多目的トイレのおむつ台「使ったら直して」 車いすユーザーへの配慮求めるツイートに反響→当事者に実態を聞いた

多目的トイレのおむつ台「使ったら直して」 車いすユーザーへの配慮求めるツイートに反響→当事者に実態を聞いた

違和感に気づくだろうか(画像は時鐘(@tokigane62

多目的トイレに設置されているおむつの交換台について、「使ったら直してください」と訴えるツイートが注目を集めている。

いったい、どういうことなのか。話題になった投稿に添えられた写真がこちらだ。


映っているのは、可動式のおむつ交換台である。赤ちゃんを乗せる台が、下がったままになっている。

だったら元に戻せばいいじゃないか、と思う人もいるかもしれない。

しかし、車いすユーザーにとっては事情が違う。利用者の背丈や体格などによっては、自力でおむつ交換台を元の位置に戻すことができない場合もあるのだ。

過去に友人が多目的トイレ内で苦労

注目を集めた投稿を寄せたのは、ツイッターユーザーの時鐘さんだ。2020年6月10日、ハッシュタグ「#多目的トイレ」とともに

「全国のお母さん。車椅子の人には苦痛でしかないから、使ったら直してください」

とつぶやいた。

Jタウンネットが11日、投稿者の時鐘さんに詳しい話を聞いてみると、自身は車椅子利用者ではないという。

30代女性で会社員だという彼女は、ツイッターのトレンドに「#多目的トイレ」がランクインしていたため、今回の呼び掛けを投稿したという。きっかけは、彼女がとある場所で作業員をしていたときのことである。

作業場の近くにトイレがなく、多目的トイレ(投稿した写真)を利用する機会があったそうだ。

「そこの地域では子連れのお母さんが多くいて、トイレの利用者もお子様を連れたお母さんが多かったです。その中に必ずと言っていいほど、ベッドを利用した後に戻さない方がいました」

彼女がツイートで「全国のお母さん」と表現したのは、このためだ。

「車椅子利用者の苦労を知っておりましたので、直してほしいとお伝えしたいところですがクレームなどを受ける可能性があり伝えたくともできなかった」(時鐘さん)

苦労を知っているとは、どういうことなのだろうか。小さい頃、車椅子を利用する友人がいたという彼女は、

「当時の学校は和式のみで多目的トイレがなく、友達は教員用トイレなどを借りるなど大変でした。
1年程しまして多目的トイレができたものの、友達の車椅子が大きかったため、入れたとしても方向転換や(多目的トイレ)室内の移動に苦労していました」

と話した。

筆者も大学生の頃に、構内で車椅子に乗りバリアフリーマップを作成した経験がある。筆者の背丈は175センチ程度だが、車椅子に乗ると目線は大幅に下がり、手が届く範囲は限られる。

実際に車椅子を利用する人は、おむつ交換台が下がっている状態に対して、何を感じているのだろうか。

「両手が必ずしも使える人がいるわけでは...」

Jタウンネットは11日、NPO法人車椅子社会を考える会の理事長・篠原博美さん(68)に話を聞いた。

おむつ交換台が下がったままだと、車椅子に乗る人は不便だと感じるのだろうか。

「不便に感じる人は多いと思います。(交換台を)出しっぱなしにしている人は、非常に多いですね。自分で直す(あげる)ことができればいいのですが、車椅子に乗る人の中には両手が必ずしも使える人がいるわけではありません」

多目的トイレで用を足す時に便器に向かうために、車椅子の向きを回転しなければいけない。そうした時「下がりっぱなしだと邪魔になりますね」と話す。さらに重度の障害がある場合は

「(おむつ交換台の)上げ下げができないため、係員を呼ばなければならない場合もあります」

という。

そう話す篠原さんもまた、車椅子利用者だ。2014年頃に脳卒中を患い、左半身麻痺に。「初めて車椅子に乗ったら、不便だなと思いましたね」と話す彼は「自分のことよりも車椅子に乗っている人のことを深く考えたい」と思い、車椅子社会を考える会を設立したという。

このNPOでは、正会員の他、補助会員や車椅子会員、ボランティアを含め40人程度が活動中とのこと。車椅子利用者にとって「支障のない移動と、住みやすい環境づくりに寄与」するための活動をしているという。

会員の中には、篠原さんと同様に脳卒中を患った車椅子利用者もいるそう。そうした人達からもおむつ交換台が下がっていると、不便だという声があがるという。

たしかに車椅子に乗ると目線が下るだけでなく、立った状態と比べて腕が届く範囲が狭くなる。こうした条件下では、おむつ交換台を上げるのも一苦労なのではないだろうか。

「私の場合は、おむつ交換台に手が届きます。ですが、上げるのも手間ですし、ひらきっぱなしだと上げるのは大変ですね。利用されたら戻して欲しいと思います」(篠原さん)

「使ったら直してください」。おむつ交換台の使用マナーをめぐる時鐘さんの呼び掛けには、次のようなリプライ(返信)が寄せられている。

「ごめんなさい。戻し忘れた事、無いって言い切る自信ないです」
「今まで気付いたことなかったです お母さんではないですが見かけたら、戻すようにしますね」
「はっ!としました。毎回直してたかな...次からしっかり意識します」

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