中日・東京両新聞、貧困連載記事の「ねつ造」で謝罪 「原稿よくするため想像で書いた」

中日・東京両新聞、貧困連載記事の「ねつ造」で謝罪 「原稿よくするため想像で書いた」

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中日新聞社(名古屋市)は、中日新聞と東京新聞に掲載した「新貧乏物語」の連載記事に、事実とは異なる記述などがあったとして、両紙の2016年10月12日付朝刊に「おわび」を掲載した。インターネットに掲載していた当該記事も削除した。

「新貧乏物語」は2016年1月に始まった連載企画で、第1部の奨学金をめぐる貧困や第2部の高齢者、第3部では非正規雇用者らの貧困に着目。問題となった記事は、その第4部「子どもたちのSOS」の3回目で、父親の突然の病気で教材費も払えないほど厳しい暮らしに陥った女子中学生を取り上げ、5月19日付朝刊で報じられた。

事実と異なる取材メモを作成

問題となった記事は、取材した家族から2016年8月末に指摘があり、女子中学生の家族や記者本人の聞き取りなどの社内調査を進めたところ、わかった。

中日新聞編集局によると、事実と異なる記述があった個所は、「教材費や部活の合宿代が払えない」とした部分など3か所あったという。

記事には、5人暮らしの家族がおととし7月に父親の病気で会社を解雇。月収35万円ほどの収入が3分の1に減って、食費にも事欠く貧困状態に陥った。そうした中で、長女の中学生は「絵具 800円」や「彫刻刀 800円」の教材費も両親に「払ってよ」と言い出せず、また部活の合宿代1万円が払えずに「みんなと同じ旅館に泊まるのをあきらめて、近くにある親類の家から練習に参加したこともある」などと、記されている。

事実と異なる記述はこの2か所のほか、もう1か所あるが、「(取材先の)プライバシーの問題もあり、詳しいことはお話しできません」と、中日新聞社名古屋本社の平田浩二編集局次長はJ-CASTニュースの取材に答えた。

2016年10月12日付の中日新聞朝刊の「おわび」には、原因は「取材班の一人が事実と異なる取材メモを作成し、それを基に原稿を書いたこと」とある。「連載記事の取材班は複数の記者が携わり、入れ替わりで取材するようにしているが、原稿は1本ずつ、一人の記者が書いています」と説明。相互チェックが働かなかったとしている。

記事を書いた記者は、「原稿をよくするために想像して書いてしまった」と話しており、ねつ造を認めている。

5月17日付の中日新聞に掲載した第4部「子どもたちのSOS」の1回目、「しぼむ未来 10歳 パンを売り歩く」の少年の後ろ姿の写真も、同じ記者が実際とは異なる場所でカメラマンに撮影させていた。インターネットに掲載していた記事の写真は削除されている。

また、同じ記事は6月19日付の東京新聞にも掲載しているが、写真は画像処理を施した別の写真が使われている。

通年の連載企画、打ち切りは考えていない

ねつ造記事に、中日新聞社の臼田信行・取締役名古屋本社編集局長は「記者が事実と異なることを自ら知りながら書いたことは到底許されません。深くおわび申し上げます。今回の事態を極めて重く受け止めています。この記者をはじめ社内の関係者を厳正に処分するとともに、記者教育に一層力を入れていきます」とのコメントを、2016年10月12日付の中日新聞と東京新聞の朝刊にそれぞれ掲載した。

記事を書いた記者を含む関係者の処分は、「現時点では、まだ決定していません。引き続き、調査を進めています」(平田編集局次長)という。

ただ、「今回の連載記事はすべてチェックしましたが、他には問題はありませんでした。『新貧乏物語』の連載は通年で進めており、企画を打ち切りは考えていません」と話している。