ふっかちゃんに「お小遣い」渡してる...? 深谷にある「渋沢栄一レリーフ」に反響→市にデザインの意図を聞いた
2021年07月15日 17時00分Jタウンネット

ふっかちゃんに「お小遣い」渡してる...? 深谷にある「渋沢栄一レリーフ」に反響→市にデザインの意図を聞いたの画像
2024年に発行される新一万円札の肖像となる、渋沢栄一。
日本初の銀行である第一国立銀行(現在のみずほ銀行)をはじめ、およそ500社もの会社を設立するなど、近代日本経済の父とも呼ばれる偉人だ。
21年2月からは彼の人生を描いたNHK大河ドラマ「青天を衝け」が放送され、出身地である埼玉県深谷市には「渋沢栄一 青天を衝け 深谷大河ドラマ館(以下、大河ドラマ館)」も開設されている。
今回、その大河ドラマ館の前に設置されたとあるレリーフがユニークだと、ツイッターで話題になっている。それが、こちらだ。
青い背景のレリーフには、右側に渋沢栄一のデフォルメキャラがおり、その右手には彼の肖像画が印刷された紙幣。
左側には深谷市イメージキャラクターの「ふっかちゃん」。ふたりの上ではお札が白い紙に、そして白いハトへと変わって空へ飛んでいく様子が表現されている。
ただ、二人の立ち位置や札束の持ち方、ふっかちゃんの体勢などから、渋沢栄一がふっかちゃんにお金を渡しているようにも見えてしまった人も多く、ツイッター上では、
「ふっかちゃんが買収されてる(笑)」「マスコットとしての契約金かな?」「それもまた経済のひとつの仕組み」
と言った声が寄せられている。
話題になっているのは、モデルでライターの加治まや(@maya_kaji)さんが2021年7月10日に投稿した写真。Jタウンネット記者は14日、本人と深谷市に取材した。
■渋沢栄一アンドロイドもいる
加治さんが件のレリーフの写真を撮影したのは7月10日、大河ドラマ館の前でのこと。
「10日に、私が企画を担当した『渋沢栄一の故郷「深谷」を巡る日帰り歴探旅』というイベントの引率をしていました。そのイベント終了後、まだ訪れていなかった大河ドラマ館へ個人的に向かい、車を止めて駐車場からドラマ館への道すがらこちらの看板を発見し、連れと大爆笑してその感想をそのままツイートしたという経緯です」(加治さん)
加治さんが企画したイベントは、深谷市にある渋沢栄一の生家「中の家」や、彼の従兄で学問の師でもあった尾高惇忠の生家、渋沢栄一の旧邸跡に建つ「渋沢記念館」を巡るというもの。
「中の家」では80歳ごろの姿をイメージして制作された「渋沢栄一アンドロイド(和装姿)」がプレ公開(21年2月13日~12月26日)されており、記念館の講義室では洋装のアンドロイドから、彼が語った「道徳経済合一説」を現代風にアレンジした講義を受けることができる。
渋沢栄一をリスペクトしているという加治さんは、この日どちらのアンドロイドにも会い、「予想よりもずっと感動する」と呟いている。
このように、深谷市では新一万円札の顔である渋沢栄一について、その功績や考え方を周知するために、様々な取り組みを行っている。
では、大河ドラマ館前のレリーフは、どんな意図でデザインされたものなのだろう。
Jタウンネット記者は深谷市の渋沢栄一政策推進課・課長補佐である田部井真一郎さんにも話を聞いた。
■「お金を渡している」という見方も「それはそれでアリ」
田部井さんによると、このレリーフは21年2月に設置された。
「大河ドラマ館の開設にあたって、何か一つフォトスポットが欲しいということになって設置することになりました。木材や発泡スチロールを使って、手作りしたものです」
と説明した。ボランティアが園内の維持・管理を行う市の施設「ふかや緑の王国」のボランティアスタッフが中心となって制作したものだという。
レリーフのデザインの意図や込められた思いについては、
「渋沢栄一が新一万円札の肖像になるということについて、ふっかちゃんもお祝いして喜んでいる、という意図のデザインです。また、新一万円札が白いハトとなって飛び立ち、世の中の経済を回してより良い世界になりますように、という思いも込められています。ちなみにこの白いハトは、後付けではあるんですが一応シラコバトということになっています」
と述べた。シラコバトは、埼玉県のシンボルであり、県のマスコットキャラ「さいたまっち」のモデルにもなっている鳥だ。
なお、レリーフで渋沢栄一が持っている札束はかなり厚みがあるように見えるが、これについては「特に何万円くらいというイメージはない」。あくまでも札束を立体的に目立たせるために厚みをもたせただけだそうだ。
田部井さんは、レリーフがツイッター上で「渋沢栄一がふっかちゃんにお金を渡しているように見える」と話題になっていることについて、
「特にそういった意図があってこうしたデザインにしたわけではありません。ただ、ふっかちゃんも深谷市の広報活動などでお金を使いますので、渋沢栄一がそのためのお小遣いを渡している、という見方も、それはそれでアリだと思います」
とコメントしている。
「こうしてSNSなどで話題になることで、深谷市の知名度が高まってくれるのはありがたいです。これをきっかけに、ぜひ深谷市や大河ドラマ館に足を運んでいただければと思います」(田部井さん)
(7月21日12時44分追記)
記事初出時、レリーフについて「市職員が手作りした」としておりましたが、21日に市役所に再取材したところ、「ふかや緑の王国」のボランティアスタッフが中心となって作ったものだということが確認できたため、本文の当該箇所を修正いたしました。
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