「DV疑惑」「育児放棄」... 草津熱帯圏のカピバラ解説が想像以上にハードだった

「DV疑惑」「育児放棄」... 草津熱帯圏のカピバラ解説が想像以上にハードだった

草津熱帯圏のカピバラの解説 (画像提供はすべて草津熱帯圏)


草津といえば「温泉」だ。日本を代表する温泉地の一つとして、古来より有名なところだ。ここにある温泉熱を利用した動物園をご存じだろうか。高さ15メートルのドームに、150種類の亜熱帯の野生動物が飼育されているという、「草津熱帯圏」だ。

熱帯園(えん)ではなくて、熱帯圏(けん)と名付けられているのもユニークだが、掲示されている解説がとてもユニークだと、いまツイッターなどSNSで話題となっている。

上の写真は、その一例だ。人気のカピバラの家族構成を、飼育員の手描きのイラストと文章で紹介している。眺めてみると、父カピバラの「DV疑惑」に言及していたり、母カピバラの「育児放棄」の事実を述べていたりなど、なかなかインパクトがある。

ツイッターには、「飼育員さん、よく観察なさってて立派です。そして愛も感じます。愛がなくちゃこのキレは出せません」「センスの塊だな〜」などといった、絶賛の声が寄せられている。

いったいどんな人がユニークな解説を作っているのだろう。Jタウンネット編集部は詳しい話を聞いてみた。

カピバラをイラストにしてみたら...

なぜ、カピバラ一家の赤裸々な家庭事情を解説文に書こうと思ったのだろうか。

Jタウンネットの取材に電話で答えてくれたのは、飼育員の熊本耕治さんだ。

「今から5年ほど前になりますが、カピバラの解説にイラストを付けてみたんですよ。それまでは写真だったのですが、イラストにしてみたら、お客さんの反応がずいぶん良かったのです。図鑑に載っているような情報だけではつまらないので、飼育した者でないと分からないカピバラそれぞれの性格やクセについて書いてみたら、思いがけず受けが良かった。それがきっかけになって、こんな解説を付けるようになりました」


「お客さんに喜んでもらえるので、どんどんエスカレートしていき、紙芝居のようなものも作りました。『おもしろかったよ』などと、お客様に声をかけられたりするものですから、ますます嬉しくなってきまして......」と熊本さんは語る。

カピバラの「まさる」と「まりん」の馴れ初めから、ゴールイン、5匹の子どもが誕生するといった紙芝居スタイルの解説は、とくに人気があるようだ。


カピバラの解説に触発されたためか、他の飼育員たちも担当する動物の解説に力を入れるようになってきた。飼育している人でないと気付かないような観察を加えたり、パソコンで書類を作る場合も、手書き風な書体を選んだり、色を変えたり、こだわりを発揮するようになってきたという。



例えばビルマニシキヘビ(写真上)の場合、「ペットとして飼育される場合もあるが危険性を軽視し過ぎたことによる死亡事故が起きているのも確か」、「太く強靭な筋肉をしており巻きつかれれば屈強な成人男性でも敵わない」といった、飼育員ならではの表現がおもしろい。

爬虫類には爬虫類ならではの、独特の世界観が感じられる。

「爬虫類担当者のこだわりが隅々に活かされていますから、それを楽しんでいただければと思います」と熊本さん。



またワニガメ(写真上)の場合は、「昼間は舌にある肉質のルアーで『釣り』を行い、夜間は徘徊して採食する」といった細かい観察や、「何十年も生きるカメなので、飼われる方は万全の注意を」といった心配りもあって、読み手を飽きさせない。

草津熱帯圏の飼育員は現在6人。そのうち主に3人が動物の解説を担当しているという。それぞれユニークな解説をじっくり読みながら、150種類以上の動物を見て歩くのは、なかなか楽しいかもしれない。「『2時間半かけて、全部読んだよ』とおっしゃるお客様もいらっしゃいます」と、熊本さんは話してくれた。

草津には、温泉だけでなくこんな楽しみもあった。

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