東大教授が結論付けた「頭の良さ」の意外な正体とは

東大教授が結論付けた「頭の良さ」の意外な正体とは

東大教授が結論付けた「頭の良さ」の意外な正体とは(*画像はイメージです)

現代は変化の激しい時代だ。大量の情報が流通し、これまで常識とされてきたことが常識ではなくなる。それは、コロナ禍に揺れたこの1年間を見ただけでも感じ取れるだろう。「ニューノーマル」という言葉に象徴されるように、生活様式は大きく変わってしまった。

では、こうした時代を私たちはどう乗り切ればいいのか。あふれる情報の中でどのように自分なりの判断をくだし、舵を取っていけばいいのか。
独学で東大教授への道を切り拓いた柳川範之氏は『東大教授が教える知的に考える技術』(草思社刊)で、この時代に必要なのは、ただ情報をかき集めるのではなく、自分なりの発想や自分なりの考え方を組み立てて、情報を処理することだと述べる。

「情報を処理する」――それはただ情報を鵜呑みにせずに、自分なりに情報をとらえて考えるということだ。

■「正解」を追い求めてしまう日本人

柳川氏は日本人の思考の悪癖について指摘する。それは「正しさの基準」を外に求めてしまうことだ。先進国が示すお手本を追い求め、それを判断基準とする。判断基準を自分の内ではなく外に委ねていれば、自分なりに考える意識は低くなっていく。

しかし、判断に「正解」は存在しない。あるケースでは正しかったとしても、別のケースでは正しくないかもしれない。大切なことは「正解」を探すことではなく、自分なりにきちんと考え抜いて、良い解決策を導き出すということだ。これは仕事においても、私生活においても同じである。

この考える力がないと、大量の情報に流され続けることになる。言われている「正解」だけを追い求めていると、新しい価値に気づけず、突発的なトラブルや変化にも対応できなくなってしまう。

■知的に考えるためには「調理道具」を揃える

では、自分で考えて判断する力を養うにはどうすればいいのか。それには、「調理道具を揃えること」が大切だと柳川氏は言う。

料理の場合、材料だけあっても道具がなければ調理をすることはできない。それは情報も同じ。まずは情報だけを集めるのではなく、その前に少し手間暇をかけて「考えるための土台」を作っておく必要がある。その「考えるための土台」が「調理道具」ということだ。

では、「考えるための土台」をつくるために具体的に何をすればいいのか。

まず必要なことは「発想を変えること」。情報はそのままでは役に立たないため、調理が必要だ。情報を丸呑みするのではなく、頭の中で加工してこそ力になる。この発想を持つことが一番大事な道具だと柳川氏は述べる。つまり、情報に接する際の考え方のクセを変えるということだろう。

続いて必要なことは「ものごとを抽象化して構造をとらえるクセをつけること」
接した情報をそのまま受け取るのではなく、自分なりに解釈する。

そこで使えるのが「抽象化して構造をとらえる」という接し方だ。
例えば、歴史上の偉人の決断や行動のエピソードに接したときに、そこから「政治とはどういうものか」「組織のトップとはどうあるべきか」という抽象的な理解に置き換える。そうすると、歴史が単なるエピソードにとどまらなくなり、自分が直面している課題や会社の問題を解決するヒントを与えてくれるものになる可能性がある。

抽象化と構造化は比較的難しいため、すぐにできなくても構わない、と柳川氏。ただ、そういう風に考えるクセを付けていくことが大事なのだ。また、抽象化して考えるクセ付けをするための3つのステップがある。

(1)幹をつかむ
これは、「一言で簡単に言い表してみる」こと。例えば誰かのブログを見たときに、どんなところが面白いと思ったのか、周囲の人に一言で伝えてみる。一言にまとめるには、情報の幹をつかむことが必要だ。これが抽象化への第一歩となる。

(2)共通点を探す
異なるものから共通点を見出す。例えば、「今、食べている料理と使っているカバンには『赤色』の共通点がある」というように、何でもいいから共通点を探すクセ付けをする。これができれば、異なったジャンルの情報から解決策を得たりすることができるようになる。

(3)相違点を探す
「共通点を探す」とは逆の頭の使い方で、似たものに違う点を見つけ出すというものだ。例えば不祥事のニュースを連続して見たとき、「似たような不祥事か」と思うのではなく、違う点を探してみる。「似ている」と思って流さずに相違点を探し、なぜ違う点があるので同じような不祥事が起きるのかを想像してみる。

このようにして思考を広げていくことで、抽象化して考えるクセがついていく。
そして、「考えるための土台」が頭の中の情報処理を根本から変えていくのだ。
実は、「頭の良さ」とは、頭の使い方を意識的に練習していくことによって身につく「習慣」なのである。

変化が激しく、常に考えなければいけない「ニューノーマル」の時代の中で、どう頭の使い方を変えていけばいいのか。本書では情報との向き合い方、考え方を伝授しながら、その情報をいかに知性に変えていくかというところまでを説明している。

大切なことは自分なりの判断ができるようになること。それには本書であげられている考え方のクセを身につけることが大切だ。豊かな発想力を身につけるためにも一読しておきたい一冊である。

(新刊JP編集部)

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