カビ取り剤の危険度を徹底検証!人体や環境にどんな悪影響を及ぼすのか?

カビ取り剤の危険度を徹底検証!人体や環境にどんな悪影響を及ぼすのか?

「カビ取り剤」の危険度を徹底検証(depositphotos.com)

 まだまだカビが気になる季節。

 カビは、環境中の「水分」と一定量の「栄養」があれば成長し、1円硬貨ほどの面積中にカビの胞子が約1000億個以上も存在しています。それを放置しておけば、胞子は周囲に飛散し、瞬く間にカビは拡大します。

 カビの胞子や菌糸は鼻粘膜や気管支などに定着しやすく、体内に侵入すればアレルゲンになります。アトピーや喘息など、様々な健康被害をもたらす原因になります。

浴室は最後に水のシャワーで冷やせば

 カビ対策の基本は「換気」です。特に天気の良い日の換気は屋内の湿度を下げることになり、最も有効なカビ予防対策となります。

 特にカビが発生しやすい浴室は、使用後も換気扇はしばらく回しておくことです。また、浴室の壁や天井や流しなどに、カビの栄養になる石鹸や、毛、垢(あか)などを残さないようにすることです。

 お湯のシャワーでよく流し、最後に水のシャワーで冷やすと、効果的なカビ予防になります。浴槽の水は常に抜いたほうがカビ予防には効果がありますが、大地震など非常用の水の確保のために、浴槽を洗った後は一杯に水を張っておいたほうが良いと思います。

「カビ取り剤」で健康被害を被っては本末転倒

 言うまでもなく、カビ予防対策の目的は、アレルギーなどの健康被害を防ぐことにあります。そして「カビ取り剤」は、カビ対策には確かに効果があります。しかし、それによって健康被害を被っては本末転倒です。

 カビ取り剤の中には、かなり危険な成分が使われているものがあります。小さな子どもがいる家庭ではそうした製品は「使用しない」「家庭に置かない」ようにしたいものです。

 そこで、特に浴室で使われる複数の防カビ製品の危険度を検証してみました。防カビ製品を選ぶときの参考にしてください(「生活用品の危険度調べました」郡司和夫:著、三才ブックス刊より)。

「カビ取り剤」3商品の危険度を徹底検証

●「ルックおふくろの防カビくん煙剤」ライオン

 製品容器に水を入れてから浴室の中央に置いて、煙が出たら浴室から出てドアを閉めるというものです。除菌成分の「銀イオン」の煙が、浴室内の黒カビを除菌するといいます。「次亜塩素酸塩」を使っていませんので、他の洗浄剤と混じって有毒な塩素ガスを発生する危険性はないので安心はできます。

 しかし、小さな字で書かれた注意書きを読むと、「煙を吸い込まないように注意する」とあります。これは当然のことで、同製品に配合されている非イオン系合成界面活性剤の「ソルビタン脂肪酸エステル」は、農薬としても利用されています。農薬を吸って体に良いわけがありません。

 農業・園芸総合研究所の資料によると、野菜類のハダニ類やアブラムシ類の防除剤(商品名:ムシラップ)の有効成分となっています。そして「薬害の恐れがあるので、他の薬剤との混合は避ける」と指摘されています。ですから、使用後は十分な換気が必要な製品と言えます。

●「ミラクリーン 防カビスプレー水廻り用」ハーバーベンソン

 カビ取り剤ではなく、カビを防ぐ目的の商品です。ミラカード(抗菌成分)は、ナノサイズの「ケイ素化合物」です。「皮膚への刺激なし」「ナノサイズなので素材に密着、効果が高い」とホームページで説明しています。塩素系防カビ剤のように、酸性の洗浄剤と併せて使って塩素ガスが発生する心配はないので、そうした面では安心できます。

