AI診断プログラムをFDAが初めて承認! 画像から「糖尿病性網膜症」を判定

AI診断プログラムをFDAが初めて承認! 画像から「糖尿病性網膜症」を判定

糖尿病網膜症は高血糖が網膜内の血管を傷つけ視力の喪失を引き起こす糖尿病の合併症(depositphotos.com)

 AI(人工知能)がソフトウエアのイノベーションを、また一歩進化させる出来事が起きている。

 4月11日、米国食品医薬品局(FDA)は「AI診断プログラム」を初めて承認した。このプログラムは、眼底カメラで撮影した画像を解析し、糖尿病性網膜症の発症を判断する診断装置「IDx-DR」だ。

 今年2月、FDAは、IDx-DRをBreakthrough Device(画期的医療機器)に指定し、優先的に審査を進めてきた。FDAが「IDx-DR」を開発したアイディーエックス(IDx)社の販売権を初認可したのは、実に画期的な「事件」と論議を呼んでいる。

 糖尿病網膜症は、高血糖が網膜内の血管を傷つけ、視力の喪失を引き起こす糖尿病の合併症だ。眼科医以外では発見されにくく、内科医が眼科の受診を勧めても受診せずに悪化するケースが少なくない。米国の3000万人に影響があるとされる。

FDAが認可した初のケース

 このプログラムは、トプコンが販売する無散瞳眼底カメラ「NW400」で撮影した画像をAIアルゴリズムが分析し、医師が画像をクラウド・サーバーに左右2枚ずつアップロードするだけで、陽性か陰性かを1分以内に迅速に判定できるシステムだ。

 対象は糖尿病性網膜症と診断されていない22歳以上の軽度糖尿病性網膜症患者。レーザー治療や眼の外科手術や注射を行っている患者や妊娠中の患者は対象外だ。2017年に糖尿病患者900人を対象にした治験では、感度(陽性率)87%、特異度(陰性率)90%の高精度が確認されている。

 FDAは、AIを使用したデジタルヘルス製品をすでに認可しているが、今回のプログラムは、医師が画像や結果を解釈しなくても検査結果を出すことをFDAが認可した初のケースとなった。

 FDAのスコット・ゴットリーブ局長は「FDAはイノベーションを日々促進しつつ、AIに基づく医療機器の使用をアシストし、医療改革に努めている」と強調している。

 ちなみに、2010年に設立されたベンチャーのIDx社は、眼底撮影や光干渉断層撮影(OCT)の画像に基づいた疾患を検出するアルゴリズムを開発し、米IBM社などと販売提携を結んでいる。

 現在、糖尿病性網膜症の診断プログラムの他、緑内障、加齢黄斑変性、アルツハイマー病、心血管病、脳卒中のリスクを検出するソフトウエアの開発にも取り組んでいる。

ますます加速するFDAのデジタルヘルス・イノベーション

 FDAのゴットリーブ局長のメッセージを聞くまでもなく、FDAがデジタルヘルス・イノベーションという台風の目になっているのは、誰の目にも明らかだ。特に昨年(2017年)からの加速は目まぐるしい。

 たとえば、FDAの「Pre-Certパイロットプログラム」だ。このプログラムは、デジタル技術を用いたイノベーションを適切に評価し、医療用ソフトウエアの承認プロセスをスピーディに進めるために、FDAが2017年7月に立ち上げた「事前認定プログラム」だ。

 プログラムは、医療用ソフトウエアの有効性や安全性をめざす企業のソフトウエアの設計、メンテナンス、品質管理の承認プロセスを事前に審査する。FDAの基準を満たす企業を認定できるため、審査が効率化し、イノベーションを適切に臨床現場に届ける狙いがある。

 プログラムへの参加を認定されたのは、Apple社、Fitbit社、Johnson & Johnson社をはじめ、Pear Therapeutics社、Phosphorus社、Tidepool社、Verily社、スイスRoche社、韓国Samsung Electronics社の9社。

 日本では2014年末に医薬品医療機器等法(薬機法)が施行され、スマートフォンアプリなどのソフトウエアが医療機器として承認され、保険収載されているアプリもある。

 厚労省やPMDA(医薬品医療機器総合機構)は、FDAの動向を見据えながら、デジタルヘルス分野の承認プロセスに新たな施策を打ち出す可能性が高い。
 
 冒頭に紹介した「AI診断プログラムの初承認」。それは、ビッグデータ、AI創薬、IoT、ウェアラブル、センシング、診断支援などのデジタルヘルスウエアのイノベーションを迅速化したいFDAの力強いアクションの一つに過ぎない。AIは、どこまで進化するのだろう?
(文=佐藤博)

*参考:日経デジタルヘルス2017年12月13日
http://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/word/15/327920/121100037/?ST=health

佐藤博(さとう・ひろし)
大阪生まれ・育ちのジャーナリスト、プランナー、コピーライター、ルポライター、コラムニスト、翻訳者。同志社大学法学部法律学科卒業後、広告エージェンシー、広告企画プロダクションに勤務。1983年にダジュール・コーポレーションを設立。マーケティング・広告・出版・編集・広報に軸足をおき、起業家、経営者、各界の著名人、市井の市民をインタビューしながら、全国で取材活動中。医療従事者、セラピストなどの取材、エビデンスに基づいたデータ・学術論文の調査・研究・翻訳にも積極的に携わっている。

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