頻尿・残尿感・尿漏れ・注目のノビレチンが男女問わず尿のトラブル改善に有効

頻尿・残尿感・尿漏れ・注目のノビレチンが男女問わず尿のトラブル改善に有効

フラボノイド「ノビレチン」は「尿のトラブル」の改善に有効(depositphotos.com)

 尿失禁や頻尿など排尿に関わるトラブルは、中高齢者に多い悩み。40代以上の男性の3人に1人、女性の5人に1人は排尿トラブルの自覚症状があるという。

 従来、排尿障害に効果があるとされるサプリメントは、すぐに数えられるほどの種類しかなかった。そこへ新たに登場し、注目されているのが、シークヮーサーなどの柑橘類に含まれるフラボノイド「ノビレチン」だ。

 最近の研究から、ノビレチンには「排尿障害の改善効果」があることが明らかになった。

 ノビレチン研究の第一人者、中部大学教授(応用生物学部)の禹済泰(ウ・ゼテ)教授に聞いた。

どんなタイプの排尿障害にも効果があった

 一口に「排尿障害」といっても、さまざまな原因や症状がある。男性には、前立腺肥大で尿管が圧迫され「トイレが近くなる」「尿が出にくい」「残尿感がある」といった悩みが多い。

 女性では、加齢に伴って骨盤底筋が弱ることで起こる「尿漏れ」の悩みが多い。急に「切迫した尿意」をもよおしたり、「頻尿」になったりする過活動膀胱は、男女ともに多い。

 「私たちはまず、前立腺肥大マウス、過活動膀胱マウスなど、さまざまな排尿障害のモデルとなるマウスを用意し、ノビレチンを投与して効果を調べました。その結果、どんなタイプのマウスでも排尿障害を改善する効果が認められました」

 「さらに興味深い点がありました。排尿障害のあるマウスは、普通、健康なマウスより運動量が減ります。おしっこが膀胱にたまっていたら運動どころではないのは、想像できますよね。ところが、ノビレチン投与のマウスは、よく動くようになるのです。このことから、尿をためる容量が増えるのではないかと推測しました」

 禹教授は動物実験の結果を踏まえ、琉球大学の照屋俊明教授と北上中央病院の菅谷院長と共同で、ヒトを対象にした試験を行った。頻尿や尿漏れなどの症状を自覚しているが、治療を受けていない男女50名にノビレチンを6週間摂取してもらい効果を聞いた。

 「被験者を2グループに分け、1グループには高純度のノビレチン粉末を1日300mg(ノビレチンを含むPMF100r)摂取してもらい、もう1グループにはそれと見分けのつかないプラセボ(偽薬)を摂取してもらいました」

 「効果の判定には、医療機関での診断にも使われている過活動膀胱スコア(OABBS)、国際前立腺症状スコア(IPSS)を用いました。その結果、症状が改善した(『やや有効』以上)の人が6割を占め、有効性が認められました」

 具体的には「日中の排尿回数」「夜間の排尿回数」「尿意の切迫感」といった各項目の改善が見られた。また、約1割の人はスコアが『著効』、約2割は『有効』で、偽薬を摂取したグループとは明確な差が生じた。

作用メカニズムも明らかになりつつある

 ノビレチンがなぜ排尿障害に有効なのか、詳しいしくみはまだわかっていない。禹教授たちは「膀胱の自律神経を整え、排尿に関わる筋肉を柔らかくし、尿をためる容量を大きくするのだろう」と考えているという。

 「排尿障害の治療薬は、副交感神経のムスカリン受容体に結合し、働きを抑制することで効果を発揮するものがあります。受容体にはいくつかタイプがありますが、M2やM3受容体に作用する薬は、口の渇きなどの副作用が現れます」

 「仮説ですが、ノビレチンにはそうした副作用が認められないので、M1受容体に作用するのではないかと考えています」

 さらに禹教授は、次のように話を続ける。

 「もう一つ、前立腺肥大に伴う排尿障害では、PDE(ホスホジエステラーゼ)という酵素を阻害することで効く薬があります。実はバイアグラなどED(勃起不全)の治療薬も、PDEをターゲットにした薬。もしかすると、そちらの効果も期待できるかもしれないと関心を持っているところです」

 なお、試験では1日3回、1回ノビレチンを含むシークヮーサー由来PMF100rを摂取したが、禹教授によれば1回50mgでも有効性が認められたという。

 排尿障害に悩んでいる人は多いが、投薬が必要な重度の患者を除いた軽〜中程度の症状の人は、恥ずかしいなどの理由から受診をためらう傾向があるという。日常の生活習慣で改善したいと考えている人は、ノビレチンに注目してみてはどうだろうか。
(取材・文=山本太郎)

禹済泰(ウ・ゼテ)
中部大学応用生物学部教授(琉球大学客員教授も兼任)、株式会社沖縄リサーチセンター代表取締役社長。1992年、東京農工大学・博士(農学)、2009年、東京医科大学(医学博士)、東京工業大学生命理工学部助手、米国ノースウェスタン大学医学部客員助教授を経て現職。

関連記事(外部サイト)