津川雅彦さん、心不全のため78歳で逝く! 麻雀『アカギ』で偲ぶ圧倒的な怪演

津川雅彦さん、心不全のため78歳で逝く! 麻雀『アカギ』で偲ぶ圧倒的な怪演

ドラマ『アカギ』公式サイトより

 8月4日、『葵 徳川三代』『マルサの女』などの名演・怪演で人気を博した津川雅彦(加藤雅彦)さんが心不全のため、死去した。享年78。

 俳優として、監督として、演出家として関わった多くの作品の中で、記憶に残しておきたい怪演がある。テレビドラマ版『アカギ』での鷲巣巌役だ。

 津川さんは妻で女優の朝丘雪路さんを今年4月27日に亡くしたばかり。長女の真由子さんらに見守られながら静かに旅立った。

 その足跡を振り返ると、1956年、映画『狂った果実』で主演・石原裕次郎に反抗する純真な弟役を熱演、16歳のスターデビュー。必殺シリーズの悪役を経て、1982年に『マノン』で第24回ブルーリボン賞助演男優賞を受賞。

 80年代以降は、『マルサの女』(1987年)『あげまん』(1990年)『ミンボーの女』(1992年)など、伊丹十三監督の妻で女優の宮本信子さんと共演、男らしい気炎を吐いた。

 NHK大河ドラマ『葵 徳川三代』の老獪な家康役を皮切りに、『澪つくし』『サラリーマン金太郎』『黒革の手帖』などの名作に次々と出演。マキノ雅彦の監督名で映画『寝ずの番』(2006年)の初メガホン。

 続いて『次郎長三国志』『旭山動物園物語』の注目作を完成。舞台『男の花道』も脚光を浴び、2014年春に旭日小綬章を受章。デヴィ・スカルノ夫人と浮名を流しつつ、政界保守系の論客としても知られた文化人でもあった。

「死は自分の意思ではどうにもならない。今はもう、死は怖くはありません」

 芸能人の家系に生まれ、俳優としての俊才を惜しげもなく受け継いだ津川さん。父・沢村国太郎、叔父・加東大介、叔母・沢村貞子、兄・長門裕之。母方の祖父が日本映画の父・牧野省三、叔父が娯楽映画の巨匠・マキノ雅弘。その優駿なるDNAは、男優、監督、演出家の花道を押し開いた。

 5月20日、4月に亡くなった「妻・朝丘さんの追悼記者会見」に臨んだが、前年秋に肺炎を患った影響で酸素吸入器のチューブを鼻につけた状態だった。6月7日(死の58日前)、テレビ朝日系「徹子の部屋」の出演が最後のメディア出演となった。

 報道によれば、肺気胸、心筋梗塞、糖尿病、肺炎、高血圧を抱えつつも、晩年を気丈に生きた。京都人らしい意気軒昂な気質、はんなりした気品を醸し出す才人だった。
 
 週刊朝日の取材では、「死は自分の意思ではどうにもならない。今はもう、死は怖くはありません」(週刊朝日オンライン2018年8月8日)と語っている。
(https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180808-00000015-sasahi-ent&p=1)。

  自らの命とやがて訪れる死と向き合うこうした言葉から想起される、津川さんの意外に知られていないひとつの快演、怪演がある。

麻雀ドラマ史上に残る圧倒的な津川さんの演技力

 コミック『アカギ』(竹書房)を原作としたドラマ『アカギ』(放送はBSスカパー!で2015年7月17日から9月18日)での鷲巣巌役の演技だ。

 原作中のクライマックス「鷲巣麻雀」編とは、主人公の天才雀士アカギと巨万の富を築きあげた裏社会の帝王鷲巣が命をかけた賭け麻雀するというもの。

 負けた分の支払いは、現金か自らの血液。津川さん演じる鷲巣は、この「鷲巣麻雀」で多くの若者から致死量の血液を抜き取り葬り去ってきた。

 圧倒的な財産を背景に、王の麻雀を打ち続ける鷲巣が、次第に支払う現金が底をつき始め、自らの血液を抜かれていく。

 死の恐怖と闘いながら、底知れないプライドとこれまで揺らぐことのなかった絶対的自信が勝負の進行とともに蝕まれていく。その狂気の演技は、完全に原作レベルを超え幻想的とさえいえるほどのものだった。津川さん以外に演じ切れるものなどいなかった。決して忘れない。

 津川雅彦さんのご冥福をお祈りしたい。合掌。
(文=編集部)

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