肥満対策、炭酸ジュースに課税で効果あり! 米フィラデルフィアで愛飲者が4割も低下

肥満対策、炭酸ジュースに課税で効果あり! 米フィラデルフィアで愛飲者が4割も低下

加糖飲料に「ソーダ税」を課すと肥満は減る?(depositphotos.com)

 「ソーダ税(Soda Tax)」――。その意味は言葉どおりだが、日本人にはまだ馴染みが薄い税の概念だろう。要は、砂糖や人工甘味料などが添加された炭酸ドリンクに代表される「加糖飲料」への課税がそう呼ばれている。

 肥満率で世界第1位のメキシコでは、2016年秋の「世界保健機関(WHO)」による課税強化の呼びかけに先立ち、2014年に導入された。「肥満の一因」ともされる加糖飲料の消費量減を目論んだこのソーダ税は、近年、世界的な趨勢の一つともいえるだろう。

 米国内で初めて導入したのはカリフォルニア州バークリー市だが、『American Journal of Preventive Medicine』(4月12日オンライン版)に、「導入2番目の都市」となるペンシルベニア州フィラデルフィア市のソーダ税の効果的な調査結果が掲載され耳目を集めている。

加糖飲料の「ソーダ税」に効果あり!

 フィラデルフィア市では2017年1月に件のソーダ税が導入されたが、追跡調査の結果は狙い通り、施行から2カ月以内に加糖飲料(甘い炭酸飲料やエナジードリンク)を日常的に摂取する愛飲層が明らかに減り、ミネラルウォーターなどのボトル入り飲料水への転向派が増えていた。

 導入されたソーダ税の具体的な内訳は、加糖飲料の価格に1オンス(約30ml)当たり1.5セント(円換算で+約1.6円)、12オンス(約360ml)仕様のボトルで18セント(+約19円)が上乗せされたことになる。

 知りたいのは課税対象飲料の範疇だが、前述の砂糖や人工甘味料が添加された炭酸ドリンクを筆頭に、フルーツジュースやエナジードリンクなどの甘い系、そしていわゆるダイエット飲料も含まれている。

ソーダ税の導入で愛飲者が40%も低下

 これらの加糖飲料の消費量が「ソーダ税の導入効果」によってどのように変化したか? それを探った今回の調査は、コンピュータが無作為に選んだ番号に電話をかけて回答を仰ぐ方法(ランダム・デジット・ダイヤリング:RDD)によって実施された。

 調査は、ソーダ税導入前の時期(2016年12月6〜13日)、そして導入後の時期(2017年1月15日〜2月31日)に、「@フィラデルフィア市民(899人)」と「Aソーダ税未導入である近隣3都市の市民(878人)」を対象に、それぞれ「日常的に加糖飲料を飲む頻度や量」などに関して問うた。

 集計結果は、ソーダ税導入から2カ月後までに、@のフィラデルフィア市民らが加糖飲料を口にした確率は、Aの未導入市民らに比べて「40%低い」との興味深い数値が現われた。

 さらに、近年なにかと話題を集めるエナジードリンクを日常的に愛飲している確率においても、@とAの市民比較上で前者が「64%低い」という傾向が判明した。

 それとは対照的な消費量の推移が読み取れた。それは同市民における(課税対象ではない)ボトル入り飲料水の愛飲者の割合だ。Aの3都市層に比べて「58%」も高い結果が得られたのである。これはそのまま「ソーダ税の導入効果」と踏んでいいのだろうか?

 調査を主導した米ドレクセル大学公衆衛生学のYichen Zhong氏は上記の結果を次のようにコメントしている。

 「(肥満対策として)正しい方向に進む第一歩とはいえる」としながらも、同税効果が「今後も長期間にわたって持続するものなのかどうか、2カ月以内の摂取量調査しかない現時点ではまだ判断できない」

 しかも、フィラデルフィア市のソーダ税に関しては「その税率自体が米国内の中でも非常に高く、加糖飲料の価格に課税分をすべて上乗せした場合は約20%の価格上昇につながる」とZhong氏は補足説明を加えている。

 参考までに、ソーダ税の先進国であるメキシコの場合は「税率が10%」、2015年に導入したバークリー市で1オンス当たり1セント(+約1.1円)とか。

 しかし、いずれの先行例でも、導入効果(加糖飲料の消費量減)が持続的推移を見せていることから、「価格上昇の影響」による消費者行動の変化は期待できる、と調査陣は示唆している。

 ところが、同調査結果の評価に関して、米テキサス大学サウスウェスタン臨床栄養学のLona Sandon氏の見解はかなり辛らつだ。

ソーダなしではいられない!?

 Sandon氏は「実際は、今回の課税に反発した市民らが、一時的に加糖飲料を買わなくなっただけなのではないのか。ソーダなしではいられないというような人々が再び買う可能性は、やはり否めない」と話す。

 そして「ソーダ税の導入自体、以前からそれほどソーダ類が好きではなかった人たちや、課税対象となる以前から『飲むのを控えよう』と思いかけていた層には有効かもしれない。

 だが、いわゆる『罪の税』とも称されるタバコ税や酒税(SIN TAX)と同様、人一倍のソーダ好きにも影響を与えるようにするためには、相応の税率引き上げが必要不可欠だろう」と分析する。

 最後に、肥満問題への意識や取り組みが世界比でまだまだ低い日本人にも必読の報告箇所を紹介しておけば、Zhong氏ら調査陣は下記のような解析をしている――。

 今回の調査結果を見ると、課税対象内でありながら「引き続き飲まれている商品群」もあった。それは、フレーバーティーの1ブランである「Snapple」や「Sunny Delight」などのフルーツ味のジュース類であった。

 その一方で、12オンスの缶入り「コーラ」や「ダイエットコーラ」が飲まれなくなってきた傾向も明らかになった。

 その点について調査陣は「前者の商品群(フルーツ味のジュース類)も含有する糖分量自体は炭酸ドリンクと変わらないが、フルーツ味のジュースの場合、『炭酸飲料よりは健康的だ』という一般的な誤解があるのではなかろうか」という見方をしている。

 そう、このての健康をめぐる「誤解あるある」に、国境はないのかもしれない。

 「ソーダ税? そんなの関係ないしぃ......」と言いつつ、フルーツ味の飲料選びに無頓着なアナタこそ、健康リスクの要注意対象者ですぞ。
(文=編集部)

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