公園の「砂場」は病原菌や寄生虫の温床だが...... 子どものアレルギーとの不思議な関係

公園の「砂場」は病原菌や寄生虫の温床だが...... 子どものアレルギーとの不思議な関係

公園の「砂場」は病原菌や寄生虫の温床(depositphotos.com)

 子どもは砂場遊びが大好きだが、近年は「砂場は汚いから遊ばせたくない」というママが増えているようだ。実際に、公園の砂場は細菌や寄生虫など病原体の温床となっている可能性が専門家によって指摘されている。

半数以上の砂場から病原性の細菌、寄生虫も検出

 マドリード・コンプルテンセ大学(スペイン)のJose Blanco氏らは、マドリード地域にある子ども用の砂場20カ所、およびイヌ用の砂場20カ所から砂を採取し分析した。

 その結果、全体の52.5%(子ども用砂場9カ所、イヌ用砂場12カ所)から、ディフィシル菌(クロストリジウム・ディフィシル)が見つかった。なかには、毒素を多く産生する型や抗菌薬に対する耐性を示す型も認められた(『Zoonoses and Public Health』7月7日オンライン版)。

 ディフィシル菌は、ヒトや動物の腸内に比較的よく見られる常在菌の1つだが、「悪玉菌」として悪名高い。通常はそう「悪さ」を働かないが、やっかいなのは抗菌薬への耐性を持つ種がいることだ。

 抗菌薬の服用で他の腸内細菌の勢力が弱まると、その隙にディフィシル菌が異常増殖し、ときに命に関わる「偽膜性腸炎」という病気を引き起こすことがある。

 砂場に潜む危険は細菌だけではない。イヌやネコの糞には寄生虫がいることがある。なかでも怖いのは、トキソカラという「寄生虫感染症」。イヌやネコに寄生する回虫だが、なんらかのきっかけでヒトの口から体内に入ると、肺や目などの臓器に移行し、さまざまな症状を引き起こす。

 日本国内でのトキソカラ感染症は年間十数例ほどしかなく、そう心配には及ばないかもしれないが、米国ではトキソカラ感染症による失明が年間約70例に達し、その多くは小児だという。

清潔すぎる環境がアレルギーを招くという説も

 一方で、子どもを砂場や不潔な環境から遠ざけることは、別の問題につながる可能性もある。「清潔すぎる環境に育った子どもは免疫の発達が弱く、アレルギー性疾患になりやすい」という研究報告もあるのだ。

 1994年にオーストラリアで国際小児喘息・アレルギー調査機関(ISAAC)が行った調査で、農村地帯ではアレルギーが少ないことがわかった。農家の子は農家以外の子と比べて、花粉症が3分の1、喘息は4分の1と極めて少なかった。

 さらに2004年、ミュンヘン大学などの研究グループが800人以上の子どもの生活環境を調べたところ、アレルギーでない子どもの部屋のほこりから、ある共通する成分が見つかった。

 それは、大腸菌などの細菌の死骸から放出される「エンドトキシン」という毒素だった。エンドトキシンの主な発生源は家畜の糞で、アレルギーのない子どもや家族は家畜小屋などで多く過ごしているため、日頃からエンドトキシンに晒されていたのだ。その刺激で免疫機能が発達したのではないかと研究者は報告している。

 上記のことを鑑みると、「感染症が怖いから」と、我が子を砂遊びから完全に遠ざけてしまうのも考えものかもしれない。

 もちろん、公園の砂場の清掃や覆いをかけるなどの対策は徹底してもらいたいものだし、砂場で遊んだ後はしっかり手を洗う、砂のついた手を口に入れさせないようにするといった親の配慮が重要であることは、言うまでもないだろう。
(文=編集部)

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