 ただ、注意する点はあります。ケイ素は「国際化学物質安全性カード」によると、「短期暴露の影響として、眼、気道に機械的刺激を引き起こすことがある」と、指摘されています。また、吸入によって咳が出るともあります。さらに、抗菌成分のケイ素化合物はカビの胞子の数百分の1の大きさにナノサイズ化されていますが、「化学物質はナノサイズ化するほど毒性が強まる」(ハーバード大学,Prof Dockerys,1993年)という側面もあることを忘れてはいけません。

●「スクラビングバブル 防カビバスクリーナー」ジョンソン・エンド・ジョンソン

 汚れに直接スプレーして洗い流すタイプです。「カビキラーと共同開発した乳酸パワーで汚れとカビ胞子に直接作用」と商品説明しています。

 カビキラーは次亜塩素酸塩を主成分にした、ジョンソンの塩素系カビ取り剤です。カビキラーに代表される塩素系カビ取り剤は、1987年と1989年に死者まで出る重大事故が発生しました。原因は酸性洗浄剤と併用したことによる塩素ガス中毒です。

 ある50歳代の主婦は、入浴中に塩素系カビ取り剤と漂白剤を浴室のタイルにまき、風呂の湯をかけたところ、もうもうと白い煙が発生。その場で意識を失い5〜6時間も倒れていました。幸い命は取り留めましたが20日間も入院し、通院は1年以上にも及びました。

 その「カビキラーと共同開発」という意味がよく分かりませんが、次亜塩素酸塩に代わって乳酸を使っているのが同製品です。

 乳酸は大腸菌に対して強い殺菌力を持っていて、雑菌の増殖を防ぐ目的で食品にも広く利用されています。そのため、安全な化学物質と思われる人も少なくないはずです。

 しかし郡司篤孝・著『食品添加物読本』には「乳酸は腐食性毒物であり、ミルクに混ぜて飲用して中毒死した未熟児の例が報告されている。WHO(世界保健機関)では乳児用に添加することはよくないと警告している。ラットに1.5/s/日の乳酸を3か月間続けて投与すると、著しい体重減少と、ヘモグロビンと赤血球の減少がみられ、血液中の炭酸ガスが増加した、と報告されている」と指摘されています。

 また「ポリオキシエチレンアルキルエーテル(POER)」は、非イオン系合成界面活性剤で、「タンパク質変性作用を持つ。発がん性物質のジオキサンが混入する可能性あり」(『経皮毒データブック』より)と、指摘されています。さらに「ジプロピレングリコール系溶剤(DPG)」は湿潤剤・保湿剤で、「消化管吸収により心・腎・肺に機能障害を起こす可能性あり。溶血作用あり。染色体の減少や赤血球の減少の報告」(前掲書)との指摘があります。

 以上、防カビ剤は、細菌やカビを殺したり増殖を抑える目的で開発されたもので、人に有益な菌にも大きな影響を与えます。それが人の健康や環境にどんな悪影響を及ぼすのか心配されます。
(文=郡司和夫)

シリーズ「子どもには絶対に使ってはいけない生活用品」バックナンバー

郡司和夫(ぐんじ・かずお)

フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法政大学卒。食品汚染、環境問題の一線に立ち、雑誌の特集記事を中心に執筆活動を行っている。主な著書に『「赤ちゃん」が危ない』(情報センター出版局)、『食品のカラクリ』(宝島社)、『これを食べてはいけない』(三笠書房)、『生活用品の危険度調べました』(三才ブックス)、『シックハウス症候群』(東洋経済新報社)、『体をこわす添加物から身を守る本』(三笠書房・知的生き方文庫)など多数。

郡司和夫(ぐんじ・かずお)
フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法政大学卒。食品汚染、環境問題の一線に立ち、雑誌の特集記事を中心に執筆活動を行っている。主な著書に『「赤ちゃん」が危ない』(情報センター出版局)、『食品のカラクリ』(宝島社)、『これを食べてはいけない』(三笠書房)、『生活用品の危険度調べました』(三才ブックス)、『シックハウス症候群』(東洋経済新報社)、『体をこわす添加物から身を守る本』(三笠書房・知的生き方文庫)など多数。

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