38℃の水で手洗いしてもらった。

 その結果、細菌を取り除く効果は、「冷水」と「温水」に変化は見られなかった。「10秒以上」手を洗えば、著明に細菌を除去できたことから、水温よりも十分な時間をかけて石鹸で手洗いする重要性が判明した。

水温よりも洗浄の実時間と確実性・丁寧さ

 つまり、手洗いをする時は、殺菌のために熱湯を使う必要はなく、手指の衛生維持の優先ポイントは、水温よりも、洗浄の実時間と確実性・丁寧さであると分かった。

 今回の結果は、食品を扱う施設に対して手洗いに38℃の水を使うように推奨するFDA(米国食品医薬品局)のガイドラインに反している。

 Schaffner氏は「この知見は食品サービス業界に対するFDAのガイドラインに変更を迫るものだ。温度要件を定めるのではなく、快適な水温にすべきだ。不必要に水を熱するのはエネルギーの無駄になる。冷水を使えば温水よりも光熱費を節約できる」と説明している。

 ただ、細菌の除去効果は、石鹸の使用量に関係しなかったため、細菌を除去するのに最適な石鹸の量や種類を正確に決定するためには追加研究が必要になるという。
慌てずゆっくり、しっかり丁寧に、時間を惜しまず、痒い所に手が届くように

 このような手洗い効果の先行研究には、名古屋文理短期大学の『手洗いの細菌学的考察』がある(名古屋文理短期大学 紀要第25号ci.nii.ac.jp/naid/110000473089)。

 食品を取り扱う施設の衛生的手洗いは、公益社団法人日本食品衛生協会『衛生的な手洗いについて』が詳しい。

 『衛生的な手洗いについて』によれば、食品衛生は手洗いに始まり、手洗い終わるので、食中毒の防止のために手洗いの励行を奨めている。病原微生物の汚染経路は、食品そのものの汚染、食品の製造、加工、調理に使用する器具・器材からの汚染、人の手からの汚染がある。衛生的な手洗いは付着した病原微生物を物理的に洗い流し、除去することだが、常在菌まで取り除く過度な手洗いは不要としている。

 手洗いレベルと汚れ、常在菌との関係について、文部科学省『学校給食調理場における手洗いマニュア』は、手を洗う前に爪を短く切りそろえる、腕時計や指輪などの装身具を外す、マニキュアをとる、手指に傷がないかを確認する点を指摘している。

 また、日常的な手洗いについて、公益社団法人日本食品衛生協会『手洗いマニュアル』によれば、以下の手洗い手順を推奨している。誰でも知っている常識的な手順だが、徹底していない人、習慣化していない人が少なくないかもしれない。

●衛生的な手洗い手順
 @流水で手を洗う
 A洗浄剤を手に取る
 B手のひら、指の腹面を洗う
 C手の甲、指の背を洗う
 D指の間(側面)、股(付け根)を洗う
 E親指と親指の付け根のふくらんだ部分を洗う
 F指先を洗う
 G手首を洗う(内側、側面、外側)
 H洗浄剤を十分な流水でよく洗い流す(@〜Hを繰り返せばさらに効果がある)
 I手をふき、よく乾燥させる (タオルの共用はしない、タオルはいつも衛生的に)

 また、アルコール消毒は、爪下、爪周辺に直接かけた後、手指全体によく馴染むように擦り込む。その他、爪ブラシは不衛生な取扱いによって細菌が増殖しやすく、二次汚染の原因になる場合があるので、十分な数の爪ブラシを揃え、適宜消毒することが必要だ。

 さて、手八丁、口八丁は威勢がいいが、人の手は、食中毒を引き起す病原微生物の運び屋だから、手洗いの手抜きだけは慎みたい。

 調理前、食事前、帰宅後、トイレの後。慌てずゆっくり、しっかり丁寧に、時間を惜しまず、痒い所に手が届くように!梅雨から初夏に向かうこの時節。何よりも体調管理を忘れずに!
(文=編集部)

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