高校野球で熱中症対策が新たな風物詩に〜甲子園観戦で搬送者続出

高校野球で熱中症対策が新たな風物詩に〜甲子園観戦で搬送者続出

熱中症対策が新たな風物詩?

 8月5日、甲子園球場(兵庫・西宮市)で全国高校野球選手権大会が開幕した。今年は記念すべき第100回大会、開会式には史上最多の56校が出揃い、晴れの入場行進に臨んだ。

 今夏の「異変」を何よりも象徴していたのが、選手陣やプラカードを持つ生徒らの手に握られたペットボトルだろう。中身はもちろん、異常な酷暑下での熱中対策用ドリンクである。

 全56校が内野に整列するまでに凡そ25分間を要した。頃合いを計って司会者が「熱中症予防のための給水をとります」とアナウンスし、30秒程の補給場面がグラウンド内で繰り広げられた。

 開幕前日の4日、日本高野連は来場校の応援団や観客層に配慮した熱中対策も発表していた。一例が、三塁側アルプススタンドに霧状水を噴出する散水機を3台ずつ設置。球場内外にも大型扇風機やミスト扇風機を多数用意するというものだった。

 一方、この死者・搬送者続出の酷暑下、真昼の熱闘/死闘を余儀なくされる球児たちのことを全国の医師陣は、専門家の立場からどう視ているのか。興味ぶかい調査報告が公表されたので紹介してみよう。

 「全国高校野球選手権大会(甲子園)は例年どおり開催すべきだと思いますか?」

 そんな直球の質問に約3000人の医師たちが本音の回答を寄せ、凡そ6割(58.8%)を占めた最多見解が「特別な熱中症対策の条件付きで開催すべき」というものだった。

医師たちは「客席」を憂慮した

 これは10万人以上(=国内医師の3分の1に相当)が参加する医師専用コミュニティサイト「MedPeer」(運営:メドピア株式会社)が、会員医師を対象に行なったアンケートの結果である。

 調査期間は開幕目前の7月31日。上記の質問に対し、まずは4択の見解を選ばせた。

 @このまま例年どおり開催すべき
 A特別な熱中症対策等の条件付きで開催すべき
 B開催すべきでない
 Cその他

 前述のように最多はAへの賛同陣で、計1763件に及ぶ回答コメントから代表的意見を抜粋してみると、

 ●地方大会ですが、試合観戦にいっていて倒れた方を2人診ました。やはり、適切ではありません。精神論ではいけません。開始時間を早める、12時から午後4時ぐらいは行なわない、などの対策が必要です。(60代/一般内科/開業医)

 ●選手は暑さになれているかもしれないが、一般の観客は暑い中で応援していると倒れる人が大勢でるのではないか。選手はもちろん、観客にも熱中症対策をしっかり呼びかけないと開催が危ぶまれる。(60代/一般内科/勤務医)

 これらA派に続いて多かったのが、@の「このまま例年どおり開催すべき」派(17.3%)だったが、彼ら強行派の医師陣にしても憂慮すべきは観客サイドという点では見解が一致した。

 ●野球は投手、捕手、審判以外は休息ができるので比較的対策は立てやすいですが、観客はケアしてもらわなくてはなりません。 (50代/整形外科・スポーツ医学/開業医)

すでに熱中症や日射病で救護・搬送者が

 そして、こうした専門家たちの事前の杞憂が開幕当日、(高野連の用意周到さに反して)現実の数値となって具現化された。

 大会本部によれば5日、球場内の救護室には計47名が訪れ、内訳は<選手0名/観客32名/その他15人>。うち病院搬送組が5件、32名が熱中症や日射病を疑われた。

 一方、自らネットで16日間通し観戦が出来る「前売り通し券」(4万4800円也!)を事前購入。いざ甲子園球場に足を運んだ結果、想定外の地獄ぶり(=盲点)を痛感したのがタレントの伊集院光氏だ。

危険!? 甲子園から出られない「前売り通し券」

 彼が自身のラジオ番組で明かしたところによれば「いちばん確実に座れる席」を確保できる件の通し券、その日入場すると「(途中で帰る以外は)いっさい甲子園から出ることができない」条件付きだったとか......。

 つまり、第1試合のあと、次の観戦希望が第4試合だったとしても「外出不可」。なので第2・第3試合中も球場内に「缶詰め状態」を強いられるという理不尽さなのだ。

 さらに中座した人の空席分が出ようが表のチケット売り場では「入場券はありません」という皮肉な有り様。改善を呼びかける伊集院氏、曰く「予想どおりのマイナス面がすごい出ている」。

 ロックフェスのリストバンド方式に習うとか、いくらでも観客対策は考えられるだろうに......「偉い人の挨拶、計ったら5分19秒だった。いらないって」とは、前出・伊集院氏が開会式に寄せた苦言である。これが一番の酷暑対策かもしれない。
(文=編集部)

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