道端アンジェリカ「完全母乳で育てたい!」に議論沸騰! 母乳育児のメリットとは?

道端アンジェリカ「完全母乳で育てたい!」に議論沸騰! 母乳育児のメリットとは?

画像は道端アンジェリカさんのInstagramより

 8月1日〜7日は世界母乳育児週間だった。母乳栄養(母乳育児)といえば、雑誌『S Cawaii!』などで活躍中のファッションモデル、道端アンジェリカさんの話題が注目されている。

 道端アンジェリカさんは、咋年12月に結婚し今年7月14日に男児を出産したばかり。8月5日付の彼女のInstagram(フォロアー:33万4900人)を見ると、母親らしい穏やかな表情で母乳を与えているショットが公開されている。

 暑いさなかの出産と、アンジェリカさんは苦労したが、母乳には赤ちゃんを病気から守る栄養素と免疫効果があるだけでなく、赤ちゃんとの繋がりをより深めてくれると話し、完全母乳を目指しているという。

 だが、インスタグラムのコメント欄ではフォロワーの様々なコメントが寄せられている。

完全母乳は、生後1カ月で51.3%、生後3カ月で54.7%

 かたや「ステキな考え方! 母乳育児頑張りたい」「完全母乳は子への愛が伝わる」「飲んでる姿が可愛い」などと手放しの絶賛が高いが、「どこにも母乳が素晴らしい、ミルクは劣るとは書いていない」「影響力のある人、メディアに出てる人の発信で傷つく人がいることを忘れないでほしい」「母乳の出が悪く、悩んでるお母さんも沢山いることを知ってほしい」「母乳を広めなくていい、誰でもできるなら母乳で育てたいはずだから」などと喧々諤々の状態だ。

 議論は議論、意見は意見だが、母乳栄養(母乳育児)の現状を直視する冷静さが必要かもしれない。

 母乳栄養(母乳育児)のデータがある(厚労省2015年度乳幼児栄養調査)。それによれば、授乳期に母乳だけで育てた母親は生後1カ月と3カ月で、ともに調査開始以来初めて5割を超えた。粉ミルクと両方を与えた母親を含むと8〜9割に上り、厚労省は「母乳育児を推進する普及啓発の成果」と分析している。

 調査は1985年度から10年ごとに実施。今回は2015年9月、5月末時点で6歳未満の子供がいる世帯を対象に3871人の母親の有効回答を得た。その結果、母乳だけで育てた母親は、2015年度は生後1カ月が51.3%、生後3カ月が54.7%。前回調査(2005年)の42.4%と38.0%を上回った。

 一方、粉ミルクと両方で育てた母親を含むめば、生後1カ月は96.5%、生後3カ月は89.8%と高い。

 授乳についての悩みは、「母乳が足りているか分からない」が40.7%、「母乳が不足気味」が20.4%、「授乳が負担」が20.0%だった。

母乳栄養(母乳育児)のメリットは何か?

 このようなデータを見る限り、母乳栄養(母乳育児)の明白な事実が浮上する――。

 母乳は、乳児の健康に最良の栄養源だ。米国小児科学会(AAP)をはじめ、多くの政府機関、国際機関、学会が母乳栄養(母乳育児)を推奨し、厚労省の「健やか親子21」も母乳栄養(母乳育児)の定着を目標に掲げている。では、母乳栄養(母乳育児)のメリットは何か?

 妊娠後半の6か月間にプロゲステロン、エストロゲン、卵胞刺激ホルモン (FSH)、黄体形成ホルモン (LH)、プロラクチン、オキシトシン、ヒト胎盤性ラクトゲン (HPL)など、乳腺の成長を促すホルモンが妊婦の乳房に分泌される。

 妊娠5〜6か月頃になると、乳房は乳汁を生成し始め、出産間近に黄色を帯びた初乳(コロストルム、コロストラム)を分泌する。新生児が最初に飲む初乳は、母親由来の抗体を多く含むため、新生児の免疫系が発達するまで感染防御に役立つ。

 また初乳は、免疫力を高める作用が強い核酸類やタンパク質の含有量が高く、脂質と糖質が少ない。乳汁成分の成熟は、新生児が乳首を吸う刺激によって高まり、出産後3〜4日後に脂質と糖質が増加する。初乳が出た後は、乳汁は、新生児が母乳を欲しがる頻度と量によってコントロールされる。

 このような母乳の生理的機序が母乳栄養(母乳育児)の絶大なアドバンテージ(有用性)を生んでいるのだ。

 母乳栄養(母乳育児)の利点は、第1に新生児が母体から栄養素と抗体を得られること、第2に授乳が母子の心理的な絆を強めること、第3に母乳栄養(母乳育児)がビフィズス菌などの正常な腸内細菌叢(フローラ)を早期に形成するため、免疫力の強化と下痢の防止に役立つことに尽きるだろう。

 ほかにもある――。2007年の世界がん研究基金とアメリカがん研究協会の報告によれば、6か月以上の母乳栄養(母乳育児)は、新生児の肥満やがんの発症リスクを抑制するとしている。

 また、米国小児科学会や厚労省によれば、母乳栄養(母乳育児)は、非母乳よりも乳幼児突然死症候群 、糖尿病、消化器炎、気管支喘息、アレルギー、尿路感染症などの発症リスクが有意に低い。

 そして新生児は、いつでもどこでも体温にあたためられた母乳が飲め、乳首を吸うので、脳、歯、発音器官が発達するなど健康上の利点が多い。

 さらに付け加えれば、母乳栄養(母乳育児)は幸せホルモンのオキシトシンを増加させるため、気分を落ち着かせつつ子宮の回復を促し、出血を抑える。母乳を生成する脂肪が消費されるので、ダイエット効果もある。

 頻繁に授乳すれば、排卵や月経の再開が遅れるため妊娠しにくなり、鉄分の回復を早める。出産後の骨の再石灰化が進み、卵巣がん、乳がんの発症リスクが減少するなど母親の利点も少なくない。

辛い試練を乗り越えた母親ほど母乳栄養(母乳育児)のミラクルを実感

 いかがだろう。経膣分娩(自然分娩)で産まれ、母乳栄養(母乳育児)で育った新生児ほど、免疫力が強く、健やかに成長する生物的・生理的根拠がある。母子の絆もパートナーの愛情も深める母乳栄養(母乳育児)の奇跡。母乳栄養(母乳育児)は、人知を超えたミラクルなエナジーに満ち満ちているのだ。

 確かに母乳栄養(母乳育児)が困難な場合はありうる。新生児が乳房から母乳を飲めない、初期の不慣れで授乳できない、新生児が必要とするだけのカロリーを母乳で与えられない場合だ。出産時に子供と離され過ぎたり、乳腺のトラブルがあったり、多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS)などの疾患が原因のケースもある。

 だが、不足分を他の母親の母乳や粉ミルクで補いながら、母乳哺育補助システム(SNS) と呼ぶ補助具を乳房に貼り、母乳の不足分を補う方法もある。

 このような辛い試練やつまづきを乗り越えた母親ほど、母乳栄養(母乳育児)のミラクルをひしひしと実感できるに違いない。
(文=編集部)

